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有り余る明日  作者: 大海生吹
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憔悴

挿絵(By みてみん)



 自分が人と違うと気がついたのは、いつ頃だっただろうか。

「普通ではない」「劣っている」と感じるようになったのは。



 その日、仕事を終えた私は最寄り駅から両の足を引き摺るようにして歩いていた。

 大学生時代、死に物狂いで就職活動に時間を割き、やっとの思いで手に入れた内定。よく知りもしない金融関係の仕事ではあったが、あの時は「自分にも仕事ができる」「社会で活躍する大人になれる」と信じていた。

 しかし、現実はそうはいかなかった。

 気の強い同僚には馴染めず、仕事では普通の人がしないようなミスをする。わからないことを「わかりません」と言えず、一つの仕事を終わらせるのに時間が掛かるため、昼休みもろくに休めない。

 毎日が不安定だ。満たされているようで、実際は何もない。

 わかっている。これは周りのせいなどではない。他人のせいにしてはいけない。

 それでも、私は嘆くのをやめられない。


「自業自得」

「根性がない」

「それはただの甘え」

「ここでダメならどこへ行ってもダメ」


 頭の中で声がする。これは一体誰の声なのか。直接言われた事なんてないはずだ。

 こんな日々が、毎日続いているのだ。そしてこれからも。

 それでも生きていくことが当たり前なのだと自分に言い聞かせながら。


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