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デートトレーニング

作者: 石神観遥

「夢の国はあるのに、夢の町や夢の村はどうしてないか、知ってますか」

「さあ……」

「知りたくないですか」

「そうですね」

「けっこう重たい話なんですけど、大丈夫ですか」

「はい」

「かなり裏情報で、表に出したらまずいんですが、なんと夢の国が夢の町や夢の村を攻撃しているからなんですよ。夢の国はライバルを作りたくない。だから、ライバルになりそうな存在を、いろいろな方法で……具体的には、夢見が悪くなりそうな法律とか物理とか裏金とかを使って、潰していくんです。見せしめ。全国各地に夢の町や夢の村の残骸が残ってるのはそういうわけなんです」

「へえ」

「あと、インスタ映えのする聖地ってたくさんあったりするじゃないですか。どこか行かれたことありますか」

「えーっと」

「一緒に行くとなると、目移りして選んじゃいますよね。人が多すぎると疲れるし、秘境すぎると行くのは大変だし、熊が出そうだし。だけど、吊り橋とかあって、渡ったりするのも楽しそうじゃないですか」

「たしかにぃ」

「でも、吊り橋効果ってやつ、本当は全然効果がなくて、どうせだったら銀行強盗やって、人質にしたきれいな行員さんとかを恐怖で支配したほうがうまく行くって……あれ、私の話、面白くないですかね」

「いえ、そんなことは……」

「ひょっとしてどこか調子が悪いんですか。ずっと気になってたんです。ヘンな雑学ばっか入れて、話がつまらないとか、KYだとか言われることがたまに、ごくまれにあったりするんで」

「……あはははは」

「そうだ、正直に白状しますと、さっきお参りした神社でおみくじ」

「引きましたね、大凶」

「大凶こそ大吉ってジンクスが――」

「そろそろお時間ですね」

「あ、本当だ……今日は付き合ってくれてありがとうございます。楽しかった」

「あたしもです」

「あ、あの」

「はい」

「明日も明後日も付き合ってくれませんか。もし、スケジュールが空いてたら。あなたといるのが楽しくて」

「もちろん、喜んで。追加料金は――」

「その、再来年までは……」

「長期割引は利きませんけど、いいんですか」

「だったら、向こう二十年先までだと」

「こっわ」

「コラ、それじゃ……」

「あ、ごめんなさい。つい」

「じゃあ、もう一回、やり直しで……向こう五十年先まで、予約入れてもいいですか」

「マジきっも」

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