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俺と私と”魔法の世界”  作者: ながも~
世界観データ(随時更新)
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Fact_5 『無駄設定』

本編でも一切意味が無く、『Enchanted World』でも割とシステム設定的な内容を記載してあります。

時々本編未登場のネタバレとかあるかも?


要するに無駄設定オブジイヤー。

謎理論による謎現象を記す謎設定集。


また、後半部分の技術関係の設定は、実際にはそんな事は無い上に『プレイヤー達を納得させる為』に作った適当設定である。

この設定群は『プレイヤーとNPC間での関係を保つ為』の設定とも言える。


110210:設定一部変更。

110928:SPS追加

●『Enchanted World』に存在する国家について

 地形はほぼ地球を基準に作られている為、国家も基本的に地球と同じように展開している。

 ただし比較的小さい国家は纏められている事があり、特にヨーロッパ周辺や東南アジアにその傾向が顕著に表れている。


※ちなみに宗教はほぼ世界共通であり『四大女神教』と呼ばれている。要するにサーバ管理人格のメイン4人の事であり、世界の母である4人の女神を頂点とし、その下に多くの配下(俗に精霊と呼ばれる存在)が在る。といったモノである。



◆アリレメ・アダネイカ合衆国(北アメリカ大陸周辺)

 アメリカとカナダの位置に存在する超大型国家。

 特殊な磁場により魔法が干渉され、極端に効果が落ちてしまう土地。その為、魔法を用いない、独特な魔術武器(兵器)が開発されている。

 魔法武器と魔術兵器の違いは、前者が道具に魔法的効果を付与したモノである事に対し、後者は道具から魔法的効果を放出するモノである。要するに『ビームコーティングした剣』が魔法武器で、『ビームサーベル』が魔術兵器。

 EW世界の中で最も科学臭い国家であり、疑似レーザー兵器等が開発され一部プレイヤー達から熱狂的な人気を得ている。一方で西部では硝煙の臭い漂う男達が溢れており、連日火薬祭が開催されている。

 魔法はほぼ使えないが魔物は存在する為、紫魔鉱石のエネルギー抽出による家庭への魔力供給は行われている。故に生活面では不便は無い。

 最近、倭から来た技術者達の協力により巨大人型兵器の建造を開始したとの噂があり、様々な業界から期待されている。


◆セルバ・サノザーマ(南アメリカ大陸周辺)

 南アメリカ大陸全域に展開している国。

 一応多数の国家が合わさって出来ている連合国家ではあるのだが、実質的に頂点としてサノザーマが君臨している。

 ほぼ全域が熱帯雨林で覆われており、人々は広大な平原、または樹木の上に家を建てて生活しているが、別に原始的な生活をしている訳ではない。だが地方独特な魔法を考えて少々独特な生活を営んではいる。

 熱帯雨林部には魔物や動植物が多数生息しており、未確認の存在も多く生活している。


◆アイソール(ロシア周辺)

 広大な土地を持つ巨大国家。

 年中雪が降っており、とにかく寒い。だがアイソールの住民達は基本的にハイテンションである。酒を飲み、踊って身体を温めつつ、秘蔵の干し肉を食う。

 世界各地の魔物の亜種(色が白い)が多数確認されており、これは魔物は同一の箇所からやって来ているのではないか、という説が広まった一因でもある。

 無駄に大型の魔物が多数生息しており、紫魔鉱石からエネルギーを抽出出来る為に特にエネルギーで困る事は無い。代わりと言っては何だが、「アイソール(ロシア)の魔物おそロシア」と冗談混じりに日本人プレイヤーは語っている……が、NPCと日本人以外のプレイヤーからは何言ってるのか理解できない。


◆アーポルエ連合諸国(ヨーロッパ周辺)

 ヨーロッパ周辺の国家を全部纏めてしまった巨大な連合国家。

 まさに中世ヨーロッパといった感じであり、城は立ってるわ貴族は居るわである。だが貧民や奴隷は基本的に居ない上に貴族による圧政社会でも無い。

 『騎士の誇り』『貴族の義務』といったような思考の人が多く、魔物から民を護る為に貴族達による騎士団が組織されており、極めて堅牢な都市を形成している。

 EW世界で最も『剣と魔法の世界』といった場所であり、プレイヤー達から最も人気のある国家。当然魔物も竜やら何やらと小型から大型まで居る。


◆アキルフア(アフリカ大陸周辺)

 広大な砂漠を有する国家。

 全体的に乾燥しており、ところどころに点在する水場を中心に都市が形成されている。

 また、この大陸では森林等の自然が少なく魔力濃度が低い為に魔法の威力が若干低下するが、乾燥の為か炎等の威力が上昇しているという事例が存在する。

 魔物はサソリやヘビなどを模した物が多く、毒を持つ物も多い。他の地域では見られないような独特な生物が多い為、住民達も独特な武器を用いて迎撃している。

 ちなみに地下には巨大な水源が存在し、特に水で困ってはいない。


◆アイラートゥスア(オーストラリア大陸周辺)

 太平洋に存在し、四方を海に囲まれた国家。

 昔からアーポルエと交流があり、元来の文化と混ざり合って新しい文化を形成している。

 また、昔ながらの文化を護っている地域も存在しており、やはり独特な魔法文化を持つ。


◆アニチェ(アジア諸国)

 ユーラシア大陸の東部と中部を支配する巨大な連合国家。

 魔力を独特の技法で体内で循環させる魔法、通称"気功"を用いた格闘術が特徴。この魔法を元に身体強化魔法が作られており、他にも様々な世界全土で用いられている物が開発された地でもある。

 また、極めて広大な平原に都市を構築している為に都市へ迫る魔物を早期発見する事が可能だからなのか、ひとつひとつの都市が巨大。


◆倭(日本)

 SAMURAIやRIKISHI等、数ある国の中でも独特な文化を持つ小さな島国。

 大昔からアニチェと交流があり気功等の技術も渡っていたのだが、その昔、倭への出入りがおよそ百年程不可能になるという現象が発生した為、その間に独特な文化が発展していった。(という設定)

 魔法の技術転用や開発力は他国からも関心を向けられる程であり、何かやらかす度に「倭の技術者は変態だな」と褒め言葉を送られている。

 また、魔物も特徴的であり、無機物系の魔物や人型の魔物が多く存在し、中には人語を理解し使用するモノが存在し、これらはアヤカシと呼ばれ区別されている。人と共存しているアヤカシも存在する。

 ただし、倭から出るとただの魔物扱いである為、容赦なくボコられるので連れ出しは禁止されている。


◆セアルクニーグ皇国(異空間)

 アーポルエ西部に近い文化……どちらかと言うと日本製西洋風ファンタジー世界に近い文化を持つ国家。

 イギリス程度のサイズの島国であり一応四方を海で囲まれている。また、本島から離れた島々は魔物の住処と化している。

 大昔に魔王を封印する為に大陸と共に異次元へと飛ばされた為に若干違う世界に存在しており、事実上の鎖国状態である。

 この異空間は魔界と世界の中間に位置している事になっており、魔物の通り道でもある為に理論上全種類の魔物と遭遇可能。ただし殆どの魔物は離島辺りに現れる為に比較的安全である。

 政治体系としては、頂点に国王が代表者として存在し、その下に貴族院と国民議会が存在する。

 貴族と平民が居るが、両者間で確執等は無く、むしろ超フレンドリーである。というか全員どこか頭のネジが緩い。

 ちなみに地球にあった頃はオーストラリア大陸程度のサイズがあったらしいが、封印時の空間移動の衝撃で大陸の大半が消滅したとか何とか。そして地動説を地で行く素敵国家である。

 その実態はEW開発初期に作られた空間(=テストサーバ)であり、現実では特殊演算サーバの隣で稼働している。要するに開発中のプロモーション用国家。公開されているスクリーンショットの『画像は開発中のものです』と文字が書かれているモノは殆どこの国である。

 余談だが、この国のNPCはプロトタイプとして設計された為、他国家のNPCと比べると平均ステータスが高い。より正確に言うと、サーバ1機辺りの総人口が少ない為に一人当たりのリソース割り振りが多くなっている。


  ■  □  ■



●『Enchanted World』の設計について

『Enchanted World』は超大規模物理演算システム『世界』の一部を演算処理として使用し、各国に配置した共通サーバと6種の特殊演算サーバで構成されている。サーバの内容は以下の通り。


『共通サーバ』

現実世界各地に配されたサーバであり、面積や人数の多い国では州毎にサーバを置いている箇所もある。

以下の共通サーバ群はセットであり、各地に各機が併設されている。

『Enchanted World』の世界情報を保持している為、共通サーバが故障した際にはロールバックが発生する事がある。


 ◆サーバ『スピリット』(NPC処理)

管理人格は無く、強いて言うならNPC全員が管理人格のようなもの。

NPCの処理を行うサーバ。『身体データ』『記憶』『現在位置』等のデータを扱っており、名前通りNPCの魂と言っても良い。また、このサーバの処理によりNPCはゲーム内で『生きている』。

また、NPCの人格に関してはAIでは無くLI(Learning Intelligence)で構成されており、生まれてから数年間の環境学習により生成される。

なお、NPC専用魔法である『精神魔法』は事実上このサーバで処理されている。


 ◆サーバ『プラネット』(物理データ保持)

管理人格はリトレード・フェアリアル。「小さな赤い妖精」

大地のデータを管理しており、地形や建造物などの状態を保持するサーバ。

物理演算を行う『カーディナル』の子機であり、リトレードはどちらかというと『カーディナル』の端末である。

小規模の物理演算は子機で行い、処理容量を超えた分を『カーディナル』本体へ送信、処理結果を受信してEWへ反映させる。


 ◆サーバ『コネクション』(プレイヤー応対)

管理人格はミドリ=グリューネ=ヴェル=プラシーノ(翠)

プレイヤーキャラクタの情報(ステータス、アイテム、ログアウト位置等)を保持するサーバ。

共通サーバである故に特殊演算サーバ程の処理能力は無いのだが、ログイン・ログアウト時以外は処理が無く、その処理自体も一瞬で終わってしまう為に割とリソースが余っている。

そのリソースを利用し、新規参入者用のチュートリアル兼プレイヤー支援施設を運営している。

なお、翠は『イマジナリー』から精神魔法行使権限を貰っている為に小規模ならば行使が可能。

(権限鍵はユーザ登録が必須であり他人が奪っても意味は無い)


 ◆旧魔法サーバ(旧式魔法実行処理)

管理人格は無し。

旧式魔法を行使する為だけのサーバ。

全サーバの中で最も性能が低く、かつ凄く安い。



『特殊演算サーバ』(上位権限サーバ)

ゲームバランスを維持する為に存在する特殊なサーバ。

並列処理による混乱を防ぐ為に稼働しているのは1機のみだが、故障対処の為にバックアップが複数存在する。

共通サーバとは異なり、世界情報を保持している訳ではなく純粋に演算しか行わない為、故障した場合にはロールバックが発生しない。(管理人格の記憶はロールバックされる)


 ◆サーバ『ジャッジメント』(攻撃判定処理)(第2話登場)

管理人格はクロナ=シュヴァルツィア=ノイエ=メラニア(黒菜)

剣や弓などでゴーレムのような硬い魔物に攻撃した際にダメージが入らない・・・といった事を防ぐ為の演算サーバ。

黒魔鉱石で作られた道具で攻撃した際、その道具では太刀打ち不可能な相手に対して追加処理を行う。

具体的には『攻撃時の最低ダメージ保障』。ゲーム内では『武神の祝福』と呼ばれている。


 ◆サーバ『イマジナリー』(想像魔法処理)(第3話登場)

管理人格はアオバ=ブラオス=ブレゥム=キュアネイデシア(青葉)

物理演算により物理法則に支配された世界の中で魔法という現象を起こす為の演算サーバ。

魔法媒体への魔力供給を感知しその魔力を仲介してプレイヤーとリンク、伝達された想像を現象として実際に世界へ上書きする。その為、管理人格や開発者の間ではサーバ『オーバーライト』と呼ばれる事もある。(余談だが青葉はこちらの呼び方が気に入っている)


 ◆サーバ『コーディネート』(世界管理機構)(第4話登場)

管理人格はシロノ=ヴァイス=ブラネス=レウコニア(白埜)

『Enchanted World』内で発生する問題に応対する、事実上のGMゲームマスター

管理人格AIだけでなく、他にも複数のAI行使が可能で、世界各地にAI・NPCを配して問題解決を行う。

問題を起こしたプレイヤーに対してマーキングを行う事で常時位置を把握する事が可能で、再度問題を起こした場合には管理人格本体が転送される。

また、イベント時等に使用するAI・NPCもこのサーバの管轄となる。


 ◆サーバ『カーディナル』(物理演算中枢)(第4話登場)

管理人格はアカリ=ローツ=ルージュ=エリュテイア(赤璃)

各地に配されている子機から受け取った物理演算データを超大規模物理演算サーバ『世界』へ送信し、その処理結果を各子機へ返信する。

その機能の応用で物理演算結果を改竄する事により衝撃の無効化や完全耐久化などが可能。


 ◆サーバ『ストレングス』(エネミーバランス調整)

管理人格はシオン=ヴィオレッタ=ヴィオレ=ポイニークニア(紫苑)

魔物の製造、転送、命令を担当する。また、特殊マップ『魔界』の制御も担当している。

集落の付近に極端に強い魔物が出現しないように配置したり、翠が管轄する施設へ練習用の雑魚を送ったりしている。

ちなみに、紫魔鉱石を作っているのはこの紫苑。



   □   ■   □



●魔鉱石について

 魔鉱石とは、魔法効果を持ったアイテムを作成する上で必須となる素材である。

 金属のように加熱する事で融解し、他金属と合わせて魔法合金等を作成出来る事が確認されている。しかし何故か純度は上がらない。実は細かい粒子となって金属に混ざっているだけであり、溶けているように見えるのは若干液化しているだけ。

 魔力を吸収している魔鉱石は各色に対応したサーバへの信号として特定周波数の魔力波を発する。この魔力波を信号として受信したサーバは発信座標を特定し、各効果を世界へ上書する、もしくは物理演算改修によって発揮させている。

 中でも『青魔鉱石』の場合、前述の魔力波にイメージを載せる事が可能な程に魔力波の周波数が高くなっており、魔力波に乗せたイメージをサーバ『イマジナリー』へ届ける事で『想像魔法』の実行要請を行っている。

 『白魔鉱石』の染色反応は『磁石と接触している鉄が一時的に磁石化する現象』と同じである。その為、直接魔鉱石を仕様した場合と比較すると効果は弱くなってしまう。


 また、別色の魔鉱石同士を混合させた場合には効果減衰を起こす。この現象は前述の魔力波が原因である。

 同色の魔鉱石は魔力周波数が等しい為、魔力波が同調する事で大きくなりサーバへの接続が強固になる。これは高純度のモノや大きな魔鉱石を用いた際の効果の上昇も同様の理由である。

 一方、別色の魔鉱石同士は別波長の魔力波を発する。その結果、魔力波による信号がお互いに干渉し、効果減衰現象が発生する。特に魔法行使のイメージを載せた際の青魔鉱石の魔力波に顕著に影響が表れ、魔法に用いられている魔力波に対して別波長の魔力波をぶつける事で減衰やイメージへのノイズ混濁を起こし、魔法の効果現象、ひいては魔法発動失敗を促すといった現象に繋がっている。



   □   ■   □



●魔力と生物の関係について

 生物は基本的に例外無く魔力を有している。

 現在の魔法学会では、魔法版の心臓や血管、肺ような器官があり、大気から魔力を吸収して全身に魔力を巡らせているのではないか、という説が有力である。

 これは新鮮な魔力が豊富に存在している森林などに滞在中は魔力の回復が早く、その影響による身体の治癒加速等も確認されており、裏付けもされている為である。



●魔力汚染と自然環境

 魔力汚染とは、魔法を使用した際に周辺へと使用済みの魔力が流れ出る事により、空間の魔力バランスが崩れた状態を指す。

 生命には特に影響も無く、魔法を使用する上でも特に弊害は無い。

 また大気と共に循環し、二酸化炭素と同様に植物に吸収され、光合成によって新鮮な魔力へと戻される。

 なお、植物は太陽の出ている昼間に日光と二酸化炭素による光合成で酸素を放出し、太陽の出て居ない夜間に月光と劣化魔力による光合成で魔力を放出する。

 太陽の出ている昼間にも魔力は放出している事が確認されているが、昼間の月は薄く見辛い事と同様に日光で月光が遮られている、または日光による光合成で植物の生産リソースが殆ど使用されている為に夜間程の魔力放出は確認できない。

 つまり、魔力汚染とは魔法的な大気汚染である。



●魔法エネルギーと科学エネルギーについて

 異世界来訪型としてゲームを開発して行く上で、決定された中世のような世界観。これを壊す事なく、自由度をほぼ無制限にするという開発方針に一つだけ問題があった。

 それは、プレイヤー達による"現実からの科学技術の持ち込み"による世界観崩壊である。現実世界では、ワープ装置やら無限のエネルギー機関、などと言った超常科学技術は開発されていないが、極めて凶悪な兵器、または魔法より遥かに安全かつ有用な技術が多く存在し、これらをEWに持ち込んだ場合『魔法や剣』の世界から『科学や銃、あと魔法』の世界に変わってしまう可能性が懸念されていた。

 その為の措置として設定されたのが『半導体の生成不可』である。

 名称の通り、機械製品を生み出す上で必須とも言える半導体が作成不可能というシステムであり、有機無機問わず半導体を作成する事は不可能となっている。

 一方、真空管を用いた機器の開発は不可能では無いのだが、魔法装置を作成する方がコストやサイズ等あらゆる面で手っ取り早い為に使われていない。

 また、半導体の作成が不可能なだけであり、タービンの回転を用いる火力、水力、風力、原子力、さらには海洋温度差発電や地熱発電といった発電所は建造可能。だがこちらも殆ど『紫鉱石エネルギー抽出機』の方が優れている為に基本的に利用されていない。



   □   ■   □



●想像魔法(精霊魔法)について

 ゲーム内では想像魔法は青魔鉱石を媒体として、魔力にイメージを載せて精霊と交信し事象を起こす。という事になっている。

 しかし実際は、魔鉱石の発する魔力波にイメージを載せ、想像魔法実行サーバ『イマジナリー』へ伝達する事により『イマジナリー』が世界に対して事象の”上書”を行う事で発生している。

 余談だが、本来の名称は『精霊魔法』である。『想像魔法』と呼ばれている理由は、開発中のスタッフやテストプレイヤー達の間で「イメージを創造するから想像魔法という名前も良い」という冗談が広がり、そのまま一般プレイヤー達にまで広がってしまった事が原因である。

 また、この冗談は『イマジナリー』名称決定前から開発メンバ内に広がっていた為、精霊魔法処理サーバは想像魔法処理サーバ『イマジナリー』となった。精霊だとNPC処理サーバ『スピリット』(魂の意)と名前が被る為、丁度良かったとも言う。



   □   ■   □



●旧式魔法について

 一般的には極少量の魔力を青魔鉱石に吸わせる事で発動可能な簡易な魔法という認識だが、

 実際には通常の『精神魔法』実行を行うサーバ、『イマジナリー』ではなく開発中にテスト用として設置された旧魔法サーバに接続して実行するテストコマンドである。

 元々は『Enchanted World』開発中の『イマジナリー』未完成時に魔法実行テスト用として作られたデバッグコマンドであり、運営上大して維持費が掛からない上にEW界での生活において非常に便利と判断された為にそのまま残されたものである。

 旧式魔法は『精霊魔法』のような”世界上書”による事象行使では無く、魔力というエネルギーを旧魔法サーバ内で別の形に変換し、出力するシステムとなっている。その特性上、規定量以上の魔力を流すとシステムの臨界点突破オーバーフローを起こしてしまう恐れがあり、その為一定以上の魔力の場合は強制的に『イマジナリー』へと接続先が変更され旧式魔法が行使できなくなる。

『着火』では魔力を熱エネルギーに変換して放出し、

『灯』は魔力を光エネルギーに変換して放出する。

『振動』では運動エネルギーとして変換し、媒体を振動させ、

『吸着』は魔力で構成した糸のようなもので媒体と物体を繋ぎとめる。

そして『切断』は、魔力で極細の圧縮空気を形成し、放出し続ける。




   □   ■   □



●パラドクス・システム

 別名、シュレーディンガー・システム。或いは纏めてSPSシュレーディンガー・パラドクス・システムと呼ぶ。EW運営関連のシステムなので、プレイヤーには本来は関係せず、名称や内容は公開されていなかった。

 ……しかし、様々な戦闘スタイルの確立や、魔法関連の発達により、このシステムが関係して来た為に公開される事となった。


 膨大なデータ量と、莫大な演算速度を要求EWを運営する上で用いられる、特殊な演算システムの事。

 従来のオンラインゲームでは、移動可能(侵入可能)な全MAPをサーバ上で動作させ、プレイヤーは自由にMAPを出入りできる……といった形式で動作している。

 しかし、EWで用いられているデータ量は全MAPが3Dであり、砂1粒どころか原子1粒レベルでの再現を行っている。故に、従来のデータ処理方法では演算が困難となり、またその困難な演算を行うコンピュータは極緻密化され、故障率の増大が懸念された。そこで設計されたのがこのシステムである。

 概要としては単純であり、「誰も観測して居ない場合、最も高い確率のモノを自動選択する」というモノ。

 要するに、茶碗を落とした場合、割れる可能性と割れずに残る可能性があるが、割れる確率の方が高い為に、誰も見ていない場合は確実に割れる、という事。

 もっと言ってしまえば、EWではこのシステムが作用している為、誰も癌等にはならない。いくら煙草を吸おうとも、確立上「発癌率が50%未満」である為に、絶対に発癌はしない。ただし、観測していればその例から漏れる為、細胞を観測できる設備(顕微鏡など)で覗いている範囲ならば、発癌する可能性はある。とは言っても、観測中に発癌する確率も極めて低いが。

 まとめると、誰にも観測されていない空間では、確立に左右されず、ほぼ同一の結果が得られるという事。

 同時に、誰にも観測されていない空間では、割と何でも発生させる事が可能という事である。


 EWでは、このシステムの応用技術として、アイテム召喚魔法がある。

 これは、従来では『拠点』としてシステムに登録されている空間でしか開くことのできないアイテム収納空間インベントリを拠点範囲外で限定展開し、アイテムを取り出すという魔法である。

 簡単に言ってしまえば、「インベントリ開けないなら、召喚魔法扱いすれば良い」という無茶理論の元で成り立っているトンデモ魔法なのだが、システム上問題無く、運営側からも黙認されているので、オッケーなのである。

 この魔法はSPSの特性を用いられており、即ち「誰も観測していない空間」からアイテムを取り出す、という魔法である。故に、袖に手を突っ込んで引き抜くように剣を召喚しり、ポケットに手を突っ込んで回復剤を取り出したり、といった形で用いられる。

 「観測されていない空間から取り出す」という魔法である為に、勿論観測されていると不発に終わる。即ち、解析魔法を使われたり、完全に取り囲まれている場合は不発に終わる可能性が高い。

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