プロローグ
「またその本をよんでいるのか。」
長身の男が話しかける。
「あぁ、この本は面白いからね何度呼んでも飽きない。」
男が返答する。その目は子供のように無邪気に輝いている。
「そんなに面白いのかい、君が書いてるようなものだろその本は。」
「心外だなぁ僕は呼び出して、結末まで行くための力を与えるだけだよ。」
「拉致っておいてよく言うよ。」
「お互いウィンウィンの関係なんだから、問題なんでしょ。そんなに文句があるなら読んでみれば、最初から最後までわかるよ。」
「いやだよ、だってそれ結末がわかってる本じゃないか、全てがハッピーエンドなんだろ、物語の結末がわかってるじゃないか」
むっとする顔を男がするがさらに続けて言う。
「しかも、主人公はゼロとアレクと言う二人でゼロはずっと主人公なんだろ最初は面白いかもしれないけど終盤は主人公が強すぎてつまらないだろ。」
返す言葉もないだろという顔で長身の男は見つめる。
「というか、アレクって自分の名前を毎回入れるあたりにお前らしさがでてるよなー」
「いいじゃないか、自分の名前の方が親近感でるし、それに…」
「それに、なんだよ」
「ダンはハッピーエンドって何だと思う。」
「そりゃあお前、ストーリーによるだろ。」
ダンはそう考える、どんなストーリにしろ内容がわからなければ答えようがない。
「それじゃあ、僕が最初に彼に頼んだ、ある国に龍が出現してなんとかして欲しいっていう願いの場合はどうかな。」
ダンは少し考える、そして答えを出す。
「龍を退治するんだろ、そいつ含めた複数人で」
ダンの考えは単独ではなく複数人でという回答だった。それに答えにアレクは笑う。
「残念、評価としてはもっとよく頑張りましょうだね。」
その回答にダンは文句を言う。
「はぁ、龍が現れるって言う物語ならそのゼロってやつが龍退治してハッピーエンドじゃないのかよ。」
アレクは得意げにいう。
「その程度の浅はかな知恵でハッピーエンドを語るとは笑えるね。」
「じゃあ、その物語ではなにがハッピーエンドだったんだよ。」
「あっ、気になるじゃあ読んでみようぜどうせ神様なんて、覗くか催促するかぐらいしかやることないんだろ。」
そうやってダンはアレクの長い物語に付き合うことになった。
そしてダンは知ることになる、ハッピーエンドの難しさを、アレクの無茶振りを、ゼロと言う人物の魅力を。