始まりの扉
「はぁ、はぁ。」
息が苦しい、しかし走りを止めるわけにはいかない。
「はやく逃げろ、わしのことなどを気にせんでえぇ。」
そういってじいちゃんは僕を逃がした。
「なんで私の邪魔をする、アーノルド」
甲高い声で自分の邪魔をされたことに苛立つ魔法使いのセラス、僕の祖母である。
「孫を殺されるを黙って見ているわけにはいかんじゃろ。」
「その子供は忌むべき呪いの子だわ、殺しておかないと我が家に災いが起こるわ。」
「例えそうだとしても、実の息子を殺していいわけじゃないだろ。」
そう父はいう、そして僕は逃げてきたわけもわからず走って逃げてきた。
ただ走って走ってわけもわからず大きな自分の家をただ走って逃げていた。
遠くから大きな音が聞こえる。戦っているのだろう、僕はこのままでいいのだろうか。不意に扉が見えた、
「こんな所に扉なんてあったっけ?」
そこには白い扉あった。金の取っ手に扉には本の模様が描かれている。普段は見ない扉に入って見たい気持ちがでるが、今はそんなことをしている場合じゃない、一刻も早く逃げないと。
「ちょっと待ってそこの人。」
不意に扉越しから声が聞こえる。
「誰か…いるの?、ここ…は…危ないよ。」
「大丈夫だよ、ここは安全だから。」
そう子供の声が聞こえる、僕と弟のリスト以外に子供なんていたっけ?そう思ってはいるが今の状況では考えることはできない。
「でも…ここは、危ないよ…おじさんとばあちゃんが。」
「大丈夫だって、君も入ってきなよ。」
そういって出ようとはしない、今は緊急事態だし早く逃げないと。
ふと体を見て見ると、体が光ってる。光ってる先にはあの鍵、何も反応しなかったあの鍵。
「どうして…今頃になって。」
「その鍵はここの鍵だからじゃないの。昔も何回か来てもらったこともあるし。」
「来てもらった…君はいったい。」
「教えて欲しいなら。中に入ってくれば、そしたら教えて…。」
また激しく爆発おこる。
「とりあえず、早く逃げよう危ないから。」
「じゃあ、ここから出してよ。君の鍵で開くから。」
そういって扉に入るように催促する。
「入らないと、連れ出すこともできないか。」
そういって扉の前に立つ。そこで気づく
「あれ、この扉鍵穴が…」
「あぁ、鍵を扉の前に差し出せばいい、それで中に入れるから。」
言われた通り鍵を出す。鍵僕が持っている鍵。僕が殺される理由になっている鍵。何をしても全く反応がなかった鍵。けれど今は光ってる。まるでここが使い道だと示すように。
そうして僕は鍵を扉の前にだした。そうすると、扉が開く音が聞こえ次の瞬間には見渡す限り白い世界が見えていた。
「やぁ、初めまして君は誰だい。」
そう少年は僕に問いかけてきた。