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第八話

 いじめっ子たちは私が新納君を犬にする宣言をしたところで蜘蛛の子を散らすように逃げていった。恐らくこれで新納君がいじめられることはないだろうが……私は今さっきの発言をどう撤回しようかで悩んでいた。

 馬鹿じゃないの私。馬鹿も大概にしとけよ!思考が真莉亜ちゃんに引き摺られてるんじゃないよぉ!!

「…あ、の」

「!」

 ハッとすると、立ち上がった新納君に見下ろされていた。それも超至近距離で。え、ちょ、待って、近い。近い。何この子。でかい。意味わかんないくらいでかい。怖い。怖い。こんな近さで見下ろされたら、本気で怖いっす!!

「俺…犬?」

「え!あ…」

 180センチは超えているだろう新納君に密着するほどの近さで見下ろされ話しかけられたため、首が折れそうになるほど真上を向く羽目になった。というか、怒ってる?!怒ってるよね、そりゃあ!うひぃ、ごめんなさい!!

「あなた…えと、俺の……飼い主?」

「え…?」

「…違う?」

「え、あ、…違わない、けど……え?は?」

「嬉しい…」

 そう言うと、パァと花が開くように笑った新納君が(ちなみに笑ったと言うが髪の毛と眼鏡でほとんど顔は分からず、口だけで判断した)、私の足元に跪いた。

「えっ」

 そして、新納君はさっと後ろに引いたかと思うと巨体をうまく折りたたんで私のローファーにキスをした。

 もももももも、もしかして、この方…モノホンの方?!

「見つけた…俺だけの…俺だけの………主」

 アカン。アカンでぇ。これ選択間違えたパターンじゃね?だが、とりあえず。

「け、汚らわしい!近付かないで!」

 そう、お前、ちょっと汚すぎるんだよ!!なんだよ、その油でてっかてかな坊ちゃん刈り!しかも、坊ちゃん狩りの癖に顔が見えてないってなんだよ!あと、その眼鏡!今流行のレトロなやつじゃなくて、ガチで瓶底じゃねぇか!!お前、あのNIRの息子なんだろ?!ファッションセンスをどこにやったよ!!!

「…申し訳ございません。…お風呂、嫌い、なんです」

「ひぃい!!」

 思わず蹴りが入った。跪いている新納君の胸の辺りに入ったが、全然ダメージはなかった。見た目の想像を裏切って、かなり筋肉質のようだ。

「今すぐ、風呂!!そして、眼鏡を変えろ!コンタクトにだ!!それが終わったら、髪を切れ!!わかったか、この駄犬!!」

 思わず我を忘れてマジ切れしてしまったが、彼は嬉しそうに微笑んだ後、「はい、マスター」と言って裏庭から駆け足で立ち去っていった。

「え、あ…ちょ…」

 私、色々とミスった?

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