閑話 Ⅰ
閑話は本編となんら関わりがないのでとばしていただいても構いません。
弟が亡くなって1週間が経った。俺の名前は津田 竜司。高校2年生だ。俺の弟はつい最近亡くなった。
死因は事故死だそうだ。事故死」といっても、あいつが赤信号で横断歩道を渡ろうとしたのが原因だから
運転手の責任ではなく、あいつの責任である。運転手さんは被害者といっても過言ではない。
一瞬、俺はあいつに自殺願望があったのかと思ったが、どうやら違うらしい。運転手さんの話によると、道路に落ちたあいつの携帯を取りに行って死亡したようだ。弟は、本当にばかだ。スマホが壊れることか、自分が死ぬかの選択肢だったら、答えは決まりきっているのにあいつは間違えた。
前文にも述べたとうり、あいつはばかだ。学校にはしっかりと行っていたが学校での授業態度が悪く、よく母さんに叱られてた。一度あいつになぜ授業中寝てるんだと聞いたことがあった。その時あいつはただただ、睡眠時間が足りないからと言っていた。本当にダメな弟だ。
俺もあいつも同じ塾に通っていて、その塾ではあいつは時々寝ている時もあるそうだが、普段はしっかり授業を受けていたようだった。そのせいもあって、いやそのせいしかないが一般の高校に入ることはかなった。
あいつがいなくなるだけであまり生活は変わらないだろうと思っていたが、実際なにも変わらなかった。でも、家がいつも以上に静かだった。何かが足りないと感じた。少し家が広いと感じた。
あいつの葬式があった時、父さんと母さんは家に帰ったあと声をあげながら泣いていた。その時俺は泣かなかった、いや泣けなかった。親孝行さえせずに逝ってしまった、親や他人に迷惑ばかりかけるあいつを許せなかった。でも、あいつがいないだけでこんなにも家が静かに、広く、足りなく感じてしまうと思うと、とめどなく涙が溢れてしまう。
そして、思われざるおえなくなる。あいつはこの家族にとってかけがえのない存在であったのだということを。
俺は決意した、俺はもうこんな唐突に家族を失う思いをしたくない、そして他の人にもさせたくない。
奏太、俺は人を守る為に警察官になるよ。