縺昴l縺御ココ蠖「縺ョ鬘倥>
静まり返った水面に波紋が広がった。
その波紋の中心には人影があった。
人形のように美しい人影は、あろうことか水面を歩いていた。
人影は――コーラカルは、水面に浮かぶ黒い外套を拾い上げた。
外套は焼け焦げ、鶯色の刺繍は見る影もなく、持ち主の肉片がこびり付いていた。
薄く広がる霧の中で、コーラカルはその外套を静かにその胸に抱いた。
その外套の持ち主はファレーナだ。
コーラカルは天を仰ぎ、吹き飛んだ亡骸の代わりに外套を抱きしめた。
新たに生まれた水黽が、僅かな水音を立てて横切る。
彼女の足元、水中には水爬虫の姿も見える。
だが、その蟲たちはコーラカルに見向きもせず、霧の中へと消えていった。
コーラカルは何物にも干渉されないまま、その美しい口を開いた。
「ああ、貴女も先立たれてしまったのですね」
コーラカルはオルゴールのように美しい声で、抑揚のなくそう言うと外套を抱きしめる腕に、ほんのわずか力を込めた。焼け焦げていた外套はその形を取り戻し、美しい鶯色の刺繍がその姿を取り戻した。
コーラカルは腕の中の外套を一瞥し、から目を閉じて彼女の死を悼んだ。コーラカルの顔に少しだけ感情の色が浮かび上がった。だが、目を開くと同時にその色はほとんど消え失せ、白く無機質で美しい顔に戻った。
僅かな水音以外に何も聞こえない静寂の中、コーラカルは波紋を広げながら歩き始めた。数歩歩くと、コーラカルは手にしたファレーナの遺品をもう一度強く抱きしめ、霧の中へと消えていった。




