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朝礼。

俺たちの教室は、下駄箱から最も遠いところにある最上階の端っこにある。

そんな辺鄙な場所を目指して階段を上っていく。


「みっきーは何でもっと早く来ないの?」


これで何度目になるかわからない質問を彼女にされる。


「普通に間に合ってるから問題ないよ。大谷おおたにこそ、もっと早く来れれるんじゃない?」


「私は家から学校が見えてるもん。だから良いの。」


理屈は全く理解できないが、そういうことらしい。


そもそも俺たちのクラスが遠いのは、進学クラスなどに組み込まれてしまったためだ。進学クラスは各学年まとめたところに「隔離」され、普通クラスと離れた場所にある。不便だし、普通クラスの人間と交流する機会も減ってしまうが学校が決めたことだ。仕方ない。


友達と交流する暇があったら勉強に集中しろと言いたいのだろうが、見晴しが良いので晴れた日は授業になど集中できない。おかげで俺の成績は進学クラスの割には、という程度だ。


始業のチャイムが鳴る寸前、廊下の向こうに担任の姿が見えるタイミングで教室着く。いつも通りのタイミングだ。そして、教室の面子も。


特に誰に挨拶するでもなく、席に座る。

真面目に登校してるやつらはベランダや自席で思い思いにお喋りしてるけど、こんなに遅く来るとそんな暇はない。必然的に俺はクラスのみんなと情報交換をする時間がなく、それだけ情報も入ってこない。はずなんだけど。


「おい、朝礼。」


「きりーつ」


のんびりと教壇に立った担任の督促に、やる気のない号令。

柔和な老先生だからこその、絶妙なバランスで成り立つ朝の風景だ。

※生徒に嫌われない、せんせいが起こらないという意味で。


「今日は・・・あれだ、あれ。昨日言った通り。忘れんなよ。」


週間スケジュールはこの几帳面な老教師によって掲示されているので、これで伝わってしまう。春の心地良さが終わろうとするこの時期、我が校は体育祭の準備が始まる。今日はその初日だ。


「サボったら警察に通報するからな。真面目に出ろよ。」


強面の体育教師がいったら問題になりそうな台詞も、タレ目の老教師が間延びした声で言うと冗談にしか聞こえない。そしてそんな担任に迷惑をかけるのも申し訳ないので、みんな迷惑をかけないギリギリのラインで言う事を聞く。


「それじゃ、終わり。」


「きりーつ」


そんな感じで、今日も1日が進んでいく。

※2016/01/29 全体的に手直し。

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