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七姫の行方  作者: ペン介
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光の国編 Ⅹ

 あの事件以来、僕は頻繁にアイリスと遊ぶようになり仲が深まった。


 最近の僕の生活リズムはこうだ。午前中はアイリスと遊び、もとい護衛をし、午後は訓練所に行くという生活になってきている。午後はアイリスは専属の先生と魔法の練習をしているらしいので僕もその時間を利用して訓練に行くことにした。


 はい、そこの君。なになに?いつもアイリスさんとはどういう遊びをしているのかだって?いい質問だ。普段アイリスとは一緒に話したり、魔法を使って遊んだりしている。


 おっと、心配しないでくれ、僕だって魔力の放出くらいはできる。魔力量だってエルフ族の平均はある。まぁ、魔力だけの平均値で言えば遠くおよばないけど。


 魔力の操作に関していえば優れている。まだ、アイリスは習い始めで魔力操作がいまいちなので、遊ぶついでに僕が教えているというわけだ。


 次は、はいそこの君。なになに?あれからカピスさんには勝てたかだって?いい質問だ。


 僕がここにきてだいたい一ヶ月ぐらいたったが未だに一度も勝てていない。他の人ともやっているのだが、その人たちには危ないところがあるものの、大方勝てるといったような感じだ。


 まぁ、だけど魔眼が強すぎるため一対一の対戦ルールが僕に有利なところがあるから、実戦ではわからないだろう。というより、もうここまでくるとカピスさんが本当に人間なのか疑ってくるよ。


 じゃあ最後に、そこの君。なになに?アイリスさんとはどのくらい進展したのかだって?今質問した君、この後職員室に来なさい。...ごほん。


 アイリスとはまだ一ヶ月しかたっていないが、結構仲良くなった。一番変わったことといえば話し方が変わったことだろうか。


 まぁ、僕がアイリスを惚れさせるつもりが、逆に僕がアイリスを惚れてしまったのは想定外だったがこれで僕も正々堂々、神様からの使命を遂行できるってもんだ。


「ねえねえ、シークくん。さっきから何ぶつぶつ言ってるの。」


 しまった、声に出してしまった、が内容は聞かれてないみたいだな。最初の二つはいいが最後の一つを聞かれると今後の展開的にまずいからな。うん。


「気にしないで。ただの独り言だから、アイリス。で、どうしたの。」


「うん。何度もやってるんだけど、まだ魔力操作がうまくできなくて。」


「毎回言ってるように、まずはイメージを固めるんだ。魔力を放出するにしても、魔力濃度が足りないんじゃ意味がない。そこで、イメージだ。魔力分子を一箇所に凝縮するイメージで」


「むぅ〜。...もう、シークくんの言ってることはいつもわかんないんだよー。」(バタンッ)


「はぁ〜。今日もか。」


 そう。どうやら僕は教えるのが下手のようで、いつもこんな感じでアイリスが出ていってしまう。そして、


「アイリス、ごめん。」


「今日は絶対許さないんだから。」 


「悪かったよ。今日はやってあげるからさ。あれ。」


「本当!?」


「あぁ。じゃあ、外に行こうか。」


 これは、僕とアイリスが喧嘩した時に使う最終兵器だ。


「じゃあ、いくよ。」


 僕は手のひらから魔力を放出する。すると、それは10メートルほど浮かんだところで小規模な爆発をした。例えるならばロケット花火のような。(まぁ、発動イメージも花火なんだが。) 

 

 さて、この原理を説明しよう。まず魔力というのは、高ければ高いほど魔力濃度が濃くなるということを抑えてもらいたい。


 そして、魔力濃度が低い、つまりは自分の背丈と同じ範囲にある魔力濃度と同じ魔力を放出するとそれが周りと同調して消えてしまう。魔力を形成するにしてもそれなりの濃度が必要だ。だが、今のアイリスはそれができていない。話を戻そう。


 しかし、普通に凝縮した魔力をはなっても、この現象は起きない。ただ、魔力が高いところで消えるだけだ。この現象を起こすには、工夫をしなければいけない。そのキーワードは、包みだ。ただ凝縮された魔力体を放出するだけじゃ、あんな爆発は起こらない。


 だから、凝縮された魔力体の周りにこの魔力体よりも濃度が濃い魔力を膜として張る。そうすることによって、濃度の薄い魔力体はその同調範囲に入っても、周りが濃い魔力であるので同調することができず、気圧の変化によって膨張して行くのみ。


 そして、ようやく濃度が濃い魔力体の同調範囲に入った時、中にある魔力体は膨張し続けていたため爆発するというわけだ。  


 まぁ、こうは話してみたものの実際できる人は少ない。魔力濃度の濃い魔力で覆うことは難しいし、そもそも気圧の変化なんてこの世界の人はわからない。


 この世界の科学は全く都言っていいほと進んでいない。だから、魔法を行使するすべての人、ひいては種族は魔力濃度の調節なんて感覚でやってしまう。だから、この世界に魔法が行使でできないものがいるのだろう。感覚というのは一種の才能だから。


「うわ〜。綺麗。」


「本当はもっと綺麗な色をつけてあげたいんだけどね。」


 そう、この花火らしき現象はすべて灰色と透明色の合わさったような、そんなパッとしない色で構成されている。まぁ、魔力で作られているのだからしょうがないといえばしょうがないのだが。


「ん〜。でもこの花火とっても綺麗だよ!」(ニコッ)


 やっべすんげー可愛い。


「ねぇ、シークくん。また見せてよね。」


「わかったよ。」


(この笑顔...守りたい。)


 こうして、僕の日常は過ぎ去って行く。まるで、邪神討伐なんてはなからなかったかのように。

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