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七姫の行方  作者: ペン介
22/23

闇の国編 Ⅰ

 僕は、重たい瞼を開けると、森の中にいた。


「どこだ、ここ...」


 安全を確認するために、あたりを見渡すが、そこには木しか見当たらない。


「そうだ、僕、言われたんだ。神様に、この世界を救えって」


 僕は自分に与えられた使命を思い出すと、目の前に半透明の手紙のアイコンが現れた。


 僕は、スマホを用いる時と同じ要領で、それを押す。


 『まずは、無事転生したようで何よりだ。妾もいきなり説明もせずに異世界へ送ってしまったのは申し訳ないと思っておる。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだよ。


 だから、これからこの世界について軽く説明しようと思う。


 始めにこの世界を大まかに説明するとこの世界は剣と魔法を駆使して戦うファンタジーな世界である。


 また、この世界は自分のステータスが数値として表示される。


 自分のステータスは、「ステータス」と唱えれば、容易に見ることができ、他者に見せる時もそれを願えば容易に見せることができる。


 だが、他人のステータスを勝手に盗み見る場合は鑑定というスキルが必要だ。


 次にこの世界の地理についてだが、まずこの世界は8つの大陸を有しておりそして、それらの一つをのぞいて皆ひとつながりになっておる。


 そして、そのひと続きになっておらぬ大陸を魔の大陸といい、そこが邪神が復活するところである。


 それ以外の大陸をそれぞれ火の国、水の国、風の国、地の国、雷の国、光の国、闇の国とそれぞれの属性に秀でた種族の住む大陸となる。


 詳しく言えば、火の国は竜人、水の国は精霊、風の国はエルフ、地の国はドワーフ、雷の国は獣人、光の国が人族、闇の国が忍者という感じだ。


 このことから分かるとうり、種族によって適正のある魔法属性が違うわけだ。


 まぁ、昔は土地の争いで各種族争っていたが、今は魔族たちを倒すという共通の目的があるから皆、友好的だぞ。


 さすがに各国はそれぞれの種族の数が一番多いが、他種族のやつも少なからずいる。


 ハーフなんてざらだし、子供に2属性持たせたいからといって違う種族と結婚したがるものも多いからお主のスキルも達成しやすくなると思うぞ。


 大陸の構図としては、中央に魔の大陸そして少し距離が開いてその周りに7つの大陸がお主ら地球の文化でいうところの、5円玉のような形で魔の大陸を囲んでいるような構図となっておる。


 前は、皆ひとつながりだったのじゃが邪神誕生を見越した7人の魔王が地を割り、邪神誕生に備えての行動だそうなのだ。


 前文を見たらわかるのだが、この世界には七魔王と呼ばれる、邪神の他にも強力な力を持つ敵がおる。


 地球にいた頃の君では邪神を倒すことはおろかこの世界で生き残ることすら危うい。


 だから、妾から君にいくつかの邪神と対抗できるお主のみスキルと、1つとっておきのスキルを渡した。


 そのスキルの名は「七姫の行方(ななきのゆくえ)」、このスキルは各国にいる力の継承者、ストレートに言えば各国のお姫様から力を授かることによって、強力な「英雄武装」と呼ばれる武装を手に入れることができるのだ。


 すでに君はそのうちの一つを持っているよ。


 この武装無くしては、邪神を倒すことは叶わんだろう。 


 そして、ここからが重要で、その力を授かる為には粘膜接触、つまりはキスが必要だ。このことが指すのは、お主はまず邪神を倒すために各国の姫を攻略しなければならないということだな。


 また、このスキルだけでなく他のスキルも極めれば極めるほど強くなる。つまり、全ては君の頑張り次第ということだ。


 ちなみに、邪神が復活するのは君が誕生してからあと20〜25年後じゃから、その間にしっかりと各国の姫を攻略しておくのだぞ。


 最後に、何かわからないことがあれば「検索」と唱えれば解決するだろう。ちょっと仕様は面倒だが、まぁすぐになれるだろう。


 では、新たな人生を精一杯生きるのだよ。』


(忍者って種族として扱われるのか?)


 などと、心の中で不満を漏らすが、すぐに思考を切り替え、僕はこの手紙通り検索を使ってみることにした。


「検索」


 {キーワードを入力してください}


「入力 現在地」


 {確認しました。「現在地」に該当する答えが見つかりました。閲覧しますか?yes/no.}


「yes」


 {認証しました。現在地は闇の国の北部、蝦夷と呼ばれるところです。以上}


「じゃあ、入力 闇の国の王女の所在」


 {確認しました。「闇の国の王女の所在」に該当する答えが見つかりました。閲覧しますか?yes/no.}

 

「yes」


 {認証しました。闇の国の王女は現在、この国の王都である江戸と呼ばれるところにいます。以上}


(そうか、なんとなく状況はわかった。それにしても、不自然なくらい自然にこの機能を扱えた。...まぁ、どうせ直感かなんかだろう。


 あと気になるのは...やっぱこれだろう。)


 僕は左手の人差し指に嵌められている指輪に視線をうつす。


(なぜか、これを見ていると、何か言葉にできない感情が胸に込み上げてくる。)


「入力 僕に嵌められている指輪の詳細」


 {確認しました。「僕に嵌められている指輪の詳細」に該当する答えが見つかりました。閲覧しますか?yes/no.}

 

「yes」


 {認証、しました。その指輪は、スキル七姫の行方における七つの武装のうちの一つ、光の英雄武装「アイリス」です。使用方法は、中央の白い球に口付けをすることで発動できます。以上}


(「アイリス」)


 その名を聞いた時、僕の胸にはどうしようもないくらいの感情の濁流が押し寄せていた。


(一体、なんなんだ。これは。)

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