Dive_17 北の魔術都市、セプテントゥリオ
今回から、若干更新方針を改めました。
試しに、今度からは1話当たりの長さを少し短くして、更新頻度を上げてみたいと思います。
マグナに呼ばせた皇国兵がプリムラ村に到着し、防衛を任せた後。
私達は怪我を負っていない村人達に簡単な挨拶を済ませ、北へと進みました。
村を出る前に、オークとの戦いで怪我した人達を治療しようと思ったのですが……そこまでされてしまうと、何も返せる物が無い為に村としての面子が無い、という事。それから森で出会った少女……プエラが薬草を取って来てくれた為、問題無いとの事で断られてしまいました。
いやはや、彼女のように勇気ある者が居れば皇国の未来は明るいですね。ただ、1人で夜の森に居た事は……少々無謀でしょう。しかし今回の事を糧にして優しく、行動力もあり、そして判断力もある人へと成長してくれると信じています!
(プエラに謎のフラグが立った……?)
そして今、大陸北の山岳部……道に沿って進み最初の丘を越えた先の『広大になった平原』、そに存在する円形の街、魔術都市セプテントゥリオ。ここまで辿りつけば、もう少しです。
………え、ここまでの道程?
何故か全然魔物等と遭遇しなかったのですよね。ところどころ木々が倒れていたり、焼けたような跡があったのですが……もしや洞窟で遭遇したラーヴァスライムのような強力な魔物でも居たのでしょうか。だとしたら村が危ないのでは……などと考えましたが、マグナが「大丈夫だから気にするな」と言っていましたし、大丈夫なのでしょう。
「ここが、皇国の魔術士総本山と謳われる魔術都市……セプテントゥリオですか。ふふ、まさかこの様に直接赴ける日が来るとは思ってませんでした」
なんせ私は、この世界が産まれてから今まで城から離れた事がありませんでしたからね。普段から各地へと赴いている黒菜さんや騎士達の報告は受けていますが、王都から離れた事はありませんでしたし。
出来る事なら、このまま街の隅々まで見ておきたいのですが……今は私だけの身体では無いですからね、先へ進む事を優先に、安全を最優先に行きましょう。
「これより先では補給も儘ならないでしょう……ですので、必要な物品を手分して集める事にします。確か、街の北西部にゲートを設置したはずなので、それを集合場所にします」
『ゲート』というのは、このEWという世界において都市と都市を繋ぎ、長距離を移動する為のワームホールのようなモノです。
メインゲームサーバ……つまり、プレイヤー達が居る世界と繋ぎ、彼らがこの大陸へと出入りする為の施設です。
まあ、異常発生によってこちらの世界が閉じているので、向こう側から此方に来る事は無いですし、此方のゲートも閉じているので向こうにもNPC達が行ってしまう事も無いのですが。
「アルマはまだ疲労が抜けていないでしょうから、先に集合場所に行って休んでいて下さい。マグナは回復薬や魔法具を含む消耗品をお願いします。私は彼の為の装備品を見繕ってきます」
「了か「ちょい待って」――む?」
了解、とアルマが言おうとしたところで声が遮りました。
声のした所……私の腰元に視線を向けると、そこにはモゾモゾしつつ黒剣から這い出して来る黒菜さんの姿が………凄い不気味ですねこれ、2人とも引いてますし。
このままだと私に黒菜さんの全体重が掛かる気がするので、とりあえず黒剣を腰から外し、黒菜さんが出てきている面を下に向けます。どべちゃっ
「~~~~ッ!? 頭打ったあぁぁぁ……」
「あー、大丈夫ですか?」
「うぅぅ……大丈夫と言えば大丈夫だけどさぁ……いくら痛覚無くても気分的には痛いんだよー」
……流石に頭から落とすのはやりすぎでしたかね。
ちなみに出てきたを聞いてみた所、どうやらゲートまでの案内だそうです。どちらかと言うと、案内と言うより口利きですかね?
現在ゲートは停止中ですが、仮にも重要施設。警備というか何というか、現在は立ち入り禁止らしいです。
私達は今回、集合場所にしただけなので中には入らないのですが、入り口付近にずっと居ると不審に思われかねない……という事で、その時には黒菜さんが口利きするそうです。なるほど、それは盲点でした。
「集合場所は私達に任せといて、安心して買い物してきてよ」
「ええ、ではまた後で」
さて武器屋を探しに行きますか。
……あれ、なんでマグナは残ってるんです?
「なあ隊長、武器見繕うのは良いんだが……場所知ってるのか?」
「………あ」
何たる失態、私とした事が……
マグナは私が王都の外に出た事が無い事を知ってますから、私を案内する為に残っていてくれたのでしょう。
何でしょう、マグナの視線が鋭い、っていうか痛いんですが……私、何かしました?
全く身に覚えが無いのですが。もしかして場所も知らないでふらふらと出歩こうとした事でしょうか……ええ、その可能性が一番ありそうですね。
……でも、そんなに怖い顔しなくても良いじゃないですか。
「失礼ですが、フィリアレーギス皇女殿下。貴女は……何を考えている? いや、何をしようとしている?」
「……は? 唐突に何を――いや、まあ。早く青葉さんの所に行こうと思っているだけなのですが。……何か、先程の指示に不備でもありましたか?」
「いえ、問題はありません、失礼しました……少々確認したかった事があっただけです。私は指示通り、消耗品の補給をしてきます。武具類を扱う店も途中にありますので、店の前までご案内します」
「……あぁ、えっと。では店まで案内お願いします」
………何だったんですかね。口調も何か硬いですし。
まあ、考えるのは後で良いでしょう。マグナはどんどん先に行って―――って、ちょっと位待ってくれても良いじゃないですか! 私はこの街初めてなんですから?!
――後になって思えば、この時の私は浮かれていたのでしょう。
だから、忘れている事に気付かない。
「ん、何か言いましたか?」
「―――いや、何でもねーよ隊長殿。さっさと行こうか、早くしないとアルマが干乾びるからな」
干乾びるって……管理代行者であるアルマがそんな事になる筈が無いでしょうに。
………へんなマグナですね?
~ いつもの ~
●魔術都市、セプテントゥリオ
大陸北部に位置する、魔法使い達が集う街。
この大陸の『魔法の聖地』とされている『魔神湖』の近くに作られた都市で、周囲は大小様々な丘に囲まれて居た。
……が、魔法使い達の火力実験により丘は吹き飛び、綺麗な更地になってしまっている。
●ゲート(ポータル)
長距離を移動する際に用いられる転移設備の事。
所謂、MMORPG等に登場する「街と街を繋ぐワープ施設」の事。
セアルクニーグ皇国のゲートは、通常世界に存在する、とある場所へと通じている。