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かみいく  作者: たけさん
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2章 異世界の始まり

とうとう異世界に行きました。小説というものを書いたことがなかったので書き方が難しいですね。改行のタイミングやかっこのつけ方など。そういう部分も読みにくい等あれば教えてほしいです。

2-1 異世界探索


 フェクタ「ここが異世界ってやつか。」

 フレク「そうみたいだね。」

 フェクタ「見た目はゲームとかでありそうな感じだね。」

異世界に来てこれだけの会話の中で二人は周りからたくさんの情報を得ていた。


フェクタ

 見渡す限りは草原か。空の形がおかしい。雲の動きもおかしい。もとの世界とは物理法則が違うのか。この世界はエネルギーで満ちているようだ。自分もそうだが生命、物質に限らずエネルギーがあると感じられる。これはこの世界に来て身に着いた能力なのか。そして重力という概念がないのか重力が小さいのか。少しジャンプするだけで15mは飛べそうな気がする。そして空気がないように感じる。試しに息を止めてみるが辛くなることがない。そして何よりもこの溢れるエネルギーを自由に扱えるという自覚がある。とにかくこの世界の物理法則を理解し、このエネルギーの活用法を会得しなければならないなと思考を止めた。


フレク

 ここは草原なのか。違う。エネルギー世界とでもいう場所なのか。この世界は溢れるエネルギーがすべてなのかと悟った。そしてそれを扱える自覚もあった。そしてすでにエネルギーに溶け込もうとしていた。


 フェクタ「やっていけそうだな。」

フレクが何かをしているのを読みつつ、何よりもフレクから感じる大きなエネルギーに驚きつつそうつぶやいた。


 フレク「そうだね。」

エネルギーに溶け込み捜索をしつつやはりフレクもフェクタのエネルギー量に驚きつつ答えた。


 フェクタ「どう。」

 フレク「ここを中心にすると3方向に大きな力がある。その3つを繋ぐと正三角形になりそうだ。1辺1万キロはありそうだ。そしてその三角形の外側はエネルギーが乱れていて探索しにくい。特に北に行くほどやばいね。」

 フェクタ「そうか。もう少し見てみるか。」


 そうつぶやくと二人は同時に飛んだ。文字通り飛んだ。跳んだではなく飛んだのだ。フェクタは飛行機の構造を頼りにエネルギー密度を体の上下で変え浮力を生み出し浮いていた。フレクはエネルギーと一体になりそのまま移動していた。

 一気に上空1000mくらいまで上がり見渡すと驚くことに地平線といえるものがなかった。この世界は丸い星ではないらしい。フレクは驚いたがフェクタは予想していたようだった。そしてフェクタはエネルギーで天体望遠鏡を作っていた。フレクにはそう見えたが構造を詳しく理解していないフレクには真似できない芸当だった。


 フェクタ「僕たちが見える。」

 フレク「一周して自分たちが写っているのか。」

この世界は丸くない上にずっと同じ方向に行くと同じ場所に戻ってこれるらしいことが分かった。そしてフェクタは北の方を見ていることにした。


 フレク「あぶない!」

フェクタが北を向いてから数秒後、そしてフレクがフェクタをどついたその数秒後、フェクタの目が合ったあたりに赤いレーザー光線みたいなものが通りすぎるのを二人は確認した。


 フェクタ「今のはなんだ。」

 フレク「分からないが危険を感じた。」

 フェクタ「この世界の探索はこの辺にしてさっき見つけた3つの力のどれかに行こう。おそらく都市だろう。」

 フレク「そうだね。これ以上はここで見ていても分からないどころか危険そうだ。」

 フェクタ「さてどれに行こうか。」

 フレク「北が危険だからその近くにするか一番遠くにするか、間を取るか。」

 フェクタ「危険地のほうが情報は多そうだ。」

 フレク「決まりだね。」


北の都のはずの場所を目指して進んでいくことになった。道中で見たこともない植物や動物を確認しつつ二人は進んでいく。


 フレク「敵意を感じるよ。」

 フェクタ「あの鳥みたいなやつか。」

 フレク「この世界の法則ってやつを試してみようか。」

 フェクタ「ちょうど二体いるし一人一体を倒すってのはどうだろう。」

 フレク「いいねー」

 フェクタ「それじゃ僕からやらせてもらうよ」


 フェクタはこの世界の普通が分からないのでまずは知りうる強いものということで核融合炉を思い浮かべていた。掌に集中したエネルギーで核融合炉を作りエネルギーを圧縮し球状にしていく。そして鳥のほうへ打ち放ってみることにした。


 フレク「一人一体って言ったじゃないか。」

 フェクタ「まさかあそこまでの威力とは思わなかったんだ。けっこう小さくまとめたつもりだったんだけど。」

 フレク「次なにか出てきたら俺がやるからね。」


 そしてその後は何事もなく都市についてしまったのだった。


 フェクタ「さてこれからどうしようか。」

 フレク「まずは情報収集とこの世界での生き方だね。」

 フェクタ「そうだな。衣食住の確保と情報だね。」

 フレク「じゃあ、5時間後にここ集合でそれぞれ各自で情報収集でどう。」

 フェクタ「そうしようか。情報も分担しよう。僕はこの世界のことを調べる。」

 フレク「俺は衣食住のほうを頑張るよ。」

 フェクタ「んじゃ、5時間後な。」


 フェクタは図書館を探していた。これだけ大きな都市ならこれまでの歴史や書物を保管している場所くらいあるだろう。そこの本を片っ端から読めばだいたいわかるだろうと予想していた。

 フレクは町をぶらつきながらどうしようか考えていた。お金がなければお店に入ることもできないなと。ただ町に入ってから気になっていた場所があったので行ってみることにした。


 フレク「うわー、この辺はひどいな。」

スラム街と言えばよいのか大きな都市でもこういうのはあるみたいだ。でもここの人たちならお金がない生き方を知っているはず。と思って歩いていると何やら人だかりができていた。何やらゲームをやっているらしい。見ていると簡単なゲームだった。小さな的がありそこにボールを投げて当てるというものだ。守り側は的に触れなければ何をしても良いらしい。攻め側は守りの人と的に触れなければ何をしても良いというシンプルなものだ。見ていると挑戦者はみな攻めで毎回守りの人にボコボコにされているようだ。それでも挑戦者次々出てくるのは不思議なものだ。お金の相場が分からないがかなりの額なのかもしれない。

 

 フレク「なぁ、このゲームに勝った賞金てのはそんなにすごい額なのか。」

 見物人「お前何言ってんだ。このゲームやるやつはここで死ぬか生きるかを決めに来てるんだ。じゃなきゃあいつに挑むやつなんていないよ。」

 フレク「なるほど。じゃあ勝てばそれなりに遊べるんだな。」

 見物人「それなりどころか贅沢しなければ数年は生きられるさ。まさかあんたやるのかい。そんな細見じゃすぐ死んじまうよ。」

 フレク「もう少し見てから決めようかと思っていたが時間もないし次当たりやってみようかな。」


その言葉が聞こえていたのか。

 守りの人「おい。そこのやつ次やるってか。やめておいた方がいいぜ。俺もあんたみたいな兄ちゃん殺したいわけじゃないからな。」

だが、俺は気づいていたこの兄ちゃんやべぇ。かなり強い。久々に楽しめそうだが勝てるか分からねぇな。

 ゲームマスター「いいじゃないか。やりたいというのなら。」

 守りの人「マスター。次の勝負で俺は引退になるかもしれないですぜ。」

 ゲームマスター「まさか。あの少年が。そんなに強いと。」

 守りの人「どうだかな。でもあんたがいいって言うなら俺は戦うぜ。」

と話している間に挑戦者は倒れていた。


 フレク「俺の番でいいってことかな。」

 守りの人「俺はリヒトってんだ。あんちゃんの名前は。」

 フレク「フレクだ。」

 リヒト「そうか。楽しめそうだな。たまには本気でやるのもいいな。」

 ゲームマスター「ルールは分かっているかね。見物人の諸君もどちらが勝つのか賭けてもいい勝負になるかもしれないよ。今回はあのリヒトが勝てないかもという相手だ。」

 見物人たちにはリヒトが勝つようにしか見えなかった。

 フレク「その賭け俺は俺にかけることはできるのかい。ただ俺は今、一文無しなんだけどね。」

 リヒト「くくく。あんちゃん金なくてここに来たのか。面白い。俺があんたに賭け金貸してやるよ。」

 フレク「いいのか。俺は勝つつもりだよ。ちなみに賭けの上限はあるのかい。」

 ゲームマスター「上限は100万デンだよ。」

 フレク「よくわからんがそれでいいや。」

 リヒト「そのかわりお前が負けたときは俺の下で一生働いてもらうぞ。金がないんだからな。」

 フレク「分かったよ。」

見物人の賭けはリヒト優勢という感じになった。それもそうだろう。誰もこの時点ではフレクの実力に気づいていなかったのだから。


 ゲームマスター「では開始だ。このボールが10分以内に的に当たればあんたの勝ちだ。それ以外はあんたの負けだ。」


 リヒトはボールと的の間に立ち動かなかった。フレクはとりあえずボールを投げてみることにした。全力で的に向かって投げた。

 このときリヒトは勝ちを確信していた。このゲームの必勝法はボールを奪い壊してしまうことだと知っていたからだ。おそらくフレクに勝てないリヒトはボールが手を離れるのを待っていたのだ。そしてボールに向かって全力で手刀を振りかざす。

 その挙動をみてフレクは理解した。このリヒトというやつただの殺戮マシーンではなくこのゲームを理解していると。フレクはボールをリヒトの間合いに入る直前で止めた。フレクはボールにエネルギーを纏っていたのだ。そして自由自在に動かすことができる。

 リヒトは驚かなかった。ボールがスぺを纏っているのは分かっていた。そしてそうなると思っていた。


 リヒト「はーっ!」

声とともに近くの空間がはじけたかのようになり、ボールは吹き飛ばされてしまった。そして纏っていたエネルギーもなくなりフレクの手元に戻ってきたのだ。


 フレク「ははは。まさかそんなことが出来るなんて。すごいな。そういう使い方もあるんだね。」

リヒトは最初どれのことかわからなかった。目の前にいる少年がスぺのことを知らないとは思っていなかったからだ。


 リヒト「まさかお前。スぺの扱いを知らないのか。」

 フレク「へぇ。このエネルギーみたいなやつはスぺっていうのか。」

 リヒト「なんてやつだ。」

 フレク「じゃあ次いくよ。制限時間もあるし。今のは小手調べだからね。」


 リヒトには一瞬フレクが消えたように見えた。いや消えたのだ見失った。ただ気配は近くに感じる。どこから来るのか。リヒトは的にスぺを纏わせていた。的に近づくものがあれば感知し、はじき出すためだ。

 フレクは空間に充満しているスぺと同化するかのように空間を移動していた。この世界の人にスぺと同化という概念はなかったようだ。スぺは扱うべき道具であり手段なのだ。それ自体と一体になることは想定していなかったのだ。フレクは消えたわけじゃない同化して認識しにくくなっていただけだ。フレクは同化してから一気に移動するつもりだったが。同化した時点でリヒトが自分を見失っていることに気づいた。


 フレク「はーっ!」

フレクは正面からリヒトを殴り飛ばした。的とは反対側に。リヒトも自分がまさか吹き飛ばされるとは思わず的との距離をあけてしまったのだ。


 フレク「勝負ありかな。」

と言ってボールを直接的に着けようとしていた。そう投げるのではなく。

 その時、的周辺に用意していたスぺが爆発しフレクを襲った。その瞬間にリヒトの下段蹴りは完全にフレクを捉えようとしていた。リヒトはこの爆発がフレクをやれるとは思っていなかったのだ、それをフェイクに距離を詰めかたをつけようと考えていた。

 フレクは的周辺に少し違和感があるというのは思っていたが爆発するとは思っていなかった。そのせいで一瞬的を見失ってしまったのだ。そして背後に迫るリヒトの対応を優先することにした。フレクも何かされると思っていたが先に的にボールをつけてしまおうと思っていたのだ。何をされても良いようにフレクは全身にスぺを纏っていた。

 リヒトは全身にスぺを纏う防御方法は基礎中の基礎として心得ている。もちろんその対処法も。その上でのこの全力の蹴りに対し、フレクがどうするのか楽しみでもあった。

 次の瞬間リヒトは吹き飛んでいた。蹴りをした自分が吹き飛んでいる事実に最初気づかなかった。何が起きたのか。

 リヒトはああいっていたがフレク自身もリヒトと普通にやって勝てるとは思っていなかったのだ。リヒトは強いと分かっていた。だからこそ自分を殺す勢いで攻撃してきてほしかったのだ。フレクは前の世界の学園生活では合気道を得意としていたのだ。フレクはそもそも防御のためにスぺを全身に纏っていたのではなった。相手の攻撃を感知し合気道の技で返すための準備だったのだ。フレクは自分が的に近づけばこうなると予想していたのだ。そして的にボールが着いた。


 フレク「俺の勝ちだな。」

 リヒト「今の技はなんだ。」

 フレク「合気道っていうんだ。今度教えてあげるよ。」

 リヒト「聞いたことない技だな。」

 リヒト「マスター申し訳ないが俺の役目はここまでだ。勝てない守り人なんていらないだろ。次の人を探してくれ。」

 フレク「さてと賞金はもらっていくぜ。じゃあな。」

 リヒト「待て。少し話さないか。」

 リヒト「お前の知りたいことを俺は知っていると思うぞ。」

 フレク「ほぉ。俺が何を知りたいかわかるのか。」

 リヒト「そうだな少なくともお前はスぺを知らない。そしてこの町のルールもあまり知らないんじゃないか。」

 フレク「そうだな。コーヒーの一杯分くらいなら付き合ってやるよ。」

 リヒト「決まりだな。ついてこい。」


 静まりかえる見物人をあとに二人は去っていった。


 そしてフェクタとフレクが分かれてから5時間が経とうとしていた。


 フレク「フェクタ。遅かったな。何かわかったか。」

 フェクタ「あぁ、概ね分かったさ。これからの方針もだいたいは決まったかな。」

 フレク「そうか。それなら情報共有といこうか。」


情報をまとめるとこうだ。

 ここは第一の都市ストール。そしてほかに2つの都市があり第二の都市カンドール、第三の都市サディールだ。それぞれの都市は役割が異なるらしい。ここストールは主に戦闘が主で討伐を得意とするものが集まる。カンドールには採取、つまりものを集めるものが集まる。そしてサディールには加工、武器や道具をつく職人が集まるのだ。そしてそれぞれの都市には階層が存在し、ポイントをためることで上位層に上がることができる。上位に行くとより多く情報を得ることができ、そしてより豊かだと聞く。

 そしてそのポイントをためるためには世界登録というものをやらなければならない。いわゆる戸籍登録、ギルドへの登録みたいなものだ。ここに登録すると様々な依頼を受けることも出すこともできる。そしてその依頼達成でポイントが増えるのだ。ポイントは討伐、採取、加工で3つに分かれておりそれぞれためなければそれぞれの都市の上位層には行けない仕組みだ。階層は各都市で10段階あるらしい。

 エネルギーと言っていたものの正体はスぺというらしい。この世界はすべてスぺによってできている。スぺを極めれば世界すら作りえることを意味している。基本的にこの世界の住人は全員このスぺを扱えるらしい。ただその才能は先天的なものが大きく、後天的に成長は大きくはない。ただ空間に満ちているスぺの扱いは修行次第で大きく変わるらしい。この世界の多くの人は最初、詠唱という形でスぺを扱うらしい。多くのスキルが載っている本がたくさんあった。ただこのスぺというのはこの世界を作っている物質でその性質を変化させることで色々なことが出来るものらしい。原子の概念と近いのかもしれない。それを自由に扱えるこの世界はきっと無限大の可能性を秘めているだろう。

 お金の単位はデンというらしい。1デンが10円くらいの感覚だろうか。フレクはあの一瞬で1000万円くらいの大金を得たことになる。デンという通貨を使い、モノやサービスが流通している。これは元の世界と似ている。

 そしてこの世界の歴史はおかしい。文明の発展がないのだ。一番古い歴史の時点でこの世界が出来上がっていた。最初からこの3つの都市があり、それぞれの役割があった。そこまでの過程がどこにも載っておらずそこに疑問を持つものを現れていない。これはこの世界の謎かもしれない。ここにこの世界の改変のヒントがありそう。そしてこのストールという都市は年に一度、魔族に襲われる時期があるらしい。年に一度、定期的に襲ってくる意味も分からなければ目的も載っていない。ただそれがイベントなのか。そこで活躍するためにみな鍛えているのだ。これまで歴史上そこで都市が壊滅したことはない。ただ都市の人口が半減したことはあるのだ。何のために攻めて来るのかも謎だ。そして攻めて来る根源と考えられるのが魔王の存在だ。北の果てにいると言われている。魔王バスキュートの存在だ。おそらく最初にこの世界に来て北から来た赤い光は魔王の仕業かもしれない。


 フェクタ「まぁこんな感じだな。」

 フレク「まずはこのストールを本拠地にしてやっていくか。」

 フェクタ「金もあるしとりあえず家作って世界登録してだな。」

 フレク「当面は各都市の上位層を目指すことになるかな。」

 フェクタ「そうだな。あと魔王の情報とこの世界の成り立ちを調べる必要があるな。」

 フレク「てか家買うんじゃなくて作るのか。」

 フェクタ「この世界の家はスぺで作れるんだ。そしてどの家も魔族に襲われる時期、リポルに対しての対策がおろそかなのと地下や隠し扉という概念があまりないらしい。自分たちで良い家作ったほうが安全という判断だ。」

 フレク「上の階層ならもっと良い家があるのかもしれないけど仕方ないか。」

 フェクタ「そして階層上げるのもかなりポイントが必要みたいだから手分けしよう。討伐ポイントは一緒に貯める。そして僕は加工のポイントをフレクは採取のポイントをためるんだ。そしてそれぞれの都市の上位層で分かったことをその都度共有していく。」

 フレク「オーケー。」


 フェクタ「とりあえずこの辺にするか。スラム街の端の方なら誰にも邪魔されないだろう。」

 フレク「そうだね。ここに家作っちゃうか。土地代とかないのかな。」

 フェクタ「その時を事後処理でどうにかしよう。」

 フレク「よし。さくっと作ってしまおうか。」


 それを見守る少女の姿があった。もちろん二人は気づいていたが放置しておいた。ただ細心の注意を払っていた。なぜならその少女は普通じゃなかったからだ。手足には枷がついており服装もボロボロ。奴隷というやつなのだろうか。そんな印象だった。だが注意したのはそこじゃない。二人から見てこの少女は自分たちに匹敵するスぺを持っていたのだ。枷なんて簡単に外し逃げることもできるだろう少女がなぜそんなことになっているのかということだ。あの枷に何か仕掛けがあるのかこの少女を扱えるほどの人がいるのか。ということを考えていたのだ。

 

 ある日その少女に二人は声をかけられていた。


 少女「。。。」

 フレク「どうかしたのか。そこにいると邪魔なんだが。」

 少女「私を雇ってほしい。」

 フェクタ「なぜだ。あんたならいつでも自由になれるだろう。」

 少女「自由ってなに。」

 フェクタ・フレク「。。。」

 フェクタ「あんたは何がしたいんだ。」

 少女「分からない。ただ生き残りたい。」

 フェクタ「うーん。まず君の名前は。」

 少女「分からない。ただマオと呼ばれている。」

 フレク「マオ。俺たちは足手まといを必要としていないんだ。」

 マオ「私は足手まといにはならない。言われたことはなんでもする。」

 フェクタ「言われたことをできるやつはいらない。そいつにしかできないことをできるやつがほしいんだ。」

 フレク「マオは何ができる。」

 マオ「分からない。何も。。。」

 フレク「君は耳が良いみたいだね。」

 マオ「分からない。」

 フレク「きっと俺たちよりも耳が良い。ただそれを自覚していないだけだ。そして使えていない。」

 フェクタ「あれやるのか。死ぬかもしれないぞ。」

 フレク「君は死ぬかもしれないけどこれからやることをできれば仲間にするよ。雇いはしない。対等な関係だ。」

 マオ「分かった。やる。」

 フェクタ「それならまず明日までにその枷外して身なりを整えてから来い。その手段は問わない。」


 フェクタとフレクがいうあれとは。前の世界の学園生活でやった感覚強化のことだ。5感のうち4つの感覚を遮断することによって一つの感覚を研ぎ澄ますというものだ。二人もこの方法で5感を強化してある。強化後は5感すべてを使うと得られる情報が多すぎるため普段から遮断しているのだった。必要なときに感覚が増えるようになっている。フレクもリヒトとの戦いの際には5感を開放していたのだ。ちなみにフェクタは視覚、フレクは触覚が優れている。


 フェクタ「マオ。来たな。」

 マオ「うん。」

 フェクタ「これからマオにはこの部屋に住んでもらう。1か月の間生き延びるのがマオにやってほしいことだ。この部屋には3つの扉がある1時間に1度だけ好きな扉を開けると10分間間状態になり10分経つと元部屋に戻され自動で扉がしまる仕組みだ。もとの部屋には何もない。あけた扉の先には生きるのに必要なもの。食事や水、その他いろいろが存在する。ただ人を食うまものや毒など人害なものもある。最初は簡単だ。日にちが経つにつれリスクが大きくなる最終的には扉を開けただけで死ぬこともある。この部屋で1か月生き延びて見ろ。分かったか。」

 マオ「それだけでいいの。」

 フレク「言い忘れていたけど。その際にマオの聴覚以外の感覚を遮断させてもらうよ。」

 マオ「音だけで生きていくの。」

 フェクタ「聴覚以外の感覚は完全遮断。聴覚に関してはマオ自身が変えられるようにしてあげるよ。ただし現状より聴覚能力を上げることはできない。」

 マオ「分かった。」

 フレク「じゃあ。部屋に入って。」

 フェクタ「じゃあ。1か月後に会おう。」


 マオは初めての世界にいた。何も見えない。何も感じない。自分の心臓音がうるさい。自分の呼吸がうるさい。扉の向こうの音が聞こえにくい。手を動かしているのに動いている感覚がない。部屋の触った感覚がない。座っているはずなのに座った感覚がない。ときおり手を叩くとその音がする。地面があるはずの場所を叩くと音がする。それだけの世界。これで1時間ごとに扉を開けるのか。そもそも扉の場所すら分からない。ただ向こう方からなにか音が聞こえるなという程度だった。


 フェクタ「マオは生き延びられるかな。僕は聴覚は苦手だったな。何度か死にかけたよ。」

 フレク「俺もだ。音からの情報はどうも苦手だ。だからこそマオが会得できれば最強になれる。」

 フェクタ「楽しみにしておこう。」



2-2 世界登録と初依頼



 フェクタ「家も完成したしそろそろ世界登録しにいくか。」

 フレク「そうだね。じゃないと始まらないしお金もなくなっちゃうからね。」


 世界登録は簡単に終わった。第一階層の討伐、加工、採取者になったのだった。3つとも登録する人は珍しいようでそこだけ変な目で見られたが気にしないことにする。


 フェクタ「さっそく依頼ってのを見てみるか。」

 フレク「やっぱりストールには討伐依頼しかないんだね。」

 フェクタ「まずは討伐からでいいだろう。」

 フレク「魔王討伐ってのがあるよ。」

魔王討伐という言葉で周囲が少しざわついた。


 フェクタ「へぇ。すごいな討伐ポイントだけで6階層まで行けちゃうのか。それほどのポイント報酬なのに第一階層でも受けれるんだな。」

 フレク「階層によって受けられる依頼に制限はないみたいだね。」

 フェクタ「さすがに魔王はまだ早いだろうし。」

 フレク「何がいいんだろう。全然討伐対象の強さが分からんな。」

 フェクタ「僕も書物では読んだけどまず自分たちの強さ基準も分からないからね。」

 フレク「うーん。」

 リヒト「フレクじゃねぇか。最近見ないと思ったら討伐者になってたのか。」

 フレク「おぉ、リヒト。」

 フェクタ「この人がうわさの100万デンの人か。」

 リヒト「そっちは相棒かい。」

 フレク「こちらは俺の相棒のフェクタだ。よろしく。」

 フェクタ「よろしく。」

 リヒト「よろしく。ところで二人はなにか討伐依頼やるのか。」

 フレク「そのつもりなんだけど初めてでどれがいいのかわからなくてね。」

 リヒト「だからこの前何かあったら頼ってくれって言っただろう。俺もこれから討伐行こうと思うんだが来るか。」

 ミネコ「あら。リヒトが新人に絡むなんて珍しいわね。」

 リヒト「げ、ミネコか。」

 ミネコ「げってなによ。ひどいわね。」

 フレク「そちらのきれいな方はどなたで。」

 ミネコ「あら、この子達かわいいじゃない。私はミネコよ。採取者やってるわ。」

 リヒト「気を付けろ。こいつは討伐者をたぶらかして一緒に行って採取するずるいやつだ。」

 ミネコ「人聞きが悪いわね。だましてるわけじゃないわ。」

 ミネコ「んで今日はどこ行くの。もう決まってるの。」

 リヒト「これから決めるとこだよ。」

 ミネコ「ならこれにしよう。ブラックドラゴン。」

 リヒト「それ新人連れて行くようなとこじゃないだろ。」

 ミネコ「あら、この子達なら大丈夫と見えるけどね。」

 フレク「そのドラゴンはどれくらいの強さなんですか。」

 リヒト「第5階層の討伐者が3人いれば倒せる程度だよ。ちなみに俺は第6階層な。」

 フレク「えっ。リヒトって6階層だったのか。。。。」

 フェクタ「基準が分かるかもしれないな。」

 ミネコ「どうゆうこと。」

 リヒト「この前ちょっとした勝負でそこのフレクに負けたんだよ。俺も驚いたまさか討伐どころか世界登録すらしてないやつに負けたんだよ。」

 ミネコ「それは楽しみね。私の目に狂いはなさそうね。私はちなみに第8階層の採取者よ。」

 リヒト「お前が8階層とか納得いかねぇけどな。」

 ミネコ「実力の差ね。」

 ミネコ「で、どう?いかない?」

 フェクタ「僕は良いと思うけど。」

 フレク「俺も良いよ。」

 リヒト「仕方ねぇ。四人で行きますか。」


都市を出て北のほうへ向かった。都市の三角地帯を抜けると荒れ地が続いていた。そして山っぽいところについた。


 リヒト「このあたりだな。」

 フェスタ「このあたりが生息地なんですね。」

 フレク「この辺りはスぺの濃度がまばらですね。場所によっては戦いにくそうだ。」

 リヒト「ブラックドラゴンは賢くこのあたりの地形は把握して戦ってくると思ってよい。今回は一体討伐すれば良いだけだから群れからはぐれたやつを狙いたいね。」

 ミネコ「群れから外れたドラゴンが一体北北西に25kmあたりの場所にいるわ。ただ少し他よりも大きく強そうだね。」

 フェスタ「この位置からそこまでわかるんですね。」

 ミネコ「だてに採取者やってないわよ。危険から身を守ることが一番大事なのよ。私は戦闘向けじゃないからね。隙を見て採取し危険なところには行かない。危なくなったら逃げるが基本よ。」

 

 フレクも一体外れた場所にドラゴンらしきものがいるのは感じていたが大きさの違いや細かな情報までは分からなかったのでその感知方法が気になったので、今後このお姉さんを観察してみることを考えていた。


 リヒト「じゃあそのはぐれドラゴン討伐と行きますか。」


 5km地点でリヒトにもドラゴンを感知することができた。すなわちそれはドラゴンもこちらを感知していることを意味する。それを感じ取ったミネコは既に気配を消していた。二人にはミネコの位置が分かっていたがリヒトはまだ気づいていなかった。


 リヒト「あそこだな。」

 フェスタ「向こうもこっちに気づいたみたいだね。」

 フレク「リヒトの殺気を感じたんじゃない。」

 リヒト「まだそんなに殺気出しちゃいないよ。ってまたあの女消えやがった。だから言ったろあいつは信用できないと。」

 フレク「まぁいいじゃん。さっき危険なところには行かないって言ってたし。」

 リヒト「さてドラゴン討伐だが。基本ドラゴンはスぺを自在に操るのと体に濃いスぺを纏っている。だからスぺの防御を剥がしたうえで攻撃をしなければならない。そして体内のどこかにコアになる部分がありそこを壊さない限りかなりの治癒能力で回復する。」

 フェスタ「てことはコアを探す必要があるのと、剥がしたあと確実にそこに攻撃を必要があるということか。それは厄介そうだね。」

 リヒト「普通の討伐者はいきなりドラゴンを選ばんよ。最初にも言ったがほんとなら5階層の討伐者が3人は必要なのが普通だ。6階層でも2人は必要だよ。」


と話している間にドラゴンが一瞬視界から消えた。ほぼ瞬間移動みたいな速さだった。巨体のわりにこの速さは驚く。気づいた時には上をとられていた。太陽と重なる位置から的確な広範囲炎攻撃。フェスタとフレクは瞬時に反応し攻撃範囲外に出ていた。少し遅れたリヒトはスぺで耐熱防御を。ただ様子がおかしい。

 

 リヒト「このドラゴンやべぇ。俺の知る限りこの強さのブラックドラゴンは見たことないぞ。ただ大きいだけじゃないみたいだ。」

というのも普通のドラゴンの炎は4000℃近く。十分な火力だがこれならば防御しきれる範囲だった。だがこのドラゴンの炎はおそらく7000℃はある。リヒトが耐熱防御を会得していなければ死んでいたところだ。

 二人にとっては初戦、これが異常なのかすらわからなかった。


 さらにドラゴンは炎をかわした二人に追撃をしていた。それはこの世界独特な攻撃だった。スぺによる直接攻撃だ。スぺはエネルギーで活用するものと考えていたフェスタは判断が遅れた。スぺ自体で攻撃できる可能性は予想していたが方法が分からなかったフレクも反応が遅れた。二人とも吹き飛ばされることとなる。


 ドラゴン「お前たち何者だ。普通ならば今の死んでいるところだが。まさか生きていようとは。」

 リヒト「話せるドラゴンだと。」

 フレク「攻撃に殺意を感じなかったけどね。あと俺たちはドラゴンを討伐しなければならないだけであんたに直接用があるわけじゃないんだ。」

 ドラゴン「何故、ドラゴンを討伐する。」

 フェスタ「生きるためだ。ドラゴンを討伐することで僕たちは生計を立てるんだ。」

 ドラゴン「理解。だがしかしここで死んでやるわけにはいかん。去れ。今のお前たちでは我には勝てんぞ。」

 

 三人とも確かに勝てないかもしれないと感じてはいた。だが二人は少し戦いたいとも思っていた。実践でスぺを使うのもそうだがさっきの攻撃を見極めたかったのだ。


 フレク「分かった。だけど俺もただでは帰るわけにはいかない。もう少し手合わせ願いたい。もしくはウロコの一枚でも貰うよ。」

 ドラゴン「ははは。面白いの。良いだろう。我に傷をつけられたならウロコの一枚でも爪の一本でもくれてやろう。」

 

 次の瞬間驚くことにドラゴンに傷がついていたのだ。三人ともが驚いていた。何が起きたのかと。二人ですら気づかなかった。いくらドラゴンに集中していたとはいえ第三者の存在に。しかもその攻撃に。


 ミネコ「ドラゴンさん言質は頂いたわよ。傷をつけたんだから私はウロコと爪貰うわ。」

 ミネコ「あとはそこの面白い坊やたちと遊んであげてくださる。終わったころに貰いに来るわ。」


 ドラゴン「あの小娘。やられたわ。最近、我を嗅ぎまわっているやつがいると思ったから一人になったがそれを利用するとは。まぁいいだろう。」

 

 フレクはミネコを観察していた。それでもあの攻撃は分からなかった。おそらくドラゴンのさっきの攻撃と同じ類の何かであることは分かった。これを今日で理解しないと今後生きていけないと悟った。


 フレク「ドラゴンさん、じゃあお手合わせ良いのかな。」

 ドラゴン「我はシバナという。良いだろう死ぬなよ。」

 フレク「フェスタとリヒトはどうする。」

 リヒト「俺はごめんだぜ。命が足りん。」

 フェスタ「僕も一緒に戦うよ。」


 そこから1時間ほど戦った。リヒトはこの二人の化け物具合を思い知らせることとなった。ミネコもこの二人は強いと思っていたが成長スピードが想定外だった。私が苦労して会得したドラゴンの戦闘術をこの1時間でほぼ会得しかけていたのだ。


 シバナ「まさかこんなにいい運動ができるとは。なかなか楽しかったぞ。だがドラゴン討伐そんなに簡単にできると思うなよ。」

 フレク「あぁ分かったよ。俺はもうドラゴンは討伐しないさ。色々ありがとう。」

 フェスタ「同じくだ。ありがとうシバナ。」

 シバナ「で、小娘は我の上で何をしている。」

 ミネコ「ドラゴンの汗の採取よ。これは貴重なのよ。」

 ミネコ「さて、採るものとったし帰るよ。」

 シバナ「今回はこの二人に免じて許すが、ふざけた真似をするときは命をかけろよ。」

 ミネコ「あら、私はいつでも命がけよ。」

ミネコのその言葉にはシバナも引くほどの凄みがあった。そして気づくとミネコの気配は消えていた。


 リヒト「結局あの女だけ得して、俺たちは依頼失敗だぞ。」

 フェスタ「仕方ないよ。ドラゴンがあんなに強いとは。」

 リヒト「あのシバナってドラゴンが特殊なんだ。他は話せないしあんなに強くない。」

 リヒト「俺だって前に討伐したことあるんだ。間違いないさ。」


こうして初依頼は終わったのだった。失敗で。ただ二人には得るものが大きかった。スぺという力の使い方の幅が広がったのは大きい。そしてドラゴンとの戦闘でこの世界での戦い方や基本戦術がある程度分かった。



2-3 予期せぬ遭遇


 バスキュートはこの世界に異物が混じってきたことを感じ取っていた。そしてそれを歓迎していた。3人、いや2人か。

 バスキュート「楽しくなりそうだ。」

つい声に漏らしてしまっていた。


 異物が混じってから少し経った頃、何やらこちらを探る動きがあった。しかもそれがさっき感じた相手だと分かり少し気持ちが高ぶってしまった。まさかこの世界に来てそうそうこちらを探ってくるなんて。興味がわいて来たが、まだ慣れないのかこちらまで探れる様子はないので安心していたが。何やら視線を感じたのだ。

 バスキュート「まだ早いぞ。」

と声を出すと同時に指を一本たてていた。そこから赤い光が出ている。

 バスキュート「「よし。視線は消えた。そしてかわされたか。勘が良いのか運が良いのか。気に入ったぞ。」


 シモベ「バスキュート様、いきなり攻撃魔法とは敵襲ですか。」

 バスキュート「騒ぐな。少し遊んだだけだ。」

 シモベ「それなら良かったです。そしてバスキュート様お出かけでしょうか。おめかしして。」

 バスキュート「あぁ。少し面白いおもちゃを見つけたから久々にこの世界を散歩してこようかと思う。」

 シモベ「護衛つけましょうか。」

 バスキュート「いらん。今回はただの散歩だ。何かをする気はない。」

 シモベ「どちらへ。」

 バスキュート「そうだな。都市ストールの近くの森にでも行ってこようかな。」

 シモベ「けっこう遠出ですね。留守はお任せくださいませ。」

 バスキュート「頼んだ。3月経っても戻らなければ使いをよこせ。」

 シモベ「承知しました。」

 

 バスキュートは楽しそうに城を出て行った。



 フレク「今日もこの依頼あるよ。」

 フェスタ「よし行くか。」


 フレクとフェスタは初依頼失敗からはいのしし討伐にハマっていた。というのも難易度は3階層程度で報酬がおいしい上にいのししがおいしいときた。ポイント稼ぎにはちょうどいい依頼なのだ。1階層でこの依頼をこなすのはこの二人くらいしかいないのは言うまでもない。あれからリヒトとはたまに大変そうな討伐を一緒に行くくらいであまり会っていない。ミネコにはよくちょっかいをかけられることが増えた。そして採取ポイントを貯めたいフレクは余計に絡まれるのと利用されるのは仕方がないことだった。フレクでもきれいな女の人相手だと上手くいかないことが多いらしい。

 そして今日もいつも通り近くの森へイノシシ狩りへ行くのだ。


 フェスタ「今日も美味しいイノシシ取るぞ!」

 フレク「どっちが早く狩れるか勝負しよう。」

 フェスタ「気づいたか。」

 フレク「あぁ。何かおかしい。いつもより動物が圧倒的に少ない。」

 フェスタ「イノシシいるのか。」

 フレク「イノシシなのか。」

フレクは一瞬イノシシの気配なのか分からなかった。なぜならその気配があまりにもでかかったからだ。


 フェスタ「まさかイノシシにもあのシバナみたいな話せる強いやつがいるのか。」

 フレク「そうだといいけど雰囲気はやばそうだよ。」

 フェスタ「だね。まぁ討伐しておくか。どっちにしろ危険だろうし。美味しいイノシシいないのも困るし。」


 すでに狂暴イノシシとの戦闘は10分経っていた。二人は倒し方が分からなかったのだ。何度も致命傷を負わせているはずだが死なない。むしろ強くなっていく気すらする。体内にコアらしきものも見つからない。そしてスぺの感じが今まで感じたことない雰囲気だった。これは知らないスぺの形状だった。おそらくそれが影響しているのだろうが、分析しつつ攻撃するが未だに糸口が見つからないのだ。そして倒すたびに強くなっていくイノシシ。


 フェスタ「まずいぞ。これいずれ勝てなくなるんじゃないか。」

 フレク「分かっている。だがどうする。このスぺの分析は時間かかる。直接触れて取り込むのはリスクがでかそうだし。」

 フェスタ「仕方ない。もう少し分析してダメだなら食えなくなるが消失させよう。」

 フレク「どうする気。」

 フェスタ「ブラックホールを作る。原理は分かっている時間があればこの世界なら作れるはずだ。」

 フレク「なるほど。分かったよ。きつくなったらそれしかないね。」


 それから戦い続けるも体力のほうが先に限界になりそうだった。細々に再起不能にしても再生するイノシシはもはや恐怖すら感じつつあった。フレクはスぺの感覚を掴みそうだったが体力的に無理と判断せざるを得ない状況だった。


 フレク「もうこれ以上は危険だ。」

 フェスタ「分かった。準備するから時間稼いでくれ。」

 フレク「了解。」


 フェスタは本当にブラックホールを作り出しイノシシをそこに閉じ込め、それをスぺで蓋をした。そして高密度スぺを纏わせることでこの世界の地中深くに沈めることにしたのだ。二度と出てこれないように。結局倒すことはできなかった。


 フェスタ「想定外だ。少し休憩しよう。」

 フレク「そうだね。休憩してからイノシシ狩りだね。」

といった瞬間に二人は硬直した、死すら見えた。目の前に知らない女がいた。この世のものとは思えない美しい女だった。

 女「あれをあんな風に沈められるとは思わなかったなー。」

 フェスタ「だ、だれだ。何しに来た。」

我ながらいつからそこにという言葉を飲み込めたのは良かったが動揺を隠しきれている自信はなかった。


 女「ひどいな。君たちからちょっかいかけてきたから遊びに来たのに。」

 フレク「身に覚えがないのだけど。人違いじゃ。。」

2人の間に赤い光が通った。

 女「ほらー。これ。見たことあるでしょ。最初にプレゼントしたのによけられちゃったけど。」


 それを見た二人はすべて理解した目の前にいるのが誰なのか。そしてなぜこんなに焦っているのか。最初に死を感じた理由も。


 フェスタ「わりぃな。まさか魔王様がこんなに美しいと思っていなかったんでな。」

 フレク「遊びに来たと言ったけど何して遊ぼうか。」

2人はなんとか言葉を出していた。そんな二人をみてバスキュートは満足していた。そして将来有望そうだなと。


 バスキュート「我が名はバスキュート。ただ君たちを見に来ただけだ。」

 フェスタ「見に来ただけ。」

 バスキュート「そう。君たちも最初に情報収集しようとしてたのだろう。我もそれをしているだけだ。君たちの情報を集めに来たんだ。まさか私のイノシシちゃんが沈められるとは思ってなかったけどね。」

 フレク「あれはあんたの仕業だったのか。」

 バスキュート「坊や。口の利き方には気を付けたほうがいいよ。まだ弱いんだから。」

 バスキュート「ほんとは瀕死の二人を助ける私のシナリオだったのだけどね。」

 フレク「魔王様はそれで満足していただけたのかな。」

 バスキュート「そうね。なので今日は帰るかな。いずれまた会うでしょう。」

 フェスタ「いずれまたか。」

 バスキュート「我の城を目指してるのであろう。楽しみに待っておるぞ。」


 気づくとそこに魔王はいなかった。二人は生きた心地がしなかった。


 フェスタ「今日は帰ろう。」

 フレク「同じことを言おうと思っていたよ。」


次の日


 フェスタ「やはり一刻も早くこの世界のこととスぺのこと、この世界だけの物理法則と概念を理解する必要がある。」

 フレク「そうだね。あのイノシシのスぺは結局分からないし。」

 フェスタ「今日から別行動だ。一緒にちまちまやってる場合じゃない。」

 フレク「そうだね。討伐じゃないほうのポイントも稼がないとならないし。」

 フェスタ「家にいるときに情報共有だ。とりあえず2階層に行くまで各自でやるぞ。」



2-4 2階層へ


 あれから二人は物凄い量の依頼をこなしていた。そしてあれから1か月がたった。そうあれとはマオが部屋に入ってからだ。


 フェスタ「今日で一か月だな。マオ生きてるかな。」

 フレク「最後に扉の中身変えたときはモノが動いてたから生きてるはずだけど。」


 そして部屋を開放し中を見渡す。


 フェスタ「これは驚いた。」

 フレク「まじか。」


 部屋は片付いており、マオは傷1つない状態で出てきたのだ。健康状態も問題なさそうだった。何もなかった部屋には机やイス、ベッドまで増えている。

 これの何がすごいかって。二人が聴覚強化をやったあと二人とも入院したのだ。部屋をあけると部屋はぐちゃぐちゃ汚物なんかも垂れ流し。そして二人ともけがの数が尋常じゃなかった。そして毒にも犯され死んでいないのが不思議だったのだ。聴覚以外の感覚がないと痛みを感じなければ匂いも感じない。毒水を飲んでも想定外のことが起きなければ気づかない。腹痛で汚物垂れ流していても気づかなかったのだ。料理をする際に指を切っても気づかない。

 だがマオはそうはならなかった。フレクはこの子の聴覚はすごいと思っていたがここまでとは思っていなかったのだ。


 フレク「マオ元気かい。これから他の感覚を戻すよ。一つずつ戻すから落ち着いてね。そしてなるべく情報を遮断した方が良い。」


 二人はこの感覚を戻す際に一気に戻され情報過多で脳みそが吹っ飛びそうになったのである。


 マオ「大丈夫です。無事に終わりました。私はこれから一緒にいられますか。」

 フェスタ「あぁ。合格だよ。これからよろしくな。」

 マオ「良かった。」

といってマオは倒れた。健康そうに見えたマオだったがこれまでどうやって生きてきたのか知らないが食べ物をあまり知らなかったようで、栄養が足りていなかったのだ。

 その後しっかり療養し元気になった。マオは聴覚強化を通して、自分で生きるということを実感していた。一か月の間、自分の聴覚だけを信じて生き抜いたのだ。大きな自信と自分で判断する重要性を理解したのだ。そしてもう一つスぺによる音の操作が上手になっていた。


 空気のないこの世界の音とは元の世界の音という概念とは全く別物だ。フェスタは今のところこう理解している。スぺが音というものを発するとほかのスぺがその音に反応しそれぞれのスぺが別の音を発するのだ。そしてそれはスぺごとに異なる。化学変化の勉強をしているかのような話だ。だからこの世界に歌がないのだ。楽器はあっても歌がない。人間は一つのスぺなので意識しないと同じ音しか出ないのだ。体内のスぺは感情によって変化するので普段の会話に音程が出るが、歌としての概念はこの世界には無いようだ。

 だがマオはまさしく歌っているかのようだった。二人には少なくともそう聞こえたのだ。マオが色んな音を発するのを見て聞いて。


 こうしてここからは三人の物語が始まる。そしてマオの一か月の苦悩生活についてはサイドストーリーとしていつか語るときが来るだろう。。。



2-4 2階層へ 



 フェスタ「討伐の2階層に行きたいけどこのままだとマオ置いていくことになるな。」

 フレク「マオにもポイント貯めてもらってその間に俺たちは採取と加工の方を2階層にしちゃおうよ。」

 フェスタ「そうだね。」

 マオ「私は討伐ポイントを貯めればいいんだね。」

 フレク「何日で貯められる。」

 マオ「1週間で貯めて来るよ。」

 フェスタ「色々あったとはいえ僕たちより早く貯めるのか。頑張って。」

 フレク「それじゃ、各自やりますか。」


1週間後。


 フェスタ「さて2階層行きますか。」

 フレク「言ったら行けるのかな。」

 マオ「行ってみよう。」



 フェスタ「あの。第2階層に行けるようにしてもらいたいんですけど。」

 討伐マスター「ポイントたまったんだね。それじゃ第2階層に行くための試験を受けてもらうよ。」

 フェスタ「試験なんてあるのか。」

 討伐マスター「第2階層にはより多く情報と討伐者のための施設も増えるので、それに見合う人物かを見極めるために必要なんだよ。」

 フレク「試験内容は。」

 討伐マスター「簡単さ。試験管の攻撃を5分間耐えるだけだ。ルールは簡単。5分後に立っていればいい。反撃は禁止。ひたすら耐えるかよけるかだ。」

 フレク「つまらなさそうだな。」

 マオ「早くやろう。」


 フェスタ、フレクにとってはそよ風みたいな攻撃だった防御スぺを纏って突っ立っているだけで終わった。マオはすべてよけるという芸を見せた。もちろん防御スぺでもできたはずだ。二人に成長を見てほしかったのだ。


 フレク「マオすごいね。あれ全部よけたのか。俺もそれで遊べばよかったか。」

 フェクタ「終わったことは良い。早速2階層行ってみようぜ。」

 マオ「早くいきたい!」



正直、完結までの内容はすでに脳内にあります。ただそれを文字にするのがとても難しい。文才がないなと感じてしまう。でもこのまま強行突破していきます。どんどん書いていくので続きもお楽しみに。

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