表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
思いつくままに ー短編集ー  作者: siro
ロイヤルズと代理人の青年?!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/30

【ロイヤルズと代理人の青年?!】05

チャールズは、上着を畳んでトランクに詰め込むと、隣の別名儀で借りている部屋へと続く二重扉を開け、移動した。

隣の部屋は華やかな女性ようの部屋になる。その部屋のベットの下に先ほどのトランクを隠すようにしまい、今しがた通った扉はしっかりと鍵をかけた。

この部屋は、男爵令嬢シャーロットの名で借りている部屋だ。

衣装部屋を開けば、ドレスが並んでいる。

チャールズは姿見の前でシャツを脱ぎ、ズボンも脱いだ。その下には、全身の動きをサポートする為の黒いインナーが着られている。筋肉の動きを補助するように筋肉の形に凸凹しているため、インナーだけで筋肉質な肉体に見える。これは領内で開発された兵士用のインナーだ。

インナーのズボンを脱げば、中からほっそりとした白い脚が出てくる。脇のボタンを外して行けば、白い素肌の腰回りもかなり細い。

このインナーはチャールズ専用の為、他の人のとはちょっと違う作りに成っている。分厚く男らしい体に見せる為のインナーだ。それらの服を丁寧に畳んで、本来なら帽子が入れられる箱に詰め込んだ。

鏡に映り込んだ後ろ姿は滑らかな曲線を描いている。

先ほどと違い、ほっそりとした体を滑らかな絹が覆っていく。それは貴族の女性が身にまとう部屋着用の一人で着れるドレス。



その頃、ハイリンヒ達はチャールズが住むアパートメントにたどり着いた。コンシェルジュが慌てふためいている間に用件を伝え、ほぼゴリ押しでチャールズの部屋へと案内させた。案内役を務めたポーターは、冷や汗をかいている。


「ここか」

ハイリンヒがノックをするも部屋から返事は無かった。すぐにポーターに目線をよこせば、マスターキーで部屋を開けさせた。

中はこじんまりした部屋だった、調度品以外の私物は全くなく、モノ家の空だ。バスルームも掃除をしたかのように奇麗な状態になっていた。


「これは、前もって準備してましたね。物の見事に何も無い。」

ジェームズは、物書き机の引き出しを全部開けながら言った。

ウェルズは一つの扉のドアノブを廻した、ガチャガチャという音以外、開かない様子にハイリンヒ達も気づいた。

「この扉は、隣室の部屋と繋がってるのか?」

その言葉に、ポーターは慌ててポケットから宿泊客の名簿を見ながら頷いた。

「えぇ、繋がっておりますが、そちらは別の方がお借りになっているお部屋でございます。ご夫人のお部屋なので開けませんよ!」

その言葉に、ハイリンヒとジェームズは顔を見合わせた。ウェルズはすぐに誰が泊まっているか検討が付いた。

「シャーロット男爵令嬢だろ、知り合いだ。開けろ」

その言葉にポーターはギョッとした顔をした。いくら知り合い同士だとしてもご婦人のプライベートな空間に直結している続き部屋の扉を開けるような無作法はできなかった。そんな事をしたらアパートメントの品質が疑われる。

「やめろ、ウェルズ。流石にこの続き部屋用の扉で開けるはよろしくない。」

すかさずジェームズが止めに入り、廊下へと移動した。

続き部屋の部屋の扉をウェルズは急ぐようにノックすれば、女性の声で返事が返ってきた。


「何の御用でしょうか。」

ウェルズが声を出す前に、ジェームズが首根っこ掴んで扉から離した。すかさずハイリンヒが答える。

「いきなり失礼。ご夫人の隣室に部屋を取っている友人に会いにきたんだが、あいにく留守のようでね。行き先をご存知だったら教えて頂きたい」

その言葉に、扉の向こう側で動く気配がした。小さな金具がスライドする音が聞こえ、覗き穴で此方を覗いてるようだ。ハイリンヒは笑顔を浮かべれば、小さな声で返事が聞こえた。

「ハイリンヒ王子?」

「えぇ、本物ですよ。・・・出来れば、扉越しではなく、中にいれて頂きたい。」

「えぇ、そうですわね。」

焦ったように、女性が扉を少し開けた瞬間に、隙間に入り込むようにハイリンヒだけするりと中へと入り扉が閉められた。

「おい!」

たまらずウェルズが叫ぶが、ジェームズは気にせず首根っこを掴みながら、エレベータへと向かい始めた。

「あの、よろしいので?」

ポーターが聞けば。ジェームズは笑顔でポーターに握手をして耳元で囁いた。

「君はとても優秀なポーターだ。この事はもちろん他言無用だよ。」

手を離せば、そこには普段では貰えない程のチップが握らされていた。無言で何度も頷く様子に笑顔で頷けば、むっすりとしたウェルズの首からやっと手を離した。

「いいのかよ。」

ガラガラとエレベータの柵をあけるポーターを見ながらムスッとしながらウェルズが言った。

「平気だ。アイツは自分の立場をよく分かっている。君が居る方が彼女が怯えて何も話さないだろ?君自身も分かってて、俺に大人しく付いてきたじゃないか。」

ジェームズが先にエレベータに乗り込んでくるりと振り返れば、悔しそうにウェルズの顔が歪んでいた。

「ふん。」

「俺たちは馬車で結果まちといこうか」

大きな音と共にエレベータの扉は閉まり下がって行った。



女性らしくドレスや小物が置かれた部屋を眺めながらハイリンヒは案内された椅子に座った。

「こうやって貴方と話すのは初めてですね。シャーロット令嬢」

見れば、緩く髪の毛をアップしている部屋着用の赤いガウンドレスを身にまとったシャーロットが苦笑しながら、厨房へお湯を持ってきてもらうため壁のベルを鳴らした。

「そうですわね。あまり褒められたものではないですけど。お茶の準備もままなりませんわ。」

そう言って、シャーロットは食器だなから茶器を用意し始めた。そんな後ろ姿を眺めながら、ハイリンヒはシャーロットの体の曲線を眺める。少女から大人へと変わったシャーロットは豊かな胸と細いくびれを持ち、密かに社交界の男性陣の目を釘付けにしている存在だった。

控えめで常に女性陣の輪から出たがらない為、彼女とダンスを踊れる機会は少ないため身分は低くとも一夜の相手をしたがる男は多かった。

邪な思いがわき上がり、振り切るように首を振ってからハイリンヒは声をかけた。


「チャールズが居ないのに落ち着いてるね。」


「ふふふ、もう大人ですわ。昔のようにオドオドいたしませんわ。」

そう言って振り返ったシャーロットの目の前にハイリンヒはたっていた。

「っ?!」

「信頼してもらえてるのは嬉しいけど、ちょっと悔しいかな。」

そう言ってハイリンヒはシャーロットを抱きしめた。

「お戯れを・・・。ご用件はチャールズでしょ?」

そっと胸元を押し返され、柔らかな胸の感触が離れて行ってしまった。ガウンドレスはピッタリと胸元まで覆い隠していてほんの少ししか素肌が見えない。

「あぁ、そうだよ。君の片割れ、チャールズがどこに行ったか知らないかい?」

目線が胸元へと下がりそうになるのを堪えながらハイリンヒは笑顔でシャーロットにきけば。

「本人からお聞きになりませんでした?チャールズなら領内へ戻りましたわ。先ほど慌ただしく。・・・あっそう言えば頼まれていた物がありました。」

そう言って、するりとハイリンヒの腕の中から抜け出すと、部屋の奥にあった机の引き出しからハンカチに包まれていた物を取り出した。


「これを王子にと。本当は明日のお茶会の時に王妃様にお渡しして返して頂こうかと思っておりましたの。」

そう言って差し出されたのは、5年前にチャールズに渡した友人としての証。王宮に出入り可能なブローチだった。

手元に返ってきたのはこれで何個目だろうかとハイリンヒは思った。殆どは自らの手で取り返したものだ。悪事に染まってしまったものや、持っていた為に殺され奪われてしまった友人。

こうして、友人自ら返された事は初めてだった。

あまりにも辛そうな顔をしているハイリンヒにシャーロットまで悲しそうな顔をして、ハイリンヒの手を包み込んでブローチを隠した。

「ハイリンヒ王子、チャールズは幸せでしたわ。本来なら出会えない友人を持ち、王都に迄こられた。人生で忘れられない素敵な5年間だったと言ってました。」


「シャーロット嬢。・・・彼を俺にくれることはないのか?」

その言葉に、悲しそうにシャーロットは首を横に振った。

「無理ですわ。私は20歳で、爵位を失います。つまりもうチャールズは私に縛られる事はなく自由ですわ。」

その言葉に、ハイリンヒは気づいた。チャールズが20歳になったということはたった一人の男爵の娘であるシャーロットは爵位を失うということを。婚約者も恋人も居ない彼女はこれから一般市民へとなってしまうのだ。

「・・・君はこれからどうするんだい?」

「修道院にはいりますの。だから、私も明日のお茶会で俗世との関わりは終わりですわ。」

ほっとしたような肩の荷が降りたような顔をしたシャーロットに、ハイリンヒは彼女も自分の身分で苦しんでいたのだなっと思った。

「爵位がなくなれば、チャールズと君は結婚するのかと思ってたけど違うのか。」

「くすくす。無理ですわ。私たちは二人で一つ。双子の片割れのような感じですもの、家族愛しかありませんわ。恋は・・・叶わぬから素敵なんですわ。」

「君も恋をした事が?」

「もちろん。幼い頃はアムストラ様に恋してましたわ。全く相手にされませんでしたけど。彼が好む女性と私ではかけ離れてましたし。」

その言葉に、ハイリンヒは昨年結婚したアムストラ辺境伯の奥方を思い出した。肝座った女性だった。確かに、気の弱いシャーロット嬢とは性格が違いすぎる。


「今は?」

その言葉に、一瞬シャーロットの瞳が揺れたがすぐに笑顔で横に首を振った。

「おりませんわ。高望みしすぎてしまったようです。王子は・・・チャールズに恋してしまいましたか?」

その言葉に、今度はハイリンヒが動揺した。チャールズと同じ顔の女性に、まるで本人に咎めるられるような気がしてしまった。

「何を言ってるんだい?チャールズは男だ。」

シャーロットの腰を抱き寄せて、ご婦人方を口説くように顔を近づけて言うと怪訝な顔をされてしまった。

「世の中、男同士でもあることだそうですよ?・・・私をチャールズの変わりとして扱うのはおやめください。」

「・・・」

「私では、チャールズになれませんわ。」

そう言って、またゆっくりと体を離されてしまった。


「すまない、そんなつもりで言った訳では。」

「私の言付けは終わりましたわ。王子のご用件もお済みでは?チャールズはもう領内へと戻られましたし。」

遠回しに部屋を出て行けと言われ、ハイリンヒは落ち込んだ。いつものように自分のペースに持ち込めないイライラと、チャールズに逃げられるばかりか、シャーロットにいつも以上に距離をおかれてしまった事もあり、これ以上は無理かとため息をついて部屋を出た。


「俺らしくない。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ