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魔王国の宰相 最終篇  作者: 佐伯アルト
Ⅻ 原初の神-Re 〈救世の刻〉
1/66

プロローグ:遡行


「権能、起動」


 体が光に包まれる。過去の世界は、しっかりとその目に捉えていた。そして遂に、意識の時間遡行が発動する。


「行こう、過去へ……」


 体が浮遊感に包まれ、エイジは目を閉じた。



 ふと、引き上げられていく感じがして、その感覚に目を開けると__周囲は不思議な光景だった。星間航行をしているかのように、幾つもの輝きが後方に向けて凄まじい速度で流れていく。その輝き一つひとつは、よく見れば、現在から遡行地点までに起こった事象の風景だった。


 その向かう先に、一際大きな光が見えた。周囲を流れゆく光を、無かったことにして。望むべき過去に向け、手を伸ばした。




「__空を泳げるといっても、山を越えるのは易くないだろう。よって、その群れの大半が__」


 気付くと、そこは見慣れた会議室だった。ベリアルがいて、幹部達がいて。そして、愛しい恋人達が、自分を見ていた。


「……」


 それを認めた瞬間。すっ……と涙が流れる。


「どうした?」


 彼の様子がおかしいことに気づいたベリアルが、心配そうに問いかける。


「い、いや、なんでもない。どこまで話したっけなー」


 つい呆けてしまったが、まさか何があったかなど話せるわけもない。慌てて取り繕うように話を続けようとしたところで__


「……未来で、何があったの」

「ッ!」


 レイエルピナが勘付いたのか、鋭い指摘をする。それで彼の違和感の正体に気付いた者たちも、彼の瞳を見る。一部のいまいちピンと来ていない者たちも、それに倣う。


「参った……君達に隠し事はできないな」


 彼女たちだけには、最後の能力について教えてある。それ故だろう、何があったか見抜けたのは。


 エイジは力無く椅子に身を投げ出すと、項垂れながら話し始める。


「分かった、話すよ……未来で、何があったのかを」


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