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凡例

1 導入



 各国の言語に入る前に、本頁ではこの連載で使用する専門用語の意味を説明します。


 本連載は語学の学習を目的としませんから、なるべく専門用語を使いたくありません。しかし、毎回平易な言葉で説明すると、余りに字数を食います。そこで、以降すべての回に共通する約束事を最初にまとめ、次回からはそれらを暗黙の了解として扱う、というやりかたを採りました。


 申し上げるまでもありませんが、この頁の内容を頭に叩き込もうとはしないでください。無益です。ブラウザのタブの機能を利用し、この頁をいつでも見れる状態で、他の頁を閲覧されることをお勧め致します。

 大体わかってるよというかたは、この頁を読み飛ばし、聞き慣れない用語に出くわした時だけ参照されるので結構です。


 以下の説明で後ろに「*」の付いた用語は、項目を立てて説明しています。




2 専門用語


2-1 母音に関するもの



a 母音

 五十音図に、ア段やイ段といった段|(横の列)がありますが、同じ段に属する文字に共通して現れる発音が母音です。カナ文字だと、アイウエオで記されます。

 ところで、ヨーロッパの言語は全般的に、日本語と比べ、母音を発音する時の口の開閉がダイナミックです。アは口を大きく開き、イは口を横に伸ばします。 特にウは違いが顕著で、口を尖らせて発音します。


b 短母音

 短く発音する母音*。日本語だとアやイなどカナ1字で記されます。


c 長母音

 長く発音する母音*。語学の本では二重母音*や三重母音*を除くことが多く、本連載もそれに従います。よって、アーやウーなど、母音字*+長音符で表記されるものを長母音とお考えください。


d 二重母音

 2つの母音*が1つの音節*で発音される場合、その母音を二重母音と言います。アイやオウといった音は、日本人の感覚では2つの母音が連続しているだけですが、欧語では1つの発音として扱います。


e 三重母音

 3つの母音*が1つの音節*で発音される場合、その母音を三重母音と言います。イエイやウアイといった音が該当します。


f 単母音

 二重母音*や三重母音*のように途中で発音が変化しない母音*。言い換えれば、短母音*と長母音*の総称。


g 曖昧母音

 アともウともつかない曖昧な発音がされる母音*。ドイツ語、オランダ語、フランス語だとeが、英語だと全ての母音字*が、曖昧母音になり得ます。

 カナ書きする際は、言語によりア段、ウ段またはエ段で記します。


h 開口音

 ドイツ語、フランス語、イタリア語などでは、eとoで表記される母音が2つずつ存在します。すなわち、口の開け具合から、eとoは開口音と閉口音*に区別されます。

 口を大きく開けるeやoが開口音、狭いものが閉口音です。

 開口音のeやoは、アと言う時と同じくらい口を大きく開けて、それぞれエ、オと言います。

 英語だと、dog/ドッグ(犬)やsong/ソング(歌)のoが開口音です。eには閉口音しかありません。

 なお、厳密にいうとドイツ語とフランス語のeは、開口音と閉口音に加え、曖昧母音*をも表示します。


i 閉口音

 閉口音のeは、口をあまり開けずにエと言います。若干イに近く聞こえます。

 閉口音のoは、口を尖らせてオと言います。

 英語で閉口音のoは、「オウ」という二重母音*の中にのみ現れます。pose/ポーズ(姿勢)やhotel/ホテル(ホテル)は、本当はポウズ、ホウテルと発音されていて、これらのo|(二重母音です)の前半は閉口音です。

 日本人の耳には、開口音*か閉口音かに関係なくeはエ、oはオと聞こえます。よって、カナ書きするに当たって、開口音と閉口音を区別する必要はありません。




2-2 子音に関するもの



a 子音

 五十音図に、カ行やサ行といった行(縦の列)がありますが、同じ行に属する文字に共通して現れる発音が子音です(厳密には多数の例外があります)。

 日本語では「ん」、「っ」、拗音*を除いて、子音は必ず後ろに母音*を伴います(実際の会話ではしばしば、無意識に母音が抜け落ちています)。そのため、欧語で子音が単独で発音されても、日本人の耳には子音の後に母音のウがあるように認識されます。


b 無声子音

 発音する時に声帯が震えない子音。喉に手を当てれば、声帯が震えているか否か分かります。

 日本語だと、「濁音が存在する行の清音と半濁音に含まれる子音*」が無声子音です。つまり、カ行、サ行、タ行、ハ行、パ行の子音が無声子音です。


c 有声子音

 発音する時に声帯が震える子音。

 無声子音*でない子音*は全て有声子音です。よって、濁音に含まれる子音に加え、ナ行、マ行、ヤ行、ラ行、ワ行の子音も有声子音です。


d 破裂音

 閉鎖音とも。口の中のどこかを完全に閉じて肺からの息を遮断し、これを解放することで発する音。全て子音*です。

 日本語だと、ローマ字*のk、t、g、d、p、bが該当します。ただし、gは地方、世代、直前の文字により、摩擦音*などにもなります。


e 摩擦音

 口の中のどこかを狭め、肺からの息がそこを通り抜ける時に生じる音。全て子音*です。

 日本語だと、ローマ字*のs、sh、h、fが該当します。jとzは、直前の文字によって、摩擦音になったり、破擦音*になったりします。


f 破擦(はさつ)

 破裂音*の直後に摩擦音*を発し、全体として1つの発音のようになったもの。

 ローマ字*のchとtsが該当します。chは破裂音tと摩擦音shで、tsは破裂音tと摩擦音sで構成されます。

 実はs、sh、ts、chには、それぞれに対応する有声子音*があります。つまり、ズとヅ、ジとヂは、本来は別々の音です。

 日本語では区別しませんが、ヨーロッパの言語はします。英語だと、zは摩擦音sの有声子音、jは破擦音chの有声子音です。摩擦音shの有声子音はmeasure/メジャー(巻き尺)のsなどに、破擦音tsの有声子音はgoods/グッズ(商品)のdsなどに現れます。

 破擦音は舌を歯や歯茎に付けて、摩擦音は逆に付けないで歯と息の摩擦だけで発音するのがコツです。

 いずれにせよ、日本語では区別しませんから、ヂはジ、ヅはズと表記すれば十分です。



g 半母音

 発音の仕方は母音*に近いにもかかわらず、単独で音節*を成さない音。日本語のヤ行とワ行に含まれる子音*、すなわち英語のyacht/ヨット(ヨット)のyやwine/ワイン(ぶどう酒)のwが該当します。フランス語には、それ以外の半母音もあります。

 語学の本の多くは子音の一種として扱っており、本連載もそれに従います。




2-3 文字に関するもの



a ローマ字

 正確にはラテン文字*と同義です。が、一般にこの言葉は、日本語をラテン文字で記す体系という意味で用いられ、本連載もそれに従います。

 表記法には訓令式、日本式など数種類あります。が、本連載では専ら、ヘボン式綴りかたを指します。ヘボン式は英語の綴りに近付けた表記法で、シをshi、チをchi、ツをtsu、フをfu、ジをjiとするなどの点に特徴があります。


b ラテン文字

 いわゆるABCなどのアルファベットです。西ヨーロッパの恐らく全ての言語の他、ヴェトナム語、トルコ語などもラテン文字で表記します。

 ギリシア文字とエトルリア文字を元に作られましたが、エトルリア文字もギリシア文字の子孫です。

 なお、アルファベットは厳密には音素*文字、狭義にはその中でも、ギリシア文字とその子孫であるラテン文字やキリル文字を指します。


c 母音字

 母音*を表す文字。ラテン文字*では通常、a、e、i、o、u、y。


d 子音字

 子音*を表す文字。


e 綴り字記号

 文字に書き加えられた記号。ウィキペディアではダイヤクリティカルマークといいます。

 これが表すものはアクセント*の所在、発音の変化、母音*の長短など様々で、同じ記号が言語によって、全く異なる意味を持つこともあります。

 言語によっては、綴り字記号の付いた文字を、元の文字とは異なる1つの独立した文字として扱う場合があります。

 後述のアクセント記号*、トレマ*、マクロン*の他、ウムラウト、セディーユ、チルダなどがあります。


f アクセント記号

 綴り字記号*の1つ。鋭アクセント、重アクセント、曲アクセントの3つがあります。それぞれ、母音字*の上の右上がりの点(é、óなど)、右下がりの点(è、ùなど)、「^」のような記号(â、îなど)です。

 ウィキペディアではそれぞれ、アキュート・アクセント、グレイヴ・アクセント、サーカムフレックスと呼びます。

 名称に反して、必ずしもアクセントを示すとは限りません。例えば、中国語では鋭アクセントと重アクセントは声調、すなわちピッチの変化を表します。

 ポーランド語では、子音字*に鋭アクセントを付けて、軟子音を表します。軟子音については、ロシア語の頁をご覧ください。


g トレマ

 綴り字記号*の1つ。

 アルファベットを使う多くの言語で、一定の文字の並びが生じると、発音が変化することがあります。英語でshをシュ、ドイツ語でeuをオイと読むなどの例です。

 ところで、オランダ語、フランス語、ギリシア語などでは、本来ならば発音が変化するはずの母音字の並びでも、それぞれの文字を別々に、つまり元の発音どおりに読むことがあります。この時、2番目の母音字の上にトレマを付け、その旨を表します。記号は、母音字の上の「・・」です。

 例えば、フランス語でaiはエと読みますが、aïだとアイです。


h マクロン

 綴り字記号*の1つ。母音字*の上の「‐」(ī、ō、ūなど)。

 ラテン語や古典ギリシア語では、母音*の長短を区別するにもかかわらず、綴りには反映されません。そこで、教科書や辞書では長母音*にマクロンを付けて、読み誤らぬよう配慮しています。

 日本語をラテン文字*で表記する時も、ウーやオーといった音はマクロンで表すのが一般的です。駅名を表す看板の他、他言語版のウィキペディアの日本に関する記事などでも、採用されています。


i 発音記号

 同じラテン文字*を使用する言語でも、同種の音素*に同じ文字列を当てるとは限りません。例えば、日本語のシュに含まれる子音*は、英語だとsh、ドイツ語だとsch、フランス語だとch、イタリア語だとscと綴ります。

 発音記号はどの言語でも、同じ音素を同じ記号で表します。シュの子音だと、sを縦に伸ばしたような記号です。辞書に発音記号が載っていれば、初見の単語でもどう発音するかが概ね分かります。

 もっとも、同じ発音記号で記す音も、実際には言語によって微妙に異なります。例えば、ドイツ語のö(オー・ウムラウト)とフランス語のeuの発音記号は同じですが、日本人の耳にはöはエ、euはウと聞こえます。




2-4 その他言語関係



a 音素

 発音を時間的に区切った最小の単位。本連載では専ら、「母音*と子音*の総称」という意味で用います。

 ラテン文字*やアラビア文字は、原則として1字が1音素を表し、そのような文字を音素文字といいます。


b 音節

 切れ目なく発音される音素*の集まりの最小単位。シラブルの訳語。

 普通、1つの母音*、または1つの母音とその前後の子音*で構成されます。

 英語のstrength/ストレンクス(強さ)は、日本人の感覚だと6音節ですが、母音はあくまでeだけなので、英語では1音節です。

 欧語の歌では、タイやスラーで結ばれていない1つの音符に、1音節を当てます。日本語では、音節の代わりに、モーラという単位を使用します。

 カナ文字や漢字は、原則として1字が1音節を表し、そのような文字を音節文字といいます。


c 開音節

 母音*で終わる音節*。日本語の音節は、「っ」と「ん」を含むもの以外すべて開音節です。


d 閉音節

 子音*で終わる音節*。欧語、中国語、アイヌ語などには普通に存在します。


e アクセント

 1つの単語の中で、音節*ごとに発音する強さや高さが異なること。強く、または高く読む音節について、「その音節にアクセントがある」と言います。

 日本語にもアクセントがあります。アクセントの位置は方言によって異なり、犯人の出身地を割り出すために、捜査機関でも利用されます。

 音の強弱や高低は、それ単独ではカナ表記に影響を与えません。本連載では、アクセントの有無によって発音が変化する場合(イタリア語、ロシア語など)に限り、これに言及します。


f (よう)

 子音*、半母音*、母音*の順で現れる発音。ミャ(mya)、リュ(ryu)、そして古語や琉球方言に現れるクヮ(kwa)などが該当します。これに対し、ミやリやクといった通常の音は、直音といいます。

 欧語の単語で子音、半母音、母音の並びが生じても、カナ文字に直す際、必ずしも拗音で書くとは限りません。例えば、英語のonion(玉ねぎ)のiは半母音(ローマ字のy)ですが、オニョンではなくオニオンと書きます。同様にquiz(クイズ)のuはローマ字のwですが、クィズとは書きません。

 iやuを発音する長さは、その時々の状況にもよります。あまり厳格にこだわる必要は無いと思います。日本語として、語感の良いほうを採用しましょう。


g 語頭

 単語の最初。


h 語中

 単語の最初、最後以外の部分。


i 語末

 単語の最後。


j 口(がい)

 口の中の天井に相当する部分。




3 書名の略称



a ギ神 → ギリシア神話


b ロ神 → ローマ神話


c 北神 → 北欧神話


d アス神 → アステカ神話


e アサ王 → アーサー王伝説


f ニベ歌 → ニーベルンゲンの歌


g ロラ歌 → ロランの歌


h メリュ → メリュジーヌ物語


i ペレメリ → ペレアスとメリザンド


j 旧約 → 旧約聖書


k 新約 → 新約聖書

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