表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/78

閭ク縺後>縺溘>縺ョ

 コーラカルは一人静かに座っていた。


 焚かれた火が、彼女を照らしている。彼女は膝に乗せた少女の頭をゆっくりとなでながら、ただその火を見ていた。彼女の傍には、アダンとオーが死んだように横たわっていた。僅かに呼吸音が聞こえるが、その音は小さく、痛みにかすれていた。


「……コーラカル、さん」

「お目覚めですか」


 少女が――アカリが目を覚ました。


「まだ暗いですよ。お休みください」

「……コーラカル、さん」


アカリは起き上がってコーラカルの胸へ顔を埋めた。体が小刻みに震えている。


「今はお休みすることが……」

「お願い、聞いて」


 今までに聞いたことのない声色だった。本当にアカリの口から出たのか疑いたくなるほど、暗く、黒い声。コーラカルは一瞬たじろぎ、少女の名を呼んだ。


「アカリ様……?」

「わたしね、ほんとはぜんぶ覚えてるの」

「といいますと……?」

「……」

 


 わたしは生まれてきてよかったのかな。

 あの人たちが言ってた。

 わたしは悪魔の子だって。


 あの人たちの教えることはなんでもできた。

 その度にあの人たちは喜んだ。

 それが嬉しかった。


 だって、一度もほめれられたことなかったから。


 でも、あの人たちは怖かった。

 わたしと違う『できない子』にはとても怖い人たちだった。

 ぶったり、ひどいモノでいじめたり、帰ってこない子もいた。


 あの子も『できない子』だった。

 わたしと一番なかよくしてくれた子。

 だから、シガールさんと会った日、わたしはあの子を助けた。


 あの日、あの子と一緒に、先生に呼ばれた。

 その子はとっても優しくて、すてきな子だった。

 それなのに、先生たちはあの子にひどい事をしようとした。


 あの子が泣いて、叫んで、わたしは見ていられなかった。

 だからわたしは、あの子に向けて、覚えた『じゅじゅつ』をつかった。

 先生たちが言ってた、『強くなれるじゅじゅつ』を。


 そして、あの子は『オーちゃん』になった。


 『じゅじゅつ』は使うとすごく疲れる。

 だから私は倒れた。

 でもぼんやりとオーちゃんたちの姿が見えた。


 オーちゃんは先生たちをぐちゃぐちゃにしてた。


 ひどいことだとは思わなかった。

 だって先生たちもしてたことだもん。

 あっという間に先生たちはみんな死んじゃった。


 だれかにばれるといけないから、わたしは火をつけた。

 でも、火が強くてわたしはうごけなくて。

 そのまま死んじゃうところだった。


 でも、オーちゃんがわたしを守ってくれた。

 そしてシガールさんに助けられて、うぐいすに入った。

 そこではみんな、わたしを受け入れてくれた。


 やさしい、うぐいすたち。

 みんな大好きだった。

 でも、シガールさんが死んだ。

 だれかが死ぬってこんなにもつらい事なんだって知った。


 わたしがオーちゃんにやらせたことも同じなのかな。

 先生たちは悪い人。

 だからってあんなことしてよかったのかな。


 でも、もうよく分からない。

 うでがいたい、体中いたい。

 それしか考えられない。


 アダンお兄ちゃんもつらいのに。

 オーちゃんもつらいのに。

 わたしはわたしのことばっかり。


 わたしはやっぱり悪魔の子なんだ。


 こわい。

 わたしはどうなるの。

 ひどいことをしたわたしはどうなっちゃうの。



「わたし、は……」

「アカリ様……」

「わっ、わたし……大丈夫だよね?」


 がくがくとアカリの体が震える。


「オーちゃんも、大丈夫だよね?」


 震える。


「わたしたちは大丈夫だよね?」


 がくがく。

 がくがくがくがく。


「アカリ様、大丈夫です」

「……」

「心を強く持って下さい」

「…………」

「お願いです、気をしっかり……」

「………………」

「アカリ、様——」


 アカリの体の震えは、止まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ