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春休み、ボク、ダンジョンに行きたい! ~いじめられっ子巫女がんばる!(だって戦闘巫女♀←♂)~  作者: 夏風


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25 いざ異世界ダンジョンへ 剣奈、マジカルパワー解禁

 ヒュウ


 剣奈たちが幽世(かくりよ)に姿を現した。掲げられた手、さっきまでは何もなかったその手のひらに、来国光が忽然と現れていた。周りの景色は現世とあまり変わっていなかった。

 剣奈は来国光を握り、腰のベルトに差した。


 巫っ子『みんな。今回の「至高プランver2」の戦略セッションについて確認しておこう』

 『『『おう!』』』

 巫っ子『戦闘方針を確認する』

 『『『おう!』』』

  巫っ子『

 1.ダンジョン内では闘いを避ける

 2.ダンジョン内に湧いたモンスターはダンジョン外へおびき出す

 3.おびき出せない場合はボクが剣技(実は刀技)でやっつける

 4.スプラッシュ(飛針技)、アロー(矢)、ライトニング(長刃)はダンジョン内では使用禁止(生死にかかわる場合を除く)

 5.きゅうちゃはダンジョン内では闘わない(生死にかかわる場合を除く)』

 『『『おう!』』』

  巫っ子『では各々がた、参る!出陣じゃぁ!』

 『『『おう!』』』


「うふふ。ボクもトリニティネット、ずいぶん慣れてきたね」


 剣奈がドヤ顔で言った。

 

『じゃのう。普通に使いこなしておるわ』来国光が同意した。

「でも気をつけないと、周りから見たらなんでもないところでボーとしてるようにしか見えないわよ?」玉藻が助言した。

「じゃのう。あの二人組(監視オネエサンと番犬クン)、なにやらトリニティネットで会話しとる剣奈を痛ましい目で見ていたぞよ?」


 白蛇がニヤニヤしながら言った。

 

「ああああ!しまったぁ!念話の注意、すっかり忘れてたぁ!」


 剣奈が頭を抱えた。

 

「まあ良いではないか。勝手に勘違いしとるだけじゃしの」


 白蛇がニヤニヤしながら言った。


「ま、まあいっか。じゃあ行こっか」


 剣奈が羞恥に頬を染めながら前を向いた。


「ん♡」タッ タッ タッ タッ


 剣奈は剣気を丹田に取り込み、足に流しこんだ。そして勢いよく跳躍していった。

 凄まじい速さで剣奈は駆けた。通常なら歩いて二十分はかかるであろうその距離を剣奈は鼻歌交じりでわずか二分ほどで駆け抜けた。


「異世界(幽世を剣奈は異世界と言っている)だと剣気を使えるから楽でいいね。現実世界ではお母さんからマジカルパワー(剣気のこと)使用禁止命令が出てるから大変」


 剣奈が頬を膨らませて文句を言った。


 ――剣奈はそう言うが、千剣破の現世剣気禁止命令はよく考えた末のことなのだ。

 第一に剣奈は剣気を使用する際、本能的に嬌声をあげてしまう。周りから見たら変態発情痴女である。

 さらにその恐るべし運動能力。剣奈が鼻歌交じりで走ったペースは百メートル七.五秒。時速換算で四十八キロである。本気を出せばもっと速い。それを余裕で何分も続けるのである。

 変態発情美少女が猛スピードで駆け回る。現実世界でやれば間違いなく大騒ぎになる。千剣破の現世剣気禁止令は無理もない。


『まあ母御殿には母御殿なりの考えがあるのじゃろ』


 来国光はわかっていながら明言を避けた。

 

「そうね。現実世界で便利な力に慣れすぎてしまうと、人としての生活がおろそかになるとお母様は考えてらっしゃるのじゃないかしら?」


 玉藻が真相を知りながらも無難な方向に剣奈を誘導した。

 

「はっ!確かに!現実世界で剣気を使っちゃったら、ボク、オリンピックで優勝できちゃうよ。それズルだよね!」


 剣奈が斜め上の理解で納得した。玉藻、誘導成功である。


『おっ!早速きおったぞ』


 ダンジョンの周辺に黒い靄が湧き出た。それは見る見る間に、黒い靄をまとった犬の姿に変わった。黒震獣犬である。

 湧き出た黒犬は五十匹。剣奈たちを取り囲むように円陣で包囲網を敷いていた。


 剣奈たちは圧倒的多数の敵に囲まれてしまったのである。


   

 ――――


 *念話をするときの注意:『剣に見込まれヒーロー(♀)に 第二章』「23 念話とコミュ障認定」など。


 *剣奈と来国光の「結紐」と剣気吸収の基本メカニズム:『剣に見込まれヒーロー(♀)に 第一章』「17 快感」など。


 *「剣気」、「神気」、「地力」、「霊脈気」の関係と「剣気結晶の製作修行」などの詳細ついては:『剣に見込まれヒーロー(♀)に 第八章』「154 神秘の結晶を作り出せっ! 乙女舞と魔法少女ごっこ」~「159 雲に乗りたい!あの日の挫折と実現する夢 実を結ぶ千剣破の科学教育」など。

 

 ――剣気の簡易説明。剣気とは何か?


 剣気は神の力である「神気」をもとにしている。詳細は脚注先の各話に譲るとして、ここでは各「力」の関係をポイントを絞って説明しよう。

 

 式で書くと次のようになる。

 

(「地力(地脈エネルギー)」=「星命エネルギー」)≒「霊脈気(自然界のありとあらゆる命の源)」→「神気」→「剣気」


 地球の「星命エネルギー」をもととして神々の活動の源である「神気」が生みだされている。神々は「神気」を来国光に注ぎ込むことにより、来国光に自我と活動エネルギーを与えた。

 剣奈は来国光から「剣気」を譲り受けることにより、超人的な力を行使でき、超人的な治癒・回復力を持ち、そしてさまざまな必殺技を放つことができる。

 

 剣奈が来国光から「剣気」を譲り受けるのは「結紐(ゆいひも)」を通じてである。結紐は剣奈と来国光を魂レベルでつなぐエネルギー体である。結紐は来国光の茎から剣奈の丹田につながっている。

 剣奈が来国光から「剣気」を譲り受けるとき、いったん丹田に「剣気」がたまり、躍動する。女性の身体的メカニズムとして「丹田」は「子宮」に相当する。すなわち、「剣気」を吸うことにより「子宮」内でエネルギーが円環(ちゃくら)として躍動する。

 子宮内部で激しくエネルギーが躍動することにより、特殊な感覚が生じるという副作用がある。剣奈は性的に未熟なため、その感覚を「剣気」を吸い込むことによる副作用「剣気酔い」だと認識している。


 来国光の「剣気」には限りがある。消費しつくしてしまうと来国光の自我が消失する。これまで幾度か来国光の自我消失の危機が訪れたが、神々がご加護により「神気」を下賜することで消滅を免れた経緯がある。

 剣巫女元年八月、剣奈は修行により「剣気結晶」=「霊脈気結晶」の作成に成功した。来国光は「剣気結晶」を来国光の秘密空間である「隠れ場」に保管できる。「剣気結晶」は電池、あるいはエネルギーカートリッジとして「剣気」エネルギータンクの役割を果たす。


 なお、神々から剣奈に与えられるご加護は「神気」である。体外から身体全体に浸透するように与えられる。剣奈の「癖」として与えられた「神気」はいったん丹田チャクラに集められる。


 なお、剣奈は剣人ワールド的解釈で「剣気」を使うことにより可能となる超人的行為を「マジカルパワー」と認識している。剣気については「MP」だと認識している。そして「剣気結晶」を「MPリザーブカートリッジ」と認識している。

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