その1
皆さんは、『フラグ』と言う物を知っているだろうか。
有名なのを挙げれば、『死亡フラグ』『恋愛フラグ』『覚醒フラグ』などだろう。特に死亡フラグは、大抵の人が聞いた事があるのではないだろうか。
ただ、フラグなんぞ二次元だけの存在だと思ってる人も、少なからずいるのではないだろうか? 現実で立てるのはなかなか難しいし、何より建設のためのテンプレも通用しない。目に見えないフラグは、自由に折る事も回収する事も出来ない、ある種の憧れ・伝説ではないだろうか?
フラグとは、謂わば分岐点である。折るのも回収するのも本人次第。だが目には見えない――…そんな代物だと、私は思う。
だが、何事にも例外とやらは存在する。
私、藤峰桜にとって、フラグとは生まれた時から見える、謎の旗である。
物心付いた時から、人の頭の上に旗が立っているのが見えた。それが普通ではないと知ったのはいつだったか、今ではもう思い出せない。
色も大きさも違う旗が、それぞれ意味や度合いの差だと気付いたのはいつだったか。
それを折ったり引っこ抜い(回収し)たりするとイベントが起きると知ったのは、いつだったか。
その旗が、所謂フラグとやらだと知ったのは、いつだったか……。知ってからは、旗ではなくフラグと呼び始めた。
フラグとは、分岐点である。同時に、イベントへの布石、そして感情と幾つかに別けられる。旗の形で区別されているそれに、混乱しなくなったのは中学二年生の夏。最も多感な思春期……オトシゴロの時期だったのは、幸か不幸か。お陰でズレてると言う評価を貰った。
巷では、赤い糸が見える主人公は結構いる。大変だろうが、まだ分かりやすいし便利だから羨ましい。
え? フラグが見える方が良いって? 何を仰いますか!
……ごほん、失礼。
フラグとは千差万別。更にはややこしい。色や模様で種類を見分けなければならないが、その見分けも難しいし、人混みですれ違った人の頭に死亡フラグが聳え立っていたら、色んな意味で心臓に悪い。
知らない一見のフラグは、判断出来ない。ショッキングピンクと蛍光イエローの縞柄が、性犯罪者フラグだと誰が分かるか。毒々しい赤に黒い斑模様が、狂愛フラグだと何故分かる。
……もっとさ、分かりやすいのがいいよ。フラグにフラグ名とか書いておいてよ頼むから! 中学時代、体育教師が性犯罪者フラグとストーカーフラグ(蛍光イエローにピンクと紫の水玉柄)を立てていて、性犯罪被害者フラグ(弱々しい白水色の被害者フラグに、ピンクの水玉柄が性犯罪)を立てていた隣のクラスの女子を襲ったと知った時、結構可愛い柄だったフラグが回収されていたのを知った時の絶望感と言ったら!
因みに、その女の子はそれが原因で百合になったと噂に聞いた。頑張って生きて欲しい。
ああ、フラグだが、日常から誰でも立てている。テンプレなんてないから。勿論、テンプレは強く、それ相応の場面で使うと必ず立つ。
例を挙げれば、強敵との戦闘で明らかにオーバーキルをかまし土煙で隠れた敵を見ながら「やったか…!」とどや顔で言うと「この程度か?」と敵に無傷フラグが立ち土煙が強風で吹き飛ばされ敵が平然と出てきたり。死地又は戦地に赴く直前「俺、帰ったら○○(恋人の名前)と結婚するんだ」と仲間に漏らし死亡フラグを立てたり、だ。そんな状況ねーよとか言うな。
―――フラグを見て、偶に折って、回収して。そんな私は、最近とある人物の観察にハマっている。彼を見ていれば、様々なフラグが見れるからだ。
そう………完璧人外のクラスメイト、神永蕾和である。
***
ギャルゲとエロゲとラノベと少年漫画の主人公と、少女漫画と乙女ゲーのヒーローを掛け算してパワーアップさせたような、容姿も才能も能力も家柄も、何もかもが恵まれ過ぎた男。それが神永蕾和だ。
性格は……天然ジゴロで天性の無自覚人タラシでラッキースケベなカリスマ性溢れる主人公体質って事くらいしか知らない。これだけ分かれば十分な気もするが。
彼の周囲のフラグは、とってもカラフルだ。 まず、恋愛フラグ。恋愛フラグは、見るからに甘そうなピンク色。舐めたら絶対に甘いと思う。神永蕾和と関わる全ての老若女(偶に男にも)に立ち、必ず回収されていく。因みに恋人フラグは未だ誰のも回収されていない。
次に友情フラグ。これは爽やかなブルーだ。尊敬フラグと似ているが、友情はコバルトブルー、尊敬はクリアブルーだ。二つが混じっていたり恋愛のピンクが混じっていたりする。これは大体男に立ってるね。
それから、よく分からんカラフルで奇抜で様々な柄のフラグがぽんぽん立ちまくり、見ているだけで目が痛い。
もう凄い。見すぎて自分にストーカーフラグが立って、危うく回収されそうになった。折っても折っても生えてくる……じゃない、立つので、私の頭には常にストーカーフラグ(但しピンクの部分は興味の緑色。性的ではなく興味からのストーカーだから)がパタパタと旗を揺らし立っている。
神永蕾和は、芸能人が不細工どころか霞んで姿を消す勢いの人外の美貌だが、私は惚れません。つか惚れられない。理由? 皆さんは、頭にカラフルな旗を無数に立てた変人を好きになるのかね? つまりはそう言う事だ。
真ん中の列の前から二番目が私の席だ。彼は窓際の後ろから二番目と羨ましい位置で、ちらちらと観察している。逆なら観察もし易かったが仕方ない。
つやんつやんのさらっさらな漆黒の髪に、青とも緑とも言える不思議な瞳は、彼をより魅力的に引き立てている。和洋折衷な容姿は神や天使と言われて漸く釣り合いが取れる。いや、あの魔性の美しさは悪魔かもしれない。…羨ましい。
彼を取り巻く、所謂ハーレム要員の恋愛フラグは、それぞれ色が違う。勿論、サイズは最大級(知る限りでは30㎝ほどが最大)だ。
王道で、義理の姉妹に幼馴染み、転入生に委員長と生徒会長にお嬢様、アイドルに先輩に後輩に教師と男の娘。校外にもたくさんいるって噂だ。みんな粒揃いの美人美女美少女ばかりである。
色は濃く、マーブル柄だったり、あまあまピンクとえろえろピンクの縞柄だったり、見るからにヤバそうな色のヤンデレ狂愛だったり。取り敢えずみんな、純粋な恋心に崇拝や狂愛の色が混じっている。それらの色は彼女達を見て初めて知ったが、多分合ってるだろう。
凄いな……フラグが乱立し片っ端から回収され時に折られて……フラグが乱立とか恐ろしいわ。
そうそう、恋愛フラグとかは結構何度も立つよ。初めて意識し始めるフラグが回収されると、次は色も濃くサイズもアップする。更に回収されると……って感じで、ステップアップと言うか成長するのだ。進化と言ってもいい。どんどん育ち、回収され何れは告白フラグが立ち、同時に両想いフラグと失恋フラグも立つ。そんで、告白フラグが回収されると、二択のどちらかが回収されもう片方は折れる。当たり前だね。
因みに、一度目を付け意識したフラグは、目の前になかろうと回収されるか折られるかすれば感覚で分かる。何となくだけどね。
閑話休題。
友達のりっちょん(本名:七瀬律。我が幼馴染みにして親友様。唯一私の秘密を知るオンナ)とお弁当を食べながら、今日の神永蕾和を話す。彼等は屋上で食べていて、私達も屋上にいる。
他の人達も目立つ彼等を意識しているので、フラグ云々を話しても目立たない。
「今日もフラグ乱立ぱーりぃですた。おまいどうなってんの、わらわら」
「その残念な口調やめい。ムカつく」
すまそ。だが許せ親友よ。いい加減目にチカチカして疲れてるのだよ。ちみといる時くらいはっちゃけさせてけろ。
こういう時は、りっちょんのフラグを観賞するに限る。
私は最近、力が増したのかすでに回収したり折られたフラグを閲覧出来るようになった。自分に立ったフラグか他人に立ったのを回収したのかも区別が付く。神永蕾和のを一度閲覧したら一瞬で視界全てが埋まったのは、ちょっとしたトラウマである。
りっちょんは、最近恋人フラグが立っていた男と結ばれ、綺麗なフラグが並んでいる。目の保養だ。勿論私との友情フラグも。ただ、虚空に目をさ迷わせうっとりする私の姿は、端から見たらヤバイ人にしか見えなくなるのであまり長い間は見ていられない。
「で? 神永蕾和の恋人第一候補は?」
面白そうに聞いてくるりっちょん。確かに気になるのは分かるけどさ、そんなん分からんですよ。
彼女達が神永蕾和に立った恋愛フラグを回収したのは見てない。神永蕾和が彼女達に立った恋愛フラグを回収しまくってるのは知ってるけどさ。
そう言えば、やっぱりねと頷いた。
「話は変わるけど、桜自身の恋愛は? フラグ立てないの?」
「いや、あのねりっちょん。私はフラグが見えるだけで、自在にフラグを立てたり出来る訳じゃないんだよ」
回収したり折ったりは出来るけど、立てるのは無理。簡単に出来ていたら、彼氏いない歴年齢だったりせんわい。 ああ、私だって普通に青春したいよ。彼氏はいらないけど、フラグのない人生を送りたい……。平凡で穏やかな生活をください。
その時、ぽんと頭の上にフラグが立つ気配がし、あっと思う間もなくすぽんと抜け、何かのフラグが回収された。
……え、今のってフラグ? フラグなの? 待て待て何のフラグだよ! 自分の回収済みフラグは見れないんだよ! うあああああああ不安だよおおおぉうっ!
戦々恐々と午後を過ごし、早放課後。先生に雑用を頼まれ資料室に重たい足取りで向かう私。美人だが生徒に秋波を送るダメ教師の癖に!
むかむかと神永蕾和一派の担任に憤る私は、道すがら二階の窓からふと見えた不良二人のやり取りで若干生気を搾り取られながら、今はもう殆ど使われていない資料室にやって来た。
不良のやり取り? まあアレだよ。反りが合わねえ気に食わねえならやるかおおやったるぜ! ドカバキドコクロスカウンター! で、「ふっ、お前もなかなかやるな」「お前こそ。見直したぜ」と大の字に転がり互いを認め合い友情フラグが回収されていた。橋の下の土手でやってろバーロー! ……コバルトブルーにあまあまピンクのラインが入ってたのは気のせいだよなうん気のせい!
「はぁ…」
薔薇もイケるがイライラしてる時にアレはキツい。げんなりしながら、もたれた胃を押さえ資料室に入った。
資料室は汚かった。埃が舞ってるぜ。臭いもアレだし、さっさと終わらせて帰ろう。
「えっと〜……あ、あそこか」
言われた通りの棚にある段ボール。棚の一番上で、椅子に乗らなきゃ届かない。あの中の指定されたファイルを取って届ければ、みっしょんこんぷりいと。
「椅子……うう、これしかねえの?」
あったのは、キャスター付きの丸椅子。カバーが破れているし、足も短く調節部分が壊れていて、ギリギリ届くかどうかか。キャスターも留められないみたいだし、危ないなあ…。
だがしかし、背に腹は代えられない。他から持ってくんのも面倒だし、大丈夫だろ。
……またフラグが立ったが、折れば問題ない。はいぼきーっと。
椅子に立つと、ギリギリ段ボールを覗けるかどうかだった。段ボールを下に下ろすにはちょっと重いし、バランス崩して椅子から落ちそうだから、爪先立ちで見よう。これも危ないけど。
どれかなあ、と目でざっと見る。それなりに使うのか埃はあまり溜まっていない。…あ、あれかな?
目当てのを引き抜くが意外と大きくて、右手を上まで伸ばす。
「んーううう……うっ!?」
流石に無理だった! うわっ、あ、あ、あっ、落ちる!
「ぁ、やっ、ひゃわああぁっ!」
キャスターが滑り、後ろにぐらりと傾いた。そのままずるっと椅子が吹っ飛び、私は衝撃を予想しぎゅっと目を閉じた。その時、何かのフラグが立った。
「桜ッ!!」
その時誰かに名前を呼ばれた気がし、私は何か温かいモノに包まれた。
「……?」
待っても来ない衝撃と、代わりに感じる力強い温もりに首を傾げた。
「ってぇ……」
「え…?」
頭の上から漏れ聞こえた声に状況をよく見ていると、私は後ろから誰か……男子に抱き留められているらしい。わっしりと胸が掴まれてるのはどう反応すればいいのだろうか。
「あ、…ひゃんっ!?」
「え? あっ、ごめっ」
外そうとその手に手を添えたが、その前にむにゅりと揉まれた。ぎゃあああああっ! 私はエロゲのヒロイン属性はないんだよこんな偶然有り得ないいいいいっ!
助けてくれたみたいだがこれは許容出来ない。すぐに慌てて外したし、わざとではないみたいだけど。
「すまない……その、大丈夫か?」
「う……ぁう、あい…」
多分真っ赤になってるだろう顔は上げられなくて、俯いたままコクコク頷いた。
にしても、このやけによく通る美声は……あれ?
もそもそ動き、横を向いて見上げると、そこには目が潰れる輝く貌が。夜を体現する黒髪に神秘的な深い海のようなブルーの瞳。こんな特徴の人は一人しかいない。
(ふげえっ!? 神永蕾和かよっ!)
いやあああ死亡フラグ立っちゃうううーっ!
神永蕾和の親衛隊にぬっ殺されちゃうお。特にヤンデレヤバいマジヤバい。まだ殺されるだけならいいけど、彼女達なら生きたまま皮を剥いで剥製にとか普通にやりそう。
と、兎に角早く離れねば。未だ抱き締めたまま動かない神永蕾和の腕から逃れようと身動ぎすると、神永蕾和が呻き腕に力が籠った。思わず動きを止め見上げると、目を細め眉間に皺を寄せていた。
「え、あの…?」
「つっ……わ、悪い、背中を打ったみたいで動くと痛むんだ…」
「ええっ!? そんなっ……ごめんなさい…」
「いや、君のせいじゃないよ。ただ、もう少しこのまま……痛みが引くまでこのままで…」
私を庇ったせいなので、勿論甘んじて受けます。恥ずかしいけど。恥ずかしいけど! 大事なのでもう一度、恥ずかしいけどね!
身内以外の異性とこんなにお近づき(物理的に)になるのは初めてなので緊張する。痛みからか鼓動の速い神永蕾和と違い、私だけ妙に意識してドキドキしてる……なんて、絶対に知られたくない。何か別の事を考えよう。
そういえば、神永蕾和はいつ来たんだろうか? ドアを開ければそれなりに音が……あ、ドア開けっぱなしだった。埃臭い中閉じ籠りたくなかったんだよね。それにしては、近付いてくる音も何もしなかったなあ……私の耳、ちゃんと機能しているんだろうか? 偶に呼ばれても気付かないんだよね〜。
ん、呼ばれると言えば……落ちた時、名前を呼ばれたような? いや、気のせいかもしれないが、桜って呼ばれた気がする。ぬうん、聞こえないばかりか幻聴まで…? ポンコツ過ぎるだろ私の耳よ。ちゃんと働け。
いつの間にか向き合う形でぎゅーされていた私は、ちろりと神永蕾和を見上げた。無表情がデフォの顔は、確かに表情が乗れば更に信者が増えるだろう。良い判断だ。
そして、頭上の乱立しているフラグ。人は常にフラグを立てているが、普通の高校生なら二、三個が精々だが……ぬう、ざっと見積もっても十はあるな。こんなに近くで見れる機会はない、今の内によく見させて貰おう。
あ、その前に忘れちゃいけない事があった。
「あの……」
「ん? どうした?」
「えと……助けてくれて、ありがとう。それと、怪我、ごめんね…」
「…! いや、さ……藤峰が無事なら良いんだ。怪我も気にしないでくれ」
やけに甘い声は、流石人タラシの天然ジゴロと言わしめるもの(言ってんの私だけど)。思わず腰が砕けそうになった。神永蕾和が然り気無く腰を支えてくれたし、私もつい神永蕾和の胸元の服を掴んだので座り込まなかった。くそう、そんなエロい声出すなんて卑怯だ!
ラッキースケベで言いそびれたお礼も言えたし……あ、背中が痛いなら座った方が楽だよな? あ、床埃で白くなってるから止めた方がいいか。
改めて、フラグを見る。色んな色があるがやはり一番目立つのはあの極彩色のフラグだな。最大級だが、今まで見てきたのより太いし、何より初めて見るメタリックな輝き。何のフラグか分からない。
他にもよく分からんフラグが乱立し……――って、えっ!?
思わず目を見開き凝視してしまった。
「…? 藤峰?」
た、立ってる……死亡フラグが立ってるううううぅぅっ!!?
一度だけ見た事がある、真っ黒な異彩を放つフラグ。あれは、確かに死亡フラグだ。小さいが間違うはずがない。小さいが。具体的にはお子様ランチに立ってる旗サイズだ。
え、どうしよう。あのサイズなら回収されるより折れる可能性が高いが分からないし……折った方がいいよね? 強制的にフラグをどうこうするのは抵抗感があるが、でもでも死亡フラグは折った方がいいよね? うん、折ろう!
そう決め、じっと旗を見たまま手を伸ばした。あまあまの甘ったるい凄艶な笑みを浮かべる神永蕾和には、幸か不幸か気付かなかった。気付かなくて良かった。
「頭、埃付いてる」
埃と言いながら、黒いフラグを摘み、抜かないように気を付けながら、ぽきりと折った。途中から折れたフラグは、しゅんと煙になって消えた。勿論頭に残った方もだ。それにホッとしながら、神永蕾和の前髪を人差し指と親指で撫でた。実際に埃付いてたしね。
「ありがとう」
嬉しそうに笑う神永蕾和。気絶しそうになったが、頭にフラグが立ってるシュールな姿のお陰か、何とか意識は保った。
うむ、にしても、死亡フラグなんぞどこで立てたんだ?
神永蕾和が復活したらファイルを持ち、保健室に送った。どうせ職員室の道すがらだし、怪我した恩人とそのままバイバイするほど薄情ではありません。信者に見付かったらバイバイするけど。
幸いと言って良いのか、誰にも会わなかった。神永蕾和と別れ、職員室にファイルを届け(頼んだ事忘れていやがった)帰路に就いた。
途中、あのビミョーな友情フラグを回収していた不良二人が、何やらイベントを経験していたが……ごめん、やっぱ私薔薇は二次元限定だわ。
「桜……やっと…」
―――変なフラグを立てていた私は、家に帰って鏡でメタリックな輝きのフラグに首を傾げた。まさか、これが受難の日々の始まりになるとは思わなかった。
メタリックなフラグ……それは回避不可能永久不滅強制フラグ。折るのは出来ないと知るのは、まだもう少し先である。