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七姫の行方  作者: ペン介
2/23

epilogue Ⅱ

(なんで?)


「な...なんで君がここにいるんだ」


 僕はその少女を見て困惑した。いきなりこのような状況になれば困惑するのも当然だ、だが僕は何よりも僕の目の前にいる少女がさっき横断歩道で助けた少女であったことに困惑した。


「何故と言われれば、それはわらわが神であるからだろうよ津田つだ 奏太かなたくん」


 僕は神様?の言葉を受け、より困惑した。ただ、彼女が僕の名前を言い当てたことと、彼女のとても使い慣れた言葉遣い、雰囲気からとても作り話をしているとは思えなかった。


「え...本当に神様なんですか?いや、でも君は確かあの横断歩道にいた....」


「あぁ、そうだ。確かにそなたの指している人物が妾であることに間違いはない。

 

 まぁ、話をすれば長くなるのじゃが妾は昔から日本の文化にとても興味があってなぁ~、ついに我慢できずに愛犬ケルベロス(フレンチブルドッグ)とともに日本中を歩き回っていたのだ。


 だが少々はしゃぎ過ぎたようでついうっかりケルベロスのリードを放してしまってなぁ。いやー危なかった。」


(え...じゃあその話が本当だとすると僕、神様を救ったんだ....何だろうこの達成感!)


「まあ、実は妾は実体を持っておらんから轢かれるという概念は存在しないがな。」 


 その瞬間、僕の達成感はビリビリに引き千切られた。


「ん?何故そんな絶望的な顔をしているのだ?


 ああ、そういえば君は妾を救ってくれたのであったなぁ〜。感謝するぞ〜。妾も説教なぞ近しくくらってなかった故心にしみたのぉ〜。


 で、自分で忠告したことを自分が守れなかった時ってどんな気持ちなのだ?ねえ、どんな気持ちなのだ?」


「うぁぁぁああああーーーーーー」


僕は2方向からボディーブローをくらい気絶寸前の状態だ。


(もうやだ死にたい、いやもう死んでるけど.....。それにしてもあの神様なんのためらいもなく悪態をついてきたなあ〜。くそー、いつか絶対恩返ししてやるー。)


 と、密かに復讐の念抱いていると   


「さて、話を戻そうか」


 その神様の言葉とともにさっきのおほほんとした空気とは裏腹にピシッとした緊張感が伝わってきた。姿は幼女でもやはり神様なのである。


「話を戻すが妾は実体がない。


 つまり普通、人間には見えないようになっている。というよりは、地球人には妾を見るすべを持ち合わせていない、と言った方が良いかもしれん。」


「待ってください、でも僕は確かに神様を見ることができましたよ。」


「そう、お主には妾が見えた。つまり、君は何か特別な力を有しておるということだろう。何か心当たりはないか」


 (確かに、僕には一つ特質すべき点がある。そう、神様を助ける時にも発揮した、俗に言う第六感の鋭さである。)


 だが、僕はそのことは神様には言わなかった。またしても、第六感が働いて面倒なことになる、そう悟ったのである。


 だが、現実はそう甘くはなかった。


「その様子だと、何か力を有しているな。」


(さすが神様、読心術はお手の物っていうことか。)


「まぁ種明かしすると妾は心が読める故、お主が力を有しているという事実を知ることは容易であるがな。」


(神様、普通にズルしてた。ん?そんなことより、その言葉があっていたとすると...)


「え...神様、てことはそれ以前の僕の心の中も!?」


「あぁ、もちろん君が妾に恩返ししたがっているというところものぉ〜」


「え...本気マジっすか?」


「もちのろんじゃよ。」


(あ〜、終わった〜。僕の復讐終わった〜。)


「(う〜ん、それにしてもまた地球に転生させるのも惜しいなぁ〜。あやつの持つ能力、他人を救うことに躊躇ためらいのなさ、あとあのバカみたいな素直さ、何か有効活用する手段はないものかのお〜。あっ、そういえばっ。ボソッ)」


 神様が考え込みながら何か言っていたが、あいにく何も聞こえなかった。


(僕は読心術どくしんじゅつ読唇術どくしんじゅつも使えないからな!)


「だが、妾は寛大かんだい故、特別に恩返しをさせてやろう。」


「え...本気マジっすか!?」


(神は僕を見捨てなかったんだぁー!)


「ああ、実は私の管轄かんかつしている惑星があってのぉ〜」


(ん?なんか嫌な予感がしてきたぞ〜?)


「で、妾の未来予知によると後もう少しでこの世界に邪神が誕生して、この世界が滅びるんだよ。だから、君に復活されし邪神を倒して欲しいのだ。」


「え...いきなりそんなこと言われても。」


「というわけでよろしく頼んだぞ!さあ、行くのじゃ。悪しき邪神を倒さんとするものよ!その勇気をもって、邪神を倒すのだー!」


「ちょ、僕の話をきいてっ...」


その言葉を言い終わる前に、またしても僕の視界は光に飲み込まれた。


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