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勇者って升職過ぎる

勇者って升職すぎる

「リア充爆発しろ。」

俺がそう言った途端、番のその魔物達は爆発した。勿論息はない。

あいむうぃなー、カンカンカーン。という自画自賛と同時に周りから雄叫びに近い歓声が上がる。正直うるさい。村長と名乗った人が俺の手を握ってありがとうございます、ありがとうございますと何度も涙声で言ってくるのが非常に居た堪れない。

「魔術師様、本当にありがとうございます!あの厄介な番には本当に手を焼いていて…やはり報酬に上乗せを…。」

「いや、もういいですから十分ですから!お金は町の修繕とかに使ってください!」

おお、なんと慈悲深いといいながら土下座しかねない勢いの村長には悪いが本当に俺は魔術師様とか言われるほどのものじゃないんだ…というか実際魔術師じゃないんだ。一年分ほど涙を流した村長が報酬を手渡した瞬間にぴろりろりーんと頭の中で間抜けな音がした。ああ、レベルアップしたのか…


『レベルアップしました!

久本 修二 (ひさもと しゅうじ)

男 18歳

ヲタクLv.12→13(Next1400)

勇者Lv.-150→-149(Next8900)』


あと延々とステータスアップだのなんだのあったが俺はある一文に目が釘づけだ。

ゆ、勇者の職レベル上がったー!?まさかのマイナス始まりの勇者の職レベル上がったー!!やばいテンションあがるわー今日は赤飯だわーあとでもち米買ってこー。


…あ、申し遅れました。最近流行の多重異世界召喚されたいらない方の勇者の久本って言います。職こそヲタクですが別にヲタクじゃないですよ本当ですよ。…本当ですよー!!



あれは一か月ほど前だろうか。

コンビニに買い出しに行った俺は人生の坂道を駆け下りていた。

具体的に言うと地獄坂と定評のある坂をブレーキの壊れた自転車で降りていた。ブレーキがないから止まれない、下りようにもスピードですぎて降りれない、ものと衝突してグッバイ現世ハロー常世間違いなしの超☆スリル満載の運転をしていた(強制)。こんな悪戯するのは間違いなく弟しかいない。一回とっちめてやろうか、生きて帰れたら。しかし幸か不幸か俺はその最中異世界に召喚されたわけである。

5人ぐらいと一緒に


「おお、6人も呼べましたぞ!」

「選びたい放題ですな!」


キャッキャウフフと女子高生の如く騒ぐ重苦しい服装の奴らが騒ぐ中、俺たちは何の説明もなくあれやこれや検査やらなんかして…


「お前、役立たず。どこにでも行け。」


と、俺は放逐されたわけである。まる。

……すごい短時間で放逐されたので勿論他の勇者などとは交友はない。どうすればいいのかと茫然としていた俺の目にパソコンのウィンドウのごとく何かが飛び込んできたのが


『久本 修二 (ひさもと しゅうじ)

男 18歳

ヲタクLv.1(Next.200)

勇者Lv。-150(Next.9000)』


で、あった。

いや、マイナスってなんだよマイナスって!?そんだけ適正低かったら逆に何か他に職あるだろ普通!というか俺大学生だしせめて学生とかにしろよ!なんで縁もゆかりもないヲタクなんだよ調子こいてんじゃねえぞゴラ!?…と、つい黒歴史の不良時代がうっかり出てしまうぐらい荒れた。その後色々あってオネェだけど優しいお兄s…お姉さんに会って色々教えてもらって(軽く貞操の危機っもあったが)どうやら俺は勇者召喚というので呼ばれたらしいということがわかった。ちなみに勇者放逐なんて前例がないらしい。本当どういうことなの。ちなみにステータス


筋力:8(平均7)

敏捷:10(平均8)

耐久:5(平均7)

魔力:1(平均5)

器用:9(平均5)

幸運:1(平均8)


……。何この糞ステータス。確かにこれは放逐される、というか幸運低すぎだろおい。平均より7も下ってどういうことなんだよ、どんだけ不幸なんだよ俺!いやすでにかなり不幸だけども!ちなみにステータスが見れるのは勇者の特権で普通には見えないらしい…マイナス150でも勇者なんだな、俺。マイナスだけど。全ステータスが平均以下で項垂れる俺にお兄s…お姉さんが怪しい手つきで仕事紹介しようか?と誘ってきたが丁重にお断りした。なんだかしりの穴がきゅってなって危機感を覚えたからだ。あれはよろしくない感じがした。

そうして放浪することになったが、おに…お姉さんから色々工面してもらったものの決して楽とは言えない過酷なものだった…。なんといえばいいのだろう。RPGでいきなり中盤のダンジョンに挑んでいるといえばいいのか。もちろん勇者()なヲタクLv.1の俺にとって地獄のような旅だった、といっておこう。ちなみに最初に持っていたスキルはwww(草を生やす)であった。……ちなみに使うを実際に草が生える。ものっそい生える。雑草だけど。魔力は使わないのだが(というか未だに魔力を使うスキルを覚えていない…)一体何に使うんだこれ。いや、使ったけどさ…家畜のえさがない!て禿げた牧場で嘆いてた人が気の毒で。すごい喜んでくれたし、クエスト(頼み事とか)クリアで経験値とか報酬がもらえるのは嬉しいけどなんかすごく微妙な気持ちになった。


ちなみにヲタクLv.13 勇者Lv.-149の俺のステータスは


筋力:120

敏捷:122

耐久:117

魔力:113

器用:121

幸運:113


…ん?

おかしいな、前まで俺の目には2ケタまでしか見えなかったはずなんだが、なんかステータスがめっちゃよくなっているような…。………うん。めっちゃよくなってる。ドウイウコトナノ。ヲタクのレベルが上がるごとにステータスが全部1ずつ上がった。(ちなみに平均2だそうだ。糞が)そして勇者のレベルが上がって100もステータスが上がった。……うん。勇者糞キャラすぎるだろ。1レベル上がるごとに100ステータス上がるとか糞職すぎるだろ。うん。俺以外の勇者よ、実は何のために呼び出されたかすら俺は知らないけどとりあえず頑張れ。俺は帰る方法を探しつつのんびり生きていこう。



そうして俺は色々旅をして、メキメキ力をあげつつまったりと過ごしていたら、なんかとある国の王様に魔術師として仕えてみないか?とお誘いが来た。ついに勇者のレベルを0以上に持っていくことに成功し、勇者として魔法の行使が可能になっていた俺は特に罪悪感なく仕えることにした。召喚されていくらかたった(時間は数えていない。面倒くさかったから)、すでに帰る方法の手がかりの当てすらなくなって困っていたからすごく嬉しい。宮廷魔術師にしか見れない魔術書とかもあるらしいのでまったり探していこう。勇者が魔王を倒したとかそういうのを聞きながら俺はまったりと過ごしていた。



そして俺はいつの間にか不老不死の魔術師と言われるようになっていた。

え、だって王様だって歳とってないじゃん!?え、王様王竜っていう超☆長寿な一族?もう会ってから500年たつ?生きている友達は俺だけ?……おい、俺何も聞いてないぞ。どうなってんだよ、え?他の勇者魔王倒して帰った?え、俺も帰りたい!何?世界との結びつきが強過ぎて帰れない?じゃあ、俺ここで生きるしかないの?しかも勇者は不死不死?…ドウイウコトナノ?俺、帰る。

絶対俺元の世界に帰る!


拝啓、お母さん。

色々ありましたが俺は元気です。とりあえず可及的速やかにそちらに帰れるよう日々頑張っています。なんかレベルカンストしてさらに世界との結びつきが強くなったとかそういう試練にも負けません。

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