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1話2000文字くらいで書いていましたが、今回3500文字を超えたあたりで10話完結をあきらめました。すみません、終わりません。

「えええ?会ったことあるの?」

 タイミング的には、転生する前のはずです。私だってなんで転生したのか理由も分からないのに、この扱いの差はなんでしょう。



 ……あれ?そういえば、私って何で死んだんだろう。普通に会社員だったはずなんですが。


 あ、いえいえ、話が横にずれてしまいました。


 魔王城の最深部に眠っているもの。時の神の封印は、綺麗なレリーフの施された扉の向こうにあって垣間見ることも出来ません。

 扉の前までは私も行った事があるのです。眠っているとのことですので、さすがに声をかけることは出来ませんでしたが、何が聞こえるわけでもなく、ただ中から巨大な魔力の流れだけを感じました。

 ですので、人知を超えた存在(もの)が確かにこの世界にはあるのだと思ったのですが、逆に感じられたからこそ、アレと意思の疎通ができるとは思わなかったんですよね。


 従属(テイマー)の設定がないこの世界では、どんなにかわいい外見をしている魔物でも、人を見れば襲って来ます。懐くことはなし、飼うなんてもってのほか。

 統率者(ボス)クラスとはあまり戦ったことがないのですが、体感はまさにとてつもなく強大な、自分とは違う知恵と思考を持つ、生きていないもの。

 そんな感じだったんですけど。


「他の転生者はちゃんと親から産まれてきたから野垂れ死にはしないけど、さっきも言った通り、俺は予備知識なしの五歳児で、野原スタートだったからだろうな。死なれると困るから予告しておいてやる的なことを言われた。多少特別なのは、魔王の役割のせいじゃないか?神の力を一番受ける訳だし、俺になにかあったら真っ先に伝わるんだし」


 そうですか。……で。


「イスラって、いつから私が転生者って知ってたの」

 

 そういうと、あからさまに目が泳ぎました。

「えーーーーと」

「うん?」

 きりきり白状したまえとにっこり笑ってやると、観念したのか、イスラはがっくりと肩を落しました。


「最初から……デス」

「それはまたなんで?」

「理由ははっきり分からんけど魔王は激務だから、特典として神子を転生者にしてやるって。その方が一人じゃない分、心強いだろうって言ってたな」


「ふぅーーーん」


 そうですか。途中からは分かっていると思い込んだとしても、自分は最初から分かっていたのに、黙っていたと。心強いだろうと言われていたのに、黙っていたと。言ってくれればもっと協力できたかも知れないのに、黙っていたと。

 ……これは、私は怒っていいところですよね?


 ああ、もう一つ、重大懸案事項がありました。


「イスラって」

 浮かぶ表情を見逃さないように、じっと顔を見つめます。腹が立つくらいに整った顔を。




「小児性愛者なの?」




 言った瞬間、吸った息がどうかなったらしく「なんか気管に入った」とげへげへ変な咳をしていますが、家族が変態かもしれないと分かった時の私の衝撃たるや、その比ではないと思います。


「漢字で言われると衝撃が強すぎる。せめてロリコンと言ってくれ。ロリコンじゃねえけど」

 否定のタイミングが、ビミョーだと思うのは気のせいでしょうか。

「体が子供でも、中身が大人だからオッケーと思っているようだったら、やっぱり小児性愛者だと思う」


 結婚可能年齢は男が十六歳以上、女が十四歳以上です。イスラが私に結婚してくれと言ったのは、覚えていませんがお互いの外見年齢が十歳以下だったことは間違いがないでしょう。


 同意があったとしても、子供の体に発情するようではやはり、変態の烙印を押さねばなりますまい。



「違う!フラグ回避のために一生懸命だったから家族の誰も言わなかったけど、将来(さき)があるなら立ってるフラグがもう一個あるだろう」


 フラグがもう一つ?………考えても全然思い当たりません。

 

 私の顔を見ていたイスラが、苛立たしいような、狂おしい何かを浮かべて一瞬で消えます。最後に呆れたような顔を作って盛大に溜息をつきました。

「父さんと母さんが結婚したのっていくつだったか知ってるか?」


「父が二十三歳、母が十四歳って聞いてるけど」

「神子は血族にしか受け継がれないから、結婚可能年齢になったら男だろうと女だろうと、とっとと相手を見つけて結婚するわけだ。でも、ツェーリアは一度も相手を見つけろとか、結婚しろとか言われたことがないだろ?」

 そう言えば、一度も言われたことはありません。誰かに会うように進められたことも。


 ……たった一つだけ思いついたことがありました。ありそうで全く考えていなかったフラグ。

 当たってほしくない、でもスキル使ってもいないのに、ほぼ確定な予感がひしひしと……。


「ああ、二人とも普通に俺達が結婚すると思ってるよ。それに母さんも神子だ。ツェーリアが何かに取り憑かれたように体を鍛えていたことも、もちろん知ってる。何かあるって分かってたみたいで、俺も気持ちを確認されたことはあるが、急かされた事はない。……俺を袖にするなら、ほぼ強制的に年の見合う相手を何人か探してきて、やっぱりすぐに結婚させられると思う」


 やっぱりそれですか。つまり、知らない間にどんどこ外堀を埋められていたと。

 ものすごく断りたいんですが、結婚フラグからは逃れられない、と。






 なんか、すごく嫌な汗が出てきました。







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