一章 竜への挑戦 1節 絶望と希望 1
努力すればなんとかなるのか。安堵する。正直あんな巨大な竜に勝てる気がしない。
「さてそれじゃあそろそろ行こうか。」
そういうと、アレクは僕と同じ位の人の形を出した。
「それは何。」
「これは君が今回の世界に入るときの器だよ。」
「器。」
「そう、別世界に行くと、食べ物は大丈夫なのか。呼吸ができるのか。とか色々あるでしょ、特に今回は竜退治もあるんだし。だからその世界にあった。周りが見ても違和感がなく。竜も倒せる器を作ったんだよ。」
なるほど。そういえば色々ありすぎて、食べ物やらのことは気にしてなかった。
「あぁ安心して、魔法を使った際はそんなの全く問題にならないから。君の世界でも問題なく適合できるよ。」
「それはどうして。」
「それが魔法だからだよ。制約がなく理不尽な物だからね。魔法は。」
そういってアレクはクスクスと笑う。何を思いだしてるのか。僕にはわからない。
「それじゃあ、入れ替えようか。」
アレクは指を鳴らすと、体が浮遊する感覚がする。歩いてないのに人の形に近づいてくる。ふと後ろを向くと自分の体があった。
「じゃあ体も変わったしそろそろいこうか。」
「もっと大人でも良かったんじゃないの。」
「君が竜と戦うのは10年後だから問題ないよ。」
「あっ、そうだっけ。」
「そうだよ、十年で器を作って倒してよね。あと今回は僕が誘致した。召喚者いや転生者が司祭やってて君を呼び出すから。その世界のことは司祭にきいてね。」
「至れり尽くせりだね。」
「いったでしょ。今回は僕のワガママだから簡単だって。」
僕の状態を知ってる大人がいる。僕は訓練するだけで竜を倒せるようになる。おまけにクリアしたら竜を倒せる力が手に入る。なんという幸運なんだろうか。
「それじゃあ頑張ってね。」
こうして僕の初めの物語が始まるのだった。希望にみちた移動だった。
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「なんか簡単そうだな。」
最初を読んだダンはそう感じる。
「まぁそう簡単にはいかないんだけどねぇ。」
「今の内容だとすごく簡単に感じるぞ。」
「まぁ、司祭に会えばわかるよ現実が。」
むぅ、そう言われると続きが読みたくなる。
続きを見ようとするとアレクに止められる。
「あっ、ちょっと待って。」
「なんだよ、続きは明日とか言うなよ。」
「そうゆうわけじゃなくて、これからのことを説明しなきゃいけないんだ。」
「これからのこと。」
続きが読みたいダンは顔だけアレクにやる。
「この本はねゼロという本の中身だけど。」
「それは知ってる。」
「ダンこれはね自叙伝なんだ。しかも勝手に書いてく感じの。」
「それがどうかしたのか。」
「単純に読むと飽きる。」
「はぁ。面白いんじゃないのかよ。」
呆れ顔でアレクはダンをみる。
「僕みたいな本好きならともかく、ダンなら間違いなく飽きる。」
「理由はなんだよ。」
「だから自叙伝だからだっていってるじゃないか。」
「自叙伝だと何が問題なのだよ。」
「話の進展が遅い、恐怖状態などの負の感情の場合数ページに渡り感情が綴られる。たまにポエムが入る。等々沢山あるよ。」
「うっ。」
「考えても見てよ、小説と違い自叙伝は毎日毎回、自分の有無にかかわらず記録されていくんだこっちの都合なんて無視してね。」
「それがどうしたんだよ。」
「毎日毎日問題が起こるような波乱万丈な世界を僕が作ると思う。」
「何個か作ってんだろたしか。時代は大規模戦いだとか言って毎年戦わせてる奴。」
痛いところをつかれたようでアレクが止まる。咳き込んで有耶無耶にしてまた話だすが。
「コホン、今回の世界ではそんな毎回面倒ごとが起きないんだよ。」
「つまりつまんない話が続くんだな。」
「まぁそんな感じ、特に最初はね…。その分クライマックスの盛り上がりはかなりあったけど。」
「んで、どうするの。」
「僕が話をピックアップするから、それを読んでもらうよ。合間に何があったかは僕は簡潔に補完してくよ。」
「あぁつまり、いいとこだけ読まして飽きないようにするんだな。そうゆうこと。」
「ちなみに最初はさすがに読むよな。」
「うん、一章一節一項は読むよ。」
「一項か…そうか一項か。」
ダンは察した。一章は物語だとすると一節づつでいいのに、一項があるということは…
「どうしたの、早く読みなよ。」
無邪気に笑いながらアレクは続きを催促してきた。
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あたりを見渡すと、白い服を着てるおじいさんと。その下に大勢の人。僕は舞台の上のような、ちょっと高いところにいるらしい。おじさんは一瞬驚いた顔をしたが、次はめんどくさいそうに言った。
「あーこれより、竜討伐の討伐者が選定された。」
周囲からざわめきがおきる。
「選定、俺たちから選ぶんじゃなかったのか。」
「あそこに人物がまだ子供じゃない。」
大勢の声が聞こえる。それを司祭は大きな音(持っている杖のような物で地面を突く。)で静寂にした。
「とりあえず選定されたものは、俺が預かるこれにて解散。」
周りは疑問を感じながらも帰ってく。
「おいお前。」
おじさんがめんどくさそうにいう。
「僕ですか。」
おじさんは、少し驚いた顔をすると。
「一応言葉は話せるか。とりあえず話したいことがあるからついてこい。」
そういって、おじさんは歩き始めた。
…部屋に着くと一通りの状況説明した。初めはおじさんは怒ってたが、最後のほうになると呆れていた。
「以上が僕の現状です。」
「あー…、とりあえず俺はアッシュていう。」
「アッシュさんですね、僕はゼロといいます。」
「ゼロかとりあえず一言いうぞ。」
アッシュは少し間を置いた後こう言い放った。
「お前騙されてるぞ。」
「えっ。」
「あとあいつを信じすぎだ、相手は神ていうど畜生だから、話半分にきいて半分以上は疑ったほうがいいぞ。」
「えっ、あっ、その。」
慌てふためく僕を見てアレクはため息をつく。
「まず最初にドラゴンは今から十年でくるんだが。お前何日を想定した。あっ、日てのお日様空にある球体だなそれが沈んで、もう一回浮かび上がると一日っていうぞ。」
「うーんそれだと大体3500日位ですかね。」
「この年だと10年て100日だぞ。」
「えっ。」
「後、俺は今年で160歳になる。」
「えっ、ちょ、えっ」
「ちなみに大人は70から80位だな次に、お前竜を倒すというがどうやって倒すんだ。」
「そりゃあ、剣とか使って。」
「あほか、そんなんで勝てるなら誰でも討伐できるわ。」
「はっ。」
「ちなみにお前今日からここに軟禁だから外とかほとんどいけねぇぞ。」
「ふぁ。」
もう何が何だがわからない。一年が100日、剣では勝てない。今日から軟禁。わけがわからない。
「とまぁ、ちゃんと聞かないと今みたいになるからちゃんと聞いとけよ。」
「てことは、今の話は嘘だったんですね。」
よかったぁ、とほっとするのもつかのま。
「あぁ、年については。だいたいおまえんとこと一緒だ。つまりここが嘘だな。後は全部ほんとだ。」
「ふぁ。」
「まず最初にお前があいつから渡された。アウターとロキだっけ。」
「あぁ、竜を倒せるようになるやつですね。」
「あぁ、そのオウターってのがお前が殺される原因作ってるから。」
「えっ。」
「この世界には予知者が居ます。まぁこの国から結構遠いが。ある日予知しようと思ったら。予知ができません。なぜと疑問に思い調査すると。どうやらこの国…アルターていうんだけどなこの国。アルターに竜殺しを召喚したことがわかりました。司祭を予知すると、予知ができません。アルターの国王を予知すると予知できました。さぁここからわかることは。」
「予知失敗の原因が竜殺しだと…思われる。」
「まぁつまりそうゆうことだ。つまりお前がなんか活躍したりすると。予知者が気づいて殺しにきます。」
「穏便には…」
「それで飯食ってんだ、総力をあげてくるぞ。」
アッシュは本気の顔でいう。
「じゃあ僕はどうしたら。」
「だからとりあえず軟禁な、余計なことして暗殺者がきてもこまるだろ。」
「はい、わかりました外には出ません。」
「まぁここは離れにあるから少しぐらいは大丈夫だと思うが。てかお前に力があればこんなことをしなくてすむんだけどなぁ。」
アッシュはため息をつく。
「まぁそれは次に期待するか。」
「次。」
「今は気にしなくていい。今考えなきゃいけないことは竜の殺し方だ。」
「それはロキがあるから。」
「あぁそれ劣化品だからあまり期待しないほうがいいぞ。」
「こっちも…ですか。」
「本来は終わらせるだからなその力は…お前のはられるっていう可能性になってるから。倒せない場合も当然あるな。また多分自分で考えないと倒し方もでないな。」
「剣とかで…」
「現状で竜を倒せる剣は存在しないぞ。とういうか剣で倒せると期待しないほうがいいぞ。話を聞く限り溶かされるか折れるかで終了だ。」
「でも何回か挑戦すれば。」
「それなんだが、多分六~七回失敗するとで壊れるぞお前。」
「えっ。」
「お前がもっと大人なら普通に耐えられるんだが、お前現実でも子供だろ。多分六回も殺されると魂ごと消滅するぞ。まぁ多分100年もここにいると元の体よりこっちの体になれて戻れなくなると思うし。」
「…」
今度こそ言葉が出なくなる。
「おまけに暗殺の危険性もあるしな、そもそも竜登場まで生き残れるかも怪しいかもしれん。まぁ竜倒せる強さがあれば返り討ちにできるから。最初さえ頑張れば何とかなりそうだな。」
アッシュは苦笑しながら言うが、僕にはほとんど聞こえてなかった。100年でこの体に耐えられなくなる。竜の倒し方は現状はわからない。さらに自分が動くと殺される危険性がある。なんだこれは、なんだこれは。
「あー、まぁそうゆうことだ、あいつの甘言に乗せられてきたと思うが、現状はこれだ、でもこれでもまだ温情だぜ。これよりももっと酷いのも沢山あるし。まぁ温いのも沢山あるが。」
アッシュは僕を無視して話し続ける。
「まぁあれだ、とりあえず頑張ろうや絶望して何もしないとそれこそ死ぬことになるぜ。」
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「ねっ、簡単じゃないでしょ」
ダンに向かって笑顔でアレクがそう言った。
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