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コーラカルは一人静かに座っていた。
焚かれた火が、彼女を照らしている。彼女は膝に乗せた少女の頭をゆっくりとなでながら、ただその火を見ていた。彼女の傍には、アダンとオーが死んだように横たわっていた。僅かに呼吸音が聞こえるが、その音は小さく、痛みにかすれていた。
「……コーラカル、さん」
「お目覚めですか」
少女が――アカリが目を覚ました。
「まだ暗いですよ。お休みください」
「……コーラカル、さん」
アカリは起き上がってコーラカルの胸へ顔を埋めた。体が小刻みに震えている。
「今はお休みすることが……」
「お願い、聞いて」
今までに聞いたことのない声色だった。本当にアカリの口から出たのか疑いたくなるほど、暗く、黒い声。コーラカルは一瞬たじろぎ、少女の名を呼んだ。
「アカリ様……?」
「わたしね、ほんとはぜんぶ覚えてるの」
「といいますと……?」
「……」
わたしは生まれてきてよかったのかな。
あの人たちが言ってた。
わたしは悪魔の子だって。
あの人たちの教えることはなんでもできた。
その度にあの人たちは喜んだ。
それが嬉しかった。
だって、一度もほめれられたことなかったから。
でも、あの人たちは怖かった。
わたしと違う『できない子』にはとても怖い人たちだった。
ぶったり、ひどいモノでいじめたり、帰ってこない子もいた。
あの子も『できない子』だった。
わたしと一番なかよくしてくれた子。
だから、シガールさんと会った日、わたしはあの子を助けた。
あの日、あの子と一緒に、先生に呼ばれた。
その子はとっても優しくて、すてきな子だった。
それなのに、先生たちはあの子にひどい事をしようとした。
あの子が泣いて、叫んで、わたしは見ていられなかった。
だからわたしは、あの子に向けて、覚えた『じゅじゅつ』をつかった。
先生たちが言ってた、『強くなれるじゅじゅつ』を。
そして、あの子は『オーちゃん』になった。
『じゅじゅつ』は使うとすごく疲れる。
だから私は倒れた。
でもぼんやりとオーちゃんたちの姿が見えた。
オーちゃんは先生たちをぐちゃぐちゃにしてた。
ひどいことだとは思わなかった。
だって先生たちもしてたことだもん。
あっという間に先生たちはみんな死んじゃった。
だれかにばれるといけないから、わたしは火をつけた。
でも、火が強くてわたしはうごけなくて。
そのまま死んじゃうところだった。
でも、オーちゃんがわたしを守ってくれた。
そしてシガールさんに助けられて、うぐいすに入った。
そこではみんな、わたしを受け入れてくれた。
やさしい、うぐいすたち。
みんな大好きだった。
でも、シガールさんが死んだ。
だれかが死ぬってこんなにもつらい事なんだって知った。
わたしがオーちゃんにやらせたことも同じなのかな。
先生たちは悪い人。
だからってあんなことしてよかったのかな。
でも、もうよく分からない。
うでがいたい、体中いたい。
それしか考えられない。
アダンお兄ちゃんもつらいのに。
オーちゃんもつらいのに。
わたしはわたしのことばっかり。
わたしはやっぱり悪魔の子なんだ。
こわい。
わたしはどうなるの。
ひどいことをしたわたしはどうなっちゃうの。
「わたし、は……」
「アカリ様……」
「わっ、わたし……大丈夫だよね?」
がくがくとアカリの体が震える。
「オーちゃんも、大丈夫だよね?」
震える。
「わたしたちは大丈夫だよね?」
がくがく。
がくがくがくがく。
「アカリ様、大丈夫です」
「……」
「心を強く持って下さい」
「…………」
「お願いです、気をしっかり……」
「………………」
「アカリ、様——」
アカリの体の震えは、止まった。




