一章 竜への挑戦 1節 絶望と希望 3
「アレクー、質問。」
あらすじを読み終えた、ダンは思うことがあった。
「なんだい。」
「これって何回試行したんだ。」
「三十回位かな。」
ダンの言う試行とは。アレクが未来をシミュレートした回数である。自分が作ってる世界なんだ、未来予知なんて異物がなければ用意にできる。
「成功回数は。」
「うーん2割位かな。」
「2割かずいぶん思いきった行動したな。普段は六割位まであげてないか。」
アレクはハーピーエンドを求む。基本的には善性で人物である。つまりどんな困難だろうがちゃんとクリアできるようにお願いしてある。(難易度クリアしてみろは除く)
「しかし、初心者の初めてにしてはハードル高くないか。」
「いいや、極めてやさしめだよ今回は。」
「しかし初心者に2割はハードル高いだろ、それともあれか、八割はあそこで折れるのか。」
折れるとは絶望に沈み、なにもしないまま日がたつことつまり、仕事放棄である。
「いいや、あそこで折れたことは一回もないよ。あらすじみたいに理不尽を殴り飛ばすと楽しげに毎回いってたよ。」
アレクは楽しそうに笑う。
「でも毎度のことながら、絶望から希望にあがく感じはいいねぇ。やっぱり人はこうでなくちゃね。」
「まぁ、それには賛成しとくよ。ここで止まるとつまらなくなるからな。それで、2割ってことはいつからか完勝できるようになったんだろ。なにしたんだ。」
「今回は、はじめてだからね。勝てるまでちゃんとシミュレートしたと。まぁアウターのスキルは渡してなかったからそれがどんな作用するかがこれからの分かれ道だね。」
おいおいそれって。
「てことはシミュレートは軟禁状態ではなかったのか。」
「まぁそうだね、むしろ積極的に色々な所に出てたよ。」
「じゃあなんで…。」
「いかなる可能性でも一周目で目的が達成されないことがわかったからだよ。」
「とうとつなネタバレはやめてくれませんかねぇ。」
「どうせ項まであるのだから気づいてたでしょ。」
「まぁ、薄々わな。てかお願いがおかしいから気がつくだろ。」
アレクは笑う。
「ダンの言うとおり、今回のお願いはそう単純なものじゃないんだ。」
「だろうな、というかそこからはじまるんだろ。」
「いいや、はじまりはしないさ。そこまでの過程をいかに生きてきたか。それが今回のお願いのクリア条件だ。」
「おいおい、初心者にはきつくないかそれ。難易度ベリーハードはあるだろ。」
「だから、難易度を落とせるようじゅんびをしなきゃならないんだ手伝ったんだよ。正直かなり運がいいと思うよゼロは。最初だから、たまたまこの世界で悩んでいたから。相手のお願いが現状とマッチしてたから。正直状況がよすぎるね。僕が運命を感じるぐらい。」
「まっ、あいつも魔法使いの素質があったってことだろ。てことはもう誘導済みか、ヒントはなんだったんだ。」
ヒント、それはアレクとゼロの会話でアレクがこのお願いをクリアする助けを行う発言のことをいう。だいたい一個か二個多いときは十個ぐらいヒントが入ってる。
「今回はヒントは竜を偽物と言わなかった。それが今回のヒント」
「それって何か変わるのか。」
「普通だったら何も変わらないね。でも彼処には僕を知ってるアッシュがいる。そのため大きく変わっていくことがあるのさ。」
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「うーん。」
魔法の選定に難航する。時間はたくさんあるとはいえ無駄にはできない。
「とりあえず、初心者のお前じゃ複数のことなどできねぇ。戦闘訓練は軽くやって、魔法の勉強だけやってろ。」
「魔法の勉強ってどうやるの。」
「俺が知る分けねぇだろ。とりあえずそれっぽい本持ってきたからこれで何とかしろ。」
そういって、アッシュは机の上に大量の本を置く。
「まずは読んでなに得るか考えろ。浅く広くだ。」
そういって、最初の10日間はすぎていった。
10日でわかったことはいかのことだった。
・水や土は魔法使いにはるには向かない。
・詳しいことは書いてないから自分で考えて学ぶしかない。
・10000日の勉強はかなりしんどそう。
土や水は原理を書いてあるのは少なく。(なぜ地面があるのか等の面白そうな本はあったが。)また適正も危うい(土や水に埋まってたら本気で死にそう。)なので火と雷と風の中から選んでいこうと思った。他の属性はマニアック扱いされて本じたいが少なかったのも原因のひとつである。
「ほーん、火と雷と風か…。火でいいんじゃねぇの。」
「なんで火がいいと思ったの。」
「あー。」
アッシュは頭をかきながら言う。
「多分今回のヒントだからな、何が変わるか知らんが。」
「ヒント。」
「攻略の糸口だよ。多分今回は魔法を火にしろっていってる。」
「なんでそんなことわかるの。」
「まぁ勘だ勘それよりもどうすんだ正直時間なんていくらたっても足りねぇんだろ。」
うーん、どうしよう。正直どれでもいいんだけど。アレクの思いのままってのもなぁ。
「だぁめんどくせえ、ゼロお前の魔法を火で決まりだ、火でなんか理不尽な魔法作れ。」
「えー。」
「んじゃあ、今すぐ決めろ、ほら決めろ、そら決めろ。」
そんなまくしたてても、どれかいいかなんてわからない。
「わかったよ、火の魔法を覚えるよ。」
「そうだそれでいい。」
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「なぁ火の魔法になったが。」
「まぁ、当てが外れるたけど。まぁ火にいったから良しかな。」
「いったい何が必要だったんだ。」
「うーん、ちょっと本貸して。」
ダンはアレクに本を渡す。アレクはページをペラペラとめくるとダンにわたした。
「そこに書いてあるよ。」
ダンはめくってあるページを見た。
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「どうだ、殺しにはなれたか。」
「なれるないだろ。」
「でも、やらなきゃ死ぬぞ。」
……
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「これどんな状況なんだ。」
「竜退治の前に暗殺者やらがきそうだから、人を殺して躊躇なく対応できる(殺せる)よう準備してるところ…だったはず。」
「ちなみにシミュレートでは。」
「盗賊退治という形でやってるよ。まぁ対人戦は必要だしね。どうせいつかお願いで殺すことになるだろうし。」
まぁ定番か。てか物騒なこと言ったな最後。
「ちなみに今回は誰を相手に…」
「基本的には犯罪人と戦わせてるよ。死刑勧告をくらった奴と戦わせて」
「基本的には…他もあるの。」
なにかいや予感がしてきた。
「悪党ばっか倒すとそれはそれで不味いからね。別に正義のヒーロー目指してるんじゃないから。だからたまに罪のない人もやってるね。」
「…えぐいな。」
「ちゃんと殺す理由はあるんだよ。」
「いやないだろゼロには。」
「いやゼロじゃなくて、相手だよ理由があるのは。」
「まーたややこしい話になってんな。」
「そう、だまされた借金取りに売られた奴とか。不治の病の人物だから、死んだら家族が助かったり。借金がなくなったり。一石二鳥なんだけど。」
「後者はともかく、前者はそれでいいのかハッピーエンド主義者。」
「まぁ全ての人物を平和になんて無理だからね。少しは諦めるしかない。」
「騙された家族は救済があってもいいんじゃないか。」
「家族は借金返して救われたんだ。救済してるじゃないか。」
「だからそれ『本来は』」
アレクは話を遮る。
「本来は出会うはずのない人間だ。借金の家族は平和な町の住民。不治の病は家を追い出された人やスラムの住人。他にも四肢がなくなり生活ができなくなったベテラン冒険者。最悪なところではどこかの村では神への供え物でそなえもので人間が来るんだ。酷いもんだよ。」
怒りや悲しみや色々な感情が感じ取れる。
「まぁ、僕が悔やんでもしょうがないしね。何もできないし。」
「だがよぉ、それじゃあゼロって奴の性格が歪むんじゃねぇか。」
「まぁ十代にこれは衝撃的過ぎるよねぇ。」
アレクは俺の意見に頷く。
「けどね、ダン。これは勇者とか賢者とかの英雄には当然あるものなんだ。結局どうしようないこと、足掻いても届かないことは。それに悪いことじゃない。少なくともゼロは背負ったからね彼らの思いを。」
「背負わなくてもいいもんだけどな、それ。」
「いや、このおかげで色々なことが変わって来るんだよ。」
「それって今回も変わるのか。」
「変わるさ、まぁこの節の読む場所なんて、そこと竜討伐ぐらいしかないから。」
「十年を凝縮させたな。そういえば殺しが答えじゃないんだろ。」
「あぁもう少し後だったはず。」
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「だが、お前は選んだだろ、殺すことをな。願われようが理由があろうが、殺したんだよ。…だからお前は背負うしかない。お前が殺したんだせめて背負って、あいつらみたいな奴が生まれないように努力し精一杯生きるそれが託されたもんの生き方だ。」
「アッシュも背負ったのかよ。」
「はっ、生まれ故郷ごと背負わされて、討伐後は人類の敵だぞ。不幸自慢ならお前みたいなひよっこにまけわけねぇよ。」
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「口調も少し変わったな。」
「まぁ、こんな世界で、話し相手がアッシュだけだからね。礼儀作法なんて、使わない人間だし。それに四年もたったからね少しは大人になったんじゃないの。」
「四年って、魔法は大丈夫なのか。」
「あぁ、魔法は手に入れてるよ。あれ自体は3年で手に入るものだし。」
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「そういえば。」
「なんだ。」
「俺が魔法選ぶときの本当の理由はなんだったんだ。」
「あぁ、それか。だいたいあいつはドッキリをしかけたとき、種は明かすんだよ『幻術でした~』とかな。…しかしあの時は本を見る限りいってなかった。つまりあれは幻術だったのかそれとも。」
「それとも。」
「お前に才能があるのかなぁって考えただけだ。まぁうまく言ってんだしいいじゃねぇか。」
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「これが、欲しかった言葉か。」
「そう、アッシュがゼロの才能を評価する。この言葉が必要だった。」
「変わらない気がするんだけどな。」
「これはあと一歩を踏み出す言葉だからね。」
「てことはなんかあるのか。」
「次の盛り上がり点だね。竜よりも盛り上がるから。実際はこの一番かな。」
「竜退治のほうが盛り上がらないのかよ。」
その言葉にアレクは笑いながら答えた。