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偉い人トップ3

 ふー…満足満足。夢中で食べてたらいつの間にか全部食べてしまった。大の大人がクッキーに夢中になるなんて少し恥ずかしいけど、それぐらい美味しかったんだから仕方ない。


「ごちそうさまでした。とてもおいしかったです」


「そりゃよかった。そんなもんでいいならいつでも食わせてやるよ」


 そう言いながらわしゃわしゃと頭をなでられる。ジェットとは違って少し雑だけど全然嫌じゃない。…うん、この人はいい人だ。大男だし顔も少し厳つい感じだけど、お菓子もくれるしなでてくれる。それに笑った顔がかわいいし。


「じゃあ…また、食べたいです」


 なでられてることに少しの照れと気恥ずかしさを感じながらも正直に希望を伝える。だって本当においしかったんだもん!


「うっ…!」


「!?」


 上目遣いで少し頬を赤く染めながら笑顔を向けられ、あまりのかわいさにダルダは思わず胸を押さえ蹲る。普段子供に怖がられることが多い自分に向けられた破壊力抜群の笑顔。耐性のないダルダの心臓を容赦なく打ち抜いた。ダルダは思った…愛し子とは天使だったのか、と。


 だが、もちろんダルダが悶えているだけなどと知らない瑠美は、いきなり胸を押さえ呻き声をあげたダルダにビクっとする。どうしたらいいか分からず後ろにいたジェットを見れば、にこにこしながら頭をなでられた。なぜだ。


「もう~!ルミはかわいいわね~!」


「…よく分からない」


 すり寄ってきたセレナを抱き上げながら小さくこぼす。突然「うっ」なんて言った後に蹲ったんだぞ?その後に「かわいいわね」なんて言われても嬉しくもなんともないんだが…。


「これから毎日持ってきてやるからな!」


「いや、毎日はいらない」


 復活して「俺は決めたぜ!」みたいに言われても毎日はいらんよ。つい敬語も無しで返しちゃったよ。というか、持ってくるのはあなたでも作るのあなたじゃなくて奥さんでしょ?


 肩をガックリ落としてるけど…そんな落ち込むことか?なんか断った私が悪いみたいじゃないか。


「お待たせいたしました。…?人払いが済みましたのでご案内します」


 あからさまに肩を落とし落ち込む大男にどうしようかと悩んでいると、さっき出て行った青年が戻ってきた。シロくん!なんていいタイミングなんだ!でも、落ち込んでる仲間を一瞥しただけで無視して話を進めるのはちょっとかわいそうではないのか?見た感じあなたの上司っぽいけどいいの?あれいつもなの?



――――――

――――――――



 誰ともすれ違う事なく案内された部屋は上品で落ち着いた感じの部屋だった。進められるままソファに座ると、ノックがして侍女さんが入ってきてあっという間に紅茶を入れてくれた。さっきクッキーを食べて何か飲みたかったからありがたい。


「ありがとうございます」


「っ!」


 侍女の人は一瞬驚いた様に目を大きく見開くと、にっこりと笑いながらお辞儀をし出ていった。


「あの人びっくりしてたみたいだけどなにか作法とかあった?」


「お前のせいだろ。大人しくそれ飲んでろ」


「アズールには聞いてませーん」


 ジェットに聞いたのになんでアズールが答えるのさ!紅茶は飲むけどね!


 ムッとしている瑠美は理解していないが、他の全員はなぜ侍女がすぐに出て行ってしまったのかしっかり分かっていた。当然、無作法だったわけでもない。


 瑠美は自分の容姿を「まぁ不細工ではないだろう」ぐらいにしか思っていないが、実際はそんなもんじゃない。長いまつ毛に大きなたれ目、見るからに透き通ったなめらかな肌。何も塗っていなくても綺麗に色づいている唇。さらに髪の毛はキラキラと輝く銀色。


 簡単に言えば、瑠美は10人中10人が美少女と答える美少女なのだ。


 人払いされている中でも給仕でき信頼されている完璧な侍女でさえ、瑠美の笑顔にやられ動揺を一瞬でも隠し切ることが出来なかった。むしろそれだけに抑えしっかりと業務を果たした彼女を責められるか?いいや出来ない。口には出さないがこの場にいる瑠美以外の全員が同じことを思っていた。


 アズールの言葉も言い方は悪いがあながち間違いではない。そう思うからこそ、いつも制裁を下すセレナも何もせずに瑠美の隣で丸くなって寝ている。


  



 しばらくするとまたノックが聞こえ、扉扉が開かれて何人かの人が見えた。ちなみに大男さんは部屋に入ってすぐからめっちゃくつろいでる。立つ気ゼロ。それでいいのか。


 入ってきたのは男の人が三人,その後ろからシロくんも入り扉を閉める。…やっぱりみんな背が高いし一人は大男さんみたいにガタイもいい。全員絶対二メートルは……あれ?そういえばさっきの侍女さんも…。


「待たせてしまって申し訳ない。私は国王のジン・フォン・ディエスだ」


「私は宰相のルドルフ・キャベルです」


「ボクは魔法省長官のクラウス・バートンだよ」


 ぼーっと考え事をしてたら、いつの間にかみんな座って自己紹介が始まってた。…って国王!?びっくりしてまじまじと目の前の人を見ていると、横から「あっ」と聞こえた。大男さんだ。


「そういえば俺らも名前言ってなかったな。俺は騎士団団長のダルダ・フォーレストだ」


「私は一番隊隊長のカイ・ローウェンです。名乗りが遅くなり申し訳ありません」


 騎士団団長…思ってたよりも結構偉い?人だったし、やっぱりダルダさんはカイさんの上司だったんだ。ていうか、国王とか宰相とか聞いてもみんな驚きもしないよ。なんでよ、驚いてる私がおかしいみたいじゃん。驚いていても話は進む。


「カイから簡単に説明はしてもらったんだが……その少女が愛し子様であなた方が聖獣様でいいんだろうか?」


「そうだ」


 王様と言っていた金髪の人の恐る恐るといった言葉に何故かアンバーが胸を張っている。


「よろしければ愛し子について聞いてもいいでしょうか?聖獣様の事は分かるのですが愛し子という存在を初めて聞いたもので」

 

 王様達がアンバー達に話しかけてるのを聞いて、私的に引っかかる単語があったんだけど。みんなを見ても特に気にした様子もない。私だけ?

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