表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/16

この世界で初めての

 セレナの問題発言を聞いた私達は、セレナが持ってきてしまったという箱を中心に円になって座っている。


「で。セレナさん?」


「は~い。ルミは気づいてなかったと思うけど、みんなで温泉に移動してるときに人間が二人来てたのよ~」


 そうなの?みんなを見ると頷いてる。アズールさんや、「そんなことにも気づいてなかったのか」みたいな顔されても困るから。最近魔法を使えるようになったばかりの私に、そんな特殊能力が備わってるわけないでしょ?ジト目で見返しているとジェットが優しく頭をポンポンとしてくれる。


「こんな奴のこと気にしなくていいのよ~。でね~?そのうちの一人が森の近くにこの魔道具を置いていったから、ちょっと気になって回収したのよ」


「魔道具?魔法の道具?」


 初めて聞く言葉に頭を傾げながら聞き返す。魔法の道具…なんか危険な物だったらどうしよう。でもそんな私の心配をよそにセレナはなんてことないというように説明を続ける。


「そんな感じね~。これにもあるけど、魔道具には必ず魔法陣が刻まれているの」

 

 言われて魔道具を手にとって見てみる。くるくる回すと丸い模様が描いてある面と文字が描いてある面があった。丸い模様のこれが魔法陣だろう。


「だいたいこれに魔力を注いで使ったりするんだけど~、回収したときにはもうこれ動いてたから何かしらの目的で置いたのね~」


 起動中と聞いて慌ててポイっと放り投げる。だってなんか怖いじゃん。そしたら「ちゃんと今は停止させてるから大丈夫よ~」とすりよりながら教えてくれる。ちょいちょい言うの遅いよセレナ!


「ふむ。とりあえずどんな人間なのか見てくるか。ルミはどうする?」


 アズールの言葉にうーんと考える。すごい見たいわけではない。ないけど気になるのも事実だし…。


「こっち来てから人間見てないからちょっと見てみたいかな?」


「じゃあみんなで行こうか!」


 というわけで、みんなで移動します。何で?転移で。ここは大体森の中心で、この森自体相当広いらしい。私の活動範囲が狭いからイマイチ分からないけど、私より遥かに運動能力が高いみんなが言うぐらいだから私の想像よりも広いんだろう。


 そして彼らがいるという場所は森の外だから結構距離がある。軟弱な私が普通に歩いて行こうとすれば、休憩無しでも確実に丸二日はかかる。もしかしたらもっとかかるかもしれない。


 だから手っ取り早く転移で移動する。私はまだ自分一人でしかやったことないし距離も目視出来る範囲でしかないけど、みんなは当然複数人一緒でもどんな距離でも一度行った事があれば転移出来る。さすがだね!



――――――

――――――――



 今私達の数メートル先には剣を持って騎士のような格好をした人が二人。ようなっていうか絶対騎士だよね~。二人は何か話をしてるみたいだけど・・・なんか困ってる感じ?


「おい、あいつらお前が盗んだ魔道具探してるんじゃねぇか?」


 なんですと!?バッっと思いっきりセレナを見るけど当の本人は全く気にした様子もなく、くわ~っと欠伸までしてる。


「盗んだなんて人聞きの悪い。借りただけよ~借りただけ~」


「物は言いようだな。で、あいつらはどうすんだ?放っておくか?」


 くあ~っとセレナのが移ったように欠伸をしながら言うアズール。もうすでにめんどくさくなってきてるんだね。なんかあの人達がかわいそうだな。


「彼らに悪意は感じられないし、僕が返してくるよ」


「大丈夫なの?」


 人型でも聖獣だからそんな簡単に外に出ていいの?って思って聞いたけど、ジェットは「問題ないよ」って笑いながら二人に近づいていく。向こうからどんな風に見えてるのかわからないけど、森を出た瞬間に初めて認識したみたいに外の二人がびっくりしてた。


 まあ、実際そうなんだろうけど。じゃなかったら数メートル離れているとはいえ、声も潜めず普通に会話してる私達に気づかないなんてことないでしょ。


 身振りでしかわからないけど、ジェットは剣の柄に手をかけてる二人を宥めているみたい。あっ、魔道具投げた。可哀想に…めっちゃ慌ててるじゃん。


 そのまま帰ってくるかと思ったけど、何かまだ話してる。警戒だけだった顔に驚きと困惑というかよくわからないって感情が混ざってきてる。何話してんなかな?…あっ、帰ってきた。


「彼らなら信用できそうだよ」


「何を話していた?」


「そろそろルミも人間と交流を持ってもいいかと思ってね。何かあればここに帰ってくればいいんだし」


 なんと。私のために交渉してくれていたのか。それなら二人のあの表情も納得だ。どうせ碌な説明もしないで軽く遊びに行くから的な言い方しかしてないんだろう。いきなり現れた不審人物におそらく大事な物であろう魔道具を投げられさらにいきなり変なことを言われ……。きっと返事もさせてもらえずにまた姿を消されたんだろう。しょうがない。それが彼だ。 


「うむ…。我も外に行くのはいいと思うが、ルミはどうだ?」


「私はー…」



――――――

――――――――



「はじめまして。いきなりこんな事になって申し訳なく思いますが、よろしくお願いします」


 ぺこりとお辞儀をした私は、今森の外にいる。私の周りには当たり前のようにみんなが。「聖王なのに森から出ていいの?」って聞いたら、「森の子達が全員で守っているから大丈夫よ~」だって。ってことは、みんなの代わりは全員でやらないと間に合わないってことですか?


 …みんなごめんね。それを聞いて思わず近くにいた聖獣達に抱きついて謝ったら、「ルミのせいじゃないよ」「自由すぎる聖王様達が悪いんだよ」「ワタシ達は投げ出さないでちゃんとがんばるよ」って…。


 チラっとみんなを見たら、聞こえない振りをしたり目が泳いでいたり申し訳なさそうだったり…。この子達に悪気がない分余計グサグサ刺さったんだね。私だったら泣いちゃう。


 ジェットお手製のワンピースにこれまたお手製のショルダー型の魔法鞄(マジックバッグ)にロロの実と私が作った実をある程度詰め込み、森のみんなにいってきますをしていざ出陣。


 ぞろぞろと出てきた私達にこれでもかと目を見開き驚いてる二人に、さっきの挨拶をした。はじめましての挨拶はしないとね!


 ……未だにフリーズ中だけど、いつ再起動するかしら。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ