85話 【こはねちゃんの恋愛相談】1
「はぁ……女子にモテたい、と。モテる極意を、女子の僕から聞きたい……はぁ。言っとくけど、僕は男だよ? っていうか僕もモテたことなんてないって前から言ってるし……何よりもいろいろと超微妙な立場なんだけど、そんな僕に女子へモテる方法を聞きたいと……? こんなダメニートに……? そもそもさ、モテてるんならヒモとして女の人の家に転がり込んでるはずだよね……? その方が絶対いろいろお得だし……ほら、引きこもりニート継続できるし……」
【草】
【ばっさりで草】
【それはそう】
【彼女さんへ寄生する気で草】
【この幼女……開き直りおって】
【ふてぶてしくてかわいい】
【さらりとヒモになるとか言ってて草】
【ああ、確かにこはねちゃんが男でモテるんならそうするわな】
【その信頼があるね】
【我ら介護班ならば理解できる】
【畜生、こはねちゃんのこと先に知ってたからって……!】
――今日のコメント欄へは「新参」……うっかりでの声バレ以降に登録した人のうち、介護班の人たちが面接とやらを――本当にしたらしい、今どきはwebのリモートでできるとかなんとか――した、厳選された人たちだ。
毎回10人くらいずつ――1時間に1人ペースで増やす形になって、毎回うぇっとはなるけども吐くほどまでには至らない。
「くぴっ」
……なお、その交換条件はお酒の解放だ。
僕の大切なお酒を解放してもらい、かつ、この時間で呑んだ分、新しいのを買ってくれるとくれば僕に拒否権はなかった。
人間、弱みを見せたらしゃぶりつくされるんだ。
そういや優花って、介護班の人たちとすっごく仲が良いね。
なんでだろうね。
「くぴくぴ」
【おさけ】
【大丈夫? 準介護班の奴ら、処す?】
【そんな簡単なノリで処さないでもらえる??】
【草】
【いつも自虐芸が過ぎるこはねちゃん】
【確かにニートだからなぁ】
【こはねちゃんに無理だってことは理解した】
【知ってるか? ヒモってな、働かないで養わせるダメンズに年単位で寄生するんだよ うちの姉も引っかかってなぁ……分かれろって言っても聞かないし、責任取って結婚されても、それはそれで不安でなぁ……】
【あー】
【かわいそうだけど同情はできないやつー】
【家族と友人がかわいそうなやつー】
【なんだかんだ依存先を提供してるからねぇ、ヒモは】
【貢がせた金使って絶妙なタイミングに喜ぶプレゼントとかしてくるんだよなぁ】
【依存体質は女性に多いし……】
【そしてヒモはだいたいイケメンな印象】
【それな】
【俺の姉は……特段イケメンじゃない相手をイケメンだと信じ込んでいたな……】
【恋は盲目だからね】
【雰囲気でもイケメンならイケメンに変換されるんだよなぁ】
【つまりはだ ヒモとは、俺たちと対偶の存在か】
【結局顔なんだよなぁ】
【コミュ力とずうずうしさもだぞ】
【見た目と意欲か……】
【なんだ、どれも俺たちに最も欠けているものじゃないか】
【多少見た目も何もかも悪くたって、数を打てば数百人に1人くらいはって言うもんな それを知ってても努力ができないんだ、俺たちは】
【うっ……(心停止】
【どうしてそんなこというの!!!】
【泣くぞ! こはねちゃんみたいに!!】
【吐くぞ! こはねちゃんみたいに!!】
【ダメだ……おっさんのギャン泣きなんて需要がない……】
【ダメだ……おっさんのげろげろなんて需要がない……】
【え?】
【えっ】
【えっ】
【こわいよー】
【草】
【そうだよ 結局は若さと顔 そんなものなんてもうない俺たちには……】
【うう……】
【つらい】
【人は顔だけじゃないって、こはねちゃんなら言ってくれそうだったから……】
「………………………………」
……なんだか、最近。
僕以外の人たちが僕みたいになってるのを見ると……ちょっとぞくぞくする。
――さわっ。
すかさずスカートをまくって手を突っ込む。
……よし、漏れてない。
なら大丈夫――もっとぞくぞくしよう。
「……やっぱ、人ってのは顔じゃない? モテるのなんて。肉体美とか筋力とか慎重とか運動神経とかコミュ力――つまりは人間としての魅力って意味での『顔』ね。みんな、そういう人って周りに居るでしょ? 同性にも異性にもモテる人って。たいていは僕たちみたいなのにも優しい人ってさ。ヒモになるようなのとはまたちょっと違うタイプだけど」
【 】
【 】
【 】
【 】
【 】
【むごいことを……】
【今日のこはねちゃんはキレッキレすぎる】
【元気なのは嬉しいけどダメージがつらい】
【リアル女子からばっさりされたら、くるよなぁ】
【つらい……】
【でも嬉しいよね?】
【それはそれ、これはこれ】
【正直めっちゃ興奮してる】
【今日はこれでいいや】
【お前ら……】
【草】
【こはねちゃんさんは男だし幼女だし成人だぞ】
【TSっ子だってば】
【はいはい】
【介護班サーバーに入れない裏切り者がなんだって?】
【お情けで配信に入れてもらってるくせに、こいつ……】
【草】
【<URL>?】
【ショタでも良いからもう黙ってろ、それ以上はもうなにひとつ望まない ただただ、黙ってろ 呼吸だけしてろ】
【ひどくない!?】
【草】
【ストレスでやつあたりしてて草】
【すべての属性を重ねて保有しているのがこはねちゃんなんだ】
「あー……とにかくさ。さっきの人ってさ」
僕は、軽い気持ちで吐いた言葉が何百人とを傷つけてしまったのを後悔した。
だから、わざと煽った分はおいといて、僕の思っていた意味を理解してもらおうと――
――ぞくぞく。
………………………………。
「まずさ、……あー、僕のこと、今の大半の人は見ちゃってるから言うけどさ。僕って……か、かわいい……よね……?」
言ったとたんに、顔がかぁっと暑くなってくる。
気がつけば顔から体から、汗がぷつぷつと吹き出してくる。
「くちっ」
急に自律神経がかき乱されたからか、くしゃみもひとつ。
【 】
【 】
【 】
【 】
【あっ(尊死】
【かわいい】
【とうとつなかわいいは心臓に悪いけど健康に良い】
【わかる】
【いきなりかわいいモードならないで】
「う、うるさいっ、とにかく僕は……か、かわみゅっ」
………………………………………。
噛んだ。
【 】
【 】
【 】
【あっあっあっ】
【今日はもうこれでいいや】
【わかる】
【こっちの方が良いからこっちにする】
【かしこい】
【もうさっきのストレスなんて吹き飛んだ】
【そうか……下げて上げる こはねちゃんもVとして着々と成長しているんだな……】
【感動した】
【\30000】
【ふぅ……】
【感情を乱高下してくれる系Vか……】
「え? いや、本当に今のはただ噛んだだけなんだけど……まぁいいや」
恥ずかしさから戻ってくると、コメント欄の様子がおかしい。
……正直、このままごまかせそうではあるけども。
でも、
「――ふぅ。顔は、良いでしょ? 背も低いしちんちくりんだし子供だし、胸もないし」
落ち着こう。
僕は男だ、情けなくても男だ。
この体は一時的な状態なんだ。
だから――
【!?】
【速報・こはねちゃん、貧乳】
【ひんぬーなのは立ち絵からわかってたけど】
【顔バレ見ちゃったから知ってけど】
【見てなかったから知らなかったけど今知ったけど】
【あーあ】
【失言を重ねていく女】
【草】
「……普段から僕のこと、ロリっ子とか言ってるくせに……はぁ、ま。まぁいいや……」
暇すぎるときに、なんとなくでおすすめ欄に出てきた配信を見てみる。
それはきっと、多くの人が1回はしたことだ。
……そんな配信での独特すぎる雰囲気を何回かは学習したことのある僕は、呆れこそするものの、糾弾する元気はない。
「それに男ってのはみんなバカだから、ロリでも熟女でも……好みはあるにしても、手が届いてチャンスがあるってなったら誰でもOKだもんね。だから僕みたいなロリっ子――疑惑があっても、とりあえずで喜ぶんだよね」
そうだ、男はバカなんだ。
ストライクゾーンも広いし一度に何人も好きになったりするんだ。
【うっ……】
【(目そらし】
【今日はずいぶん辛口なこはねちゃん】
【もしかして:ごきげんななめ】
【なにしろ今日はお姉ちゃんが居ないからな……】
【それだ!】
「妹なんだけど? 僕は兄なんだけど?」
【うんうん】
【知ってる知ってる】
【自称25さい成人男性だもんねー】
【えらいねー】
【おこづかいをあげよう \300】
「それさぁ、今どきカップ酒も買えない金額だよ? そもそも何割かムーチューブに持ってかれるし……あ、幾らでも普通に嬉しいよ? ありがとう。でもさぁ……」
【草】
【草】
【この酒カスロリめ……お菓子より酒か……】
「酒カス成人男性ニート、ね」
【はいはい】
【わかってるわかってる】
【かわいいねー】
【草】
【(こはねちゃんのいじり、どこまでOK?)】
【(お酒を飲む音がするまでだ)】
【(りょ)】
【(草)】
「新規こわい……けど、できたら最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】とか応援コメント、まだの人はブックマーク登録してぇ……」




