一章 竜への挑戦 1節 絶望と希望 4
最近よく同じ夢を見る。昔はよく殺した人の夢を見た、最初は「なぜ殺した。もっと方法があったただろ。お前がいなければ。」…しかし殺していくうちにやがて見なくなった。しばらくして、殺すはずの人を殺さなかったことによる悪夢にうなさた。「なぜ殺さなかった。あのとき殺してくれればこんな痛みはあじあわずにすんだのに。」…これも背負っていくと決めてから見なくなった。…人として成長してるかどうかなんてわからない。
…だが魔法の適正があがっているのはわかった。訓練の最初の方は熱かった。熱くて痛い。そんな感じだった。痛みで気絶するのか、瀕死で意識が朦朧として気絶するのかわからなくなった。適正が上がるうちに痛みは感じなくなってきた。痛覚が麻痺したのかもしれない。個人的には眠りやすくなったので問題はないと思ってた。ところが最近なり、魔法を使ってる方が痛みが緩和していることに気づいた、いや正確には拷問に思える熱量を体に受けていることにアッシュが心配して、魔法を弱めたら痛みで叫びはじめたらしい。どうにも瀕死なので記憶にないのだがどうやら体の適正が上がりすぎておかしなことになってるらしいことはわかった。
まぁ、そうゆうことなので瀕死の重症で拷問のような熱さのなかすやすやと寝てるみたいなのだが。この熱さに対応してなのか、夢の中では今回の討伐対象である竜が、自分にブレスを放つところからはじまる。まわりにはアッシュと幼い子供が一人。まわりには戦闘した形跡もあり、おそらく死体であろうと思ううつ伏せの人たちが大地で寝そべってた。竜がブレスを吐く前横から弓矢が飛んでくるが。竜は気にしないまま俺にブレスを吹きかける。俺はそれを受けるが、熱さも感じなく。アレクとあったあのときのようにオレンジの光に包まれる。
そうして目が覚める。この夢についてアッシュに話してみるが、ちょっと同情されただけだった。
夢を見て目が覚めたあと。朝食を作る。料理などしたことがなかったが。とりあえず焼くことと煮ること。あとは塩などの調味料の使い方を覚えればそれなりにうまい料理ができた。魔法で火加減を瞬時に変えられるのもうまさの要因になってると思う。
「おっ、今日は目玉焼きか。」
眠そうな顔でアッシュが席につく。
「おはようアッシュ」
アッシュに挨拶する。
「おうおはよう。今日は外に出るからな。」
アッシュに挨拶すると今日の予定を教えてくれる。最初の方は「挨拶もできんやつには教えん」と言って内容を教えてくれなかった。結果その日はいつもより訓練が酷かった。
「瀕死になるんだがら訓練もしといた方が一石二鳥だろ。」
その言葉に頷き。極限まで訓練してから毒薬をのみ、そこから適正をあげるために体に魔法をかける。考えてみると相当体を酷使してることがわかる。少なくても自分の体ではここまで酷くは行わないだろう…。うんきっとしないだろう。
「うん。外に出るって聞こえたけど。聞き間違いだよね。」
「残念だが強制だ。物語を進めるために必須らしい。」
「それって竜退治がやるんじゃないの。」
アレクで定義する人物が二人いるため。俺はこの世界にいるアレクを竜退治と呼び、アッシュはこの世界にアレクをあいつとか畜生とか読んでいた。
「お前が殺した奴の中に、そこにいく理由のキーパーソンがいたらしい。そのためアレクはいく理由がなくなったから俺に回ってきた。」
「誰だったの。」
「わかるわけねぇだろ。…あーだから飯食って少し経ったら町に行くぞ。」
「俺も行くのか。」
「俺が居ない間に神殿に侵入されて、暗殺とかざらだからな。」
ここが安全なのはあくまで抑止力であるアッシュがいるから安全であってここの神殿が安全なわけじゃない。ではなぜ神殿に居続けるかというと。単純に神殿以外の外出を禁止してからである。例えばどこぞの世界では国王が抑止力なので、城から一切出ない怪しい王と言われている。また、どの抑止力も他の抑止力がどこに居るかは知っている。つまり、そこから移動したら大変な異常事態なわけで…つまり。
「どうせ俺が移動したら、結果予知の奴も気づくしつまりは潜伏期間終了かもな、これで。」
「潜伏が終わらない可能性は。」
「異常事態が起これば可能性があるが。盗賊退治だしなぁ。」
「ちなみに何で行かなきゃ行けないの。」
瞬間、背筋に悪寒が走る。
「お前が知る必要はねぇ。」
「とりあえず。時間になったらよぶからそれまで訓練でも準備でもしてろ、あっ瀕死にはなんなよ。」
「了解適当にしてるよ。」
さて暇ができたが、訓練と勉強以外やることがないんだよなぁ。昨日の訓練の復習でもするか。
「ブック」
復習するのにこの魔法の本は凄く便利である。いつから焦り何処で間違えたかが本を見直せば一発でわかるからである。そのためアッシュが付き合ってくれないときはこの本を元に修正していく。
「前回はここが駄目だったのかだったら。」
本で検索をかける。アッシュに一括で訓練方法を聞いとけば後で読み直すだけで訓練方法を思い出せる。ちなみにこの本、本であって本ではない。本とは記録を残す物である。普通の本なら文字や絵が書いてあるだけだが、この魔法の本は本当に記憶が残っている。つまりそのきになれば当時の五感、感情のゆれ等を体験することも可能である。そのため集中すればするほど、のめりこんでしまうため。
「いつまで、そこで本よんでやがる。」
と殴られて現実世界に帰ってくる。
「いって、もう行くのか。」
「あぁ。」
そういってアッシュは移動する。
「そういえば、あの時も見とけばよかったな。」
ゼロはそう思いながらアッシュについていった。
神殿をでて隣の小屋に入る。たしか馬小屋だったはずだ。
「馬なんて居たのかここ。」
馬小屋といってるが、実際は見たことがない。そもそも人以外の生物はほとんど見たことはない。たまに毒性生物を訓練がてら持ってきたことがあるぐらいだ。
「んな面倒なもんだれが連れてくるか。」
アッシュは馬小屋に入ってく。…馬小屋に入ったら。アッシュは餌を(多分馬の餌だと思う。)どかして地面の紋様を出す。紋様は本の絵が見える…この国ならではとは思う。
「よし、準備できたぞ。」
紋様が光ってる。
「使用可能になるには光ればいいのか。」
「全体が均一に、同色で同じ位の輝きがねぇと、ランダム転移になるぞ。」
そうなるのか、次はないと思うが記憶しておこう。(本が)
「ほらとっとと行くぞ。」
アッシュに言われ。紋様の上に載る。しだいに光に包まれ…次の瞬間には…
燃え盛る町が見えた。
「おい、何だよ…これ。」
「ちっ、少し早すぎたか。」
その言葉に怒りを覚えるも、町が気になるのでアッシュのことは気にしないで全力で町に向かうことにした。
「おい…ちっだからぎりぎりで行きたかったんだ。」
走る走る走る。速く走るために、魔法で体を燃やしていく。ばてたらアッシュに運んでもらうがいい。思いのほか早く町につく。叫び声が聞こえる。声がするほうにいく。女性が叫んでるのが見える。付近には男二人。
「いやぁ。」
「叫んでも無駄だ。」
どうやらまだ気づいていないらしい。そういえば歩き方もアッシュに習って変えてたっけ。とりあえず男に近づき。体に触れる。そして最大火力を相手にながす。瞬間男が消える。
「…」
女性の声が消える。異常に気づいた男がこっちをむくが。さっきと同様に最大火力を相手を流す。そうすると男が消える。痛みを与えないで殺す事を考えた結果がこの方法だった。最大火力を範囲を広げず一点に集中し相手に流し込む。勿論魔法は使う。昔は黒く焦げてあとが残っていたが最近は後も残さなくなった。最もここ最近はアッシュから合格判定を貰って行ってないが。
「…」
放心している女性を無視し、次に声がするほうに行く。そして相手を消す。それを繰り返す。何人消しても魔力が減ってるようには思えない。当然だ五年間も適正と効率を考えての勉強、…いや研究か研究してきたんだ。つまり体力が尽きるまで半永久的に消し続けることができるんだ。まぁ犯人扱いされたくないんでいくつか焦がした奴も残しているが。
「警…、…脱した…で…。…を…い」
消し続けていくと頭の中に何か聞こえてくる。しかし気にしている暇がないので。聞こえるまで退治を繰り返すことにする。…途中家の前にたたずんでいる人たちが居る。
「親父ぃ。」
どうやら中に父親が居るらしい。家の中に入る。
「おい、あんた。」
「よせ、死ぬぞ。」
そんな声が聞こえた気がしたが気にせず中に入る。父親はすぐに見つかった。父親は家具の下敷きになっていた。
「ん、お迎えにはできれば女性がきてほしかったのですが。」
どうやら意識がしっかりしている。まだ大丈夫そうだ。さてどうやって助けようか溶かすと、この父親ごとやってしまうような気がする。かといって家具を全て持ち上げることもできない。
「もしかして…、助けに来たんですか。」
考えてる時間もないので、家具の一部を溶かし。自分で動かせるぐらいまでの大きさに溶断する。
「何かいってくだいよ。おわぁ」
急に軽くなったので驚いている。切断して軽くなった家具をどかし。父親を動かせるようにする。」
「…」
放心としている父親を担ぎ外に出す。出す途中に天井が落ちてきたが。溶かし当たらないようにする。
「…」
父親を担ぎだされ放心状態の奴らに父親を渡し、次の場所に行く。
「警告、物語の進行状況が逸脱してます。修正してください。これ以上続けると…が…ま…。」
どうやら盗賊団が町を壊滅させるらしい。よって盗賊団を壊滅させると、物語の進行に影響がでるらしい。…どうでもいい。盗賊退治を続ける。
「警告、物語の進行状況が逸脱してます。修正してください。これ以上続けると物語の修正が発動します。」
「警告、物語の進行状況が逸脱してます。修正してください。これ以上続けると物語の修正が発動します。」
「警告、物語の進行状況が逸脱してます。修正してください。これ以上続けると物語の修正が発動します。」
警告の再発生スピードが増えていく。無視して動く。もうほとんどの盗賊を倒したのだろう。助けられる者も助けた。もう終わりなのだろう。人を探す。町の離れの方に人影が見える。離れに向かう。離れには少女とアッシュと盗賊3人がいた。一人は首領なのだろう。明らかに他の奴とは格好がことなっていた。
「ずいぶんと探したぜアッシュ。」
「…」
アッシュは答えない。盗賊の方に向かう。それをアッシュが止める。
「なんで止める。」
「警告でてるだろ。これ以上は物語が修正される。」
「だから辞めろっていうのかよ。」
「いやそれは問題ない。今回はこの子供が死ねば物語りに大きなそれはない。」
「つまり、他は助けてもいいがこの子だけは絶対に殺すと。」
「そうだ。それとあと一人でも殺したらおそらく修正が開始する。」
「ようはその3人が時間になりその子を殺すからそれまでは待ってろと。」
子供は怯えてる。
「ふざけたこといってんじゃねぇ。」
「ふざけてなどいない。ゼロこれ以上は介入をやめろ。後悔することになるぞ。」
「嫌だね。」
「そうか…、俺は止めたぞ。」
アッシュは通路をあける。
「殺すなら子からにしろ。そっちの方が影響が少ない。」
「止めないのかよ。」
「言っても止まらないからな、せいぜいあとで後悔しろ。」
「そうかよ。」
ゼロは端の盗賊の前にたつ。男は震えている。
「助けてくれ。」
「なら町を襲ってんじゃねえよ。」
「それは生きるために仕方なく。」
「お前が裏切って報酬貰えばそれなりに食えたんじゃねぇのかよ。」
「そんなことしたら俺が首領に殺されてしまう。」
「結局はお前の都合だろ、今までその都合が通ったんだ今度は俺の都合を通してもいいだろ。」
「ひっ。」
肩をつかみ、いつもどおり魔力を通し、消す。
「物語が進行不能になりました。修正を開始します。」
体が動かなくなる。
「なん…だよ、…これ。」
「修正が始まったんだよ。」
長くなったので次に続きます。
誤字脱字は優しい目で見てください。