朝礼。工藤がいない。
教室につくと、違和感がまず先に来た。
ほぼ無遅刻無欠席野郎の工藤が、いない。
「ほぼ」がついてしまうが、あいつが休んだり遅刻することはめったにない。
病的なまでに整理整頓をするあいつは、日々のスケジュール管理も万全らしく寝坊等とは無縁なのだ。
大谷もそれに気がついたらしく、俺を振り返った。
ただし、俺にも理由は分からない。
メールも受け取っていないし、なにより昨日の帰り以降会話をしていない。
そんな中、担任がのそのそと入ってきた。
「きりーつ」
「れい、着席。」
ガタガタと生徒が着席するのを待たず、老齢の担任がのんびりと話し始める。
「工藤は今日は休みだ。暫く欠席がちになるかもしれんが、死んだわけじゃないから安心しろ。」
相変わらず言う事が物騒だが、こうものんびりと落ち着いた声色で話をされるとトゲを感じなのが本当に不思議だ。
「ちなみに、俺が何かしたわけじゃないからな。」
はい、誰も疑ってませんから。
教室がざわめく中、一際そわそわしている人間がいる。
それが誰かはもう言わない。
そんな朝礼の後、その当人が声をかけてきた。
「三木、君?」
俺をみっきーと呼ばない数少ない人間、美生谷だ。