莠コ蠖「縺ェ縺ョ縺ォ
静けさに包まれた聖堂街。そこに取り残されたリュシオルの亡骸。
その亡骸のそばに、コーラカルは居た。
「ああ、貴方も先立たれてしまったのですね」
コーラカルは苦痛がにじんだ声でそう言うと、静かに眠るリュシオルの顔を、人形のように穢れのない、暖かな指でそっと撫でた。そして自身も目を閉じ、彼の死を悼んだ。
彼女の顔は苦痛に歪んでいた。肉体的なものではない。誰かの死を悼む高潔な精神の痛みだ。眉を寄せ唇をかみしめ、白く無機質で美しい顔を小刻みに震わせた。
「あと少しです。あと少しできっと……」
静寂の中、コーラカルは静かに囁いて立ち上がった。リュシオルの亡骸を見下ろし、もう一度だけ顔を歪めて哀悼の意を伝えると、彼女は立ち上がって歩き出し、そしてすぐに足を止めた。
「私は希望を抱いてもいいのでしょうか」
彼女の口から言葉がこぼれ出る。誰に向けででもない、他ならぬ自分に向けた問いかけだった。
「私の抱いている感情は希望と呼んでいいのでしょうか」
コーラカルの脳裏に、死んでいった者たちの顔が浮かぶ。リュシオル、オー、アカリ、エフィ、ファレーナ、グリレ、シガール……そして彼ら以前に、死に立ち会った者たちの顔。膨大な犠牲を出してなお、世界は救われていない。
「私は――皆さんを犠牲にして許されるのでしょうか」
コーラカルは細く美しい腕に力を込め、うつむき、自責の念に耐えた。彼らが死んだ原因の一端は自分にもある。自分が声をかけなければ、彼らはもっと長く生きられたかもしれない。平穏に死を迎えられたかもしれない。それを自分が歪めた――自分の目的のために。
「……」
だが、それでも彼女は前に進まなければならない。コーラカルは顔を上げ、急いで目的の場所へと向かった。
蟲へと立ち向かう、一人の少女の元へと。




