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俺と私と”魔法の世界”  作者: ながも~
セアルクニーグ皇国編
43/52

Dive_16_BGP05 魔法村人リリカルクォーティ(38)

PV100,000、UA15,000超えました!

ありがとうございます、ウェヒヒ!


今回も調子に乗ってノリに任せて書いてたら長くなりました。

もしかして、深く考えずにノリで書いた方が筆が進む……?

 村の北口の方角に見える炎を後方に、村の内側へと向けてアイネとマキナは疾走する。

 途中で遭遇した第四北警備隊(アイネの同僚)には第一北警備隊の補助を頼み、2人は返事を待つ前に駆け抜けて行った。まあ、頼んだ時には彼らも既に『前線へ向けて走る』という行動で返していたが。

 


「……なあ、スミスさん本気出して無いか?」


「あー、アレでも本気じゃないよ……ちょっと出しかけてるけど」



 ちろっと振り向いてみると、確かに火の粉が飛び散っている事が確認できる。

 離れた距離から火の粉に見える……という事は、それは火球という事だった。その事に気付いたマキナは顔を引き攣らせる。

 

 ――アレ、防壁修理決定だよね~?……恨むよじーちゃん……

 

 背後でスミスが振り回す炎は松脂が燃えているだけの大剣だ。つまり普通の炎ではある。

 そして彼は仕事の時、慎重かつ大胆に鎚と炎を扱う鍛冶師だ。炎の扱いには長けている。

 ちなみにプリムラ村で使われている刃物は、基本的に彼の作品と言って良い。王国兵の中でも彼の剣を好んで使う者が何人か存在する程だ。それ程までに彼の腕は良い。

 

 ……が、戦闘中は凄まじく大雑把になる。

 松脂を剣に塗るのは良い。炎を付けて振り回すのも良い。

 だが塗りすぎだった。剣を振る度に燃える松脂が飛び散り、付近の壁に飛び散って壁が燃える。勿論その程度で壊れる壁では無いのだが、表面が焦げ付いたり、装飾が破損する事はある。壁に取り付けられている灯りの魔法具(街灯の様なモノ)も壊れているだろう。

 するとどうなるか、当然魔法具制作が仕事であるマキナ、そして現在オーク達に向けてナイフを投げている細工師アランミューズ氏が修理に駆り出されるのだ。

 勿論、やらかしたスミスも雑用として駆り出されるだろう。当然の結果だよ、これは。

 

 明日から始まるであろう壁の修復作業を思い、ゲンナリしつつも最後部に辿りつく。

 そこには離脱した者達―――第二、第五北警備隊のメンバーと村長が居た。

 

 駆け寄る2人に気付いたのか、村長は前に出て来る。話を聞く為だ。



「アイネにマキナか……前線の状況は第五北警備隊から聞いている。何か進展はあったか?」


「いえ、相変わらずです。稀に押し返す事も出来てはいますが、撃退までは……通常の武器では傷を負わせる事も出来ず、並の魔法では止める事が精一杯です」


「やはりそうか……」



 アイネの報告を聞き、村長は神妙に頷く。

 実は先に到着していた他の面々とも同じような話をしており、高出力の魔法か黒魔鉱石を用いた武器が必要という結論が出ていた。


 元来ならばハイオークと言えどもそこまで防御能力は高く無いのだが、狭い通路内に同種の魔物が多量に居る事でハイオーク同士の魔力力場が共鳴、強化されているのではないか?という説が出ていた。この説を挙げたのは第五北警備隊所属の魔法使い2人だ。やっと役に立った。


 確かに、いつもやってくるオークの群れにもハイオーク(極稀にオークロード)が1匹混ざっているが、何の問題も無く倒せている事から考えるとその説は真実味を帯びる。如何考えても普段より強かった。

 

 恐らく最も殲滅力の高い第一北警備隊のスミスは壁がある為に本気を出せない。

 最も黒魔鉱石の使用に長けるリグが所属する第二北警備隊は休息中。

 第三北警備隊は明日が警備当番である為に出す事は思い悩む。

 第四北警備隊は火力不足。

 第五北警備隊は第二北警備隊と同じく休息中。

 

 見事な程の八方塞がりだった。

 

 だからこそ、村長は決断する。

 


「クォーティ、行けるか」


「………えぇ、問題ありません」



 村長がクォーティに確認を取り、問われた彼は返答する。

 そのやり取りを見た周囲の村人達は顔を青くする……若干赤くなった者も居るが。

 

 前者はアイネとマキナ。

 アイネは常識人であるが故に、マキナは「修理が……うあぁあ……」などと呟き始める。どうやら壁の破損具合が増える事を恐れているらしい。

 

 後者はリグである。

 興奮気味に「マジかよ、久々に見るんだけどアレ」などと呟き始める。

 

 ちなみに、ソラとトゥーリは如何でも良いと言わんばかりにスルーしており、

 第五北警備隊の面々……特に兵士2人は何の事だかサッパリなので、一体何が始まるんです? と言わんばかりの困惑顔だった。

 しかし、魔法使いの内1人は多少知っていた様で、「知っているのか、雷電?!」と言わんばかりに尋ねられた彼は相方である魔法使いに、とある噂をこっそりと教える。


 

――何でも、プリムラ村には滅多に出てこない、超凄い魔法使いが居るらしい。






 ――― side クォーティ



「よし、行くぞ」


「了解」



 村長に続き、俺は進む。

 緊張からか、手に持った魔法杖をつい硬く握りしめてしまう。

 

 そんな俺に、仲間達が声をかける。



「クー、ド派手なヤツを期待してるぜ?」


「さっさとやって来るが良い、芋を一籠分進呈してやろう」


「じゃあ、僕はパンをあげるよ。もしかして小麦粉の方が良い?」



 ……好き勝手言う奴等だ。

 間違い無くリグは、俺の魔法を花火か何かと勘違いしているだろう。強ち間違って無いのであまり否定できないのだが。

 他2人は……何も考えて無いな。自分達には関係無いと判断している。

 ………気楽に言ってくれるじゃないか。



「お願いだから、壁にっ! 壁には当てないでね! お願いだからね!!」


「私からもお願いします……出来るだけ、壁には当てないであげてください」



 泣きそうな顔で俺に叫ぶのはマキナ。

 ふむ、確かに街灯修理に駆り出されるであろうから大変なんだろうが……普段から作り置きしておけば良いんじゃないか?

 普段から作りたいモノを好きな時に作る、等と言う生活をしているからそうなるんだ。

 ……だからこそ、作りたくも無い街灯を強制的に作らされる……それも同じ物を複数。という事が嫌なのかもしれないが。

 まぁ、文句を言いながらも仕事は早いので、半日もすれば全部直っているだろうし、「前向きに善処します」とだけ答えておく。後ろから「ぎにゃあぁぁぁぁ」という声が聞こえた気がしたが、気にしない。

 


「貴方の魔法、見させていただきます」


「どうやら我等の求める魔法は、貴方の手にあるようですしね」



 北街から来た魔法研究者か。

 こいつ等、昼間に行っていた魔法研究で魔力を使いきっていたとかで、戦闘で魔法を殆ど使えなかったらしいな。……それで良いのか、魔法使い。研究者だから良いのか?

 ……まぁ、見たいというのなら見せてやる。参考になるかどうかは解らんが。

 


「北警備隊全員に告ぐ! これよりクォーティの『カノン』を使う、総員準備せよ!」



 ……どうやら考え事をしている間に、予定地に着いていたらしい。視線を横へと向けてみると、確かに少しまでまで俺が居た物見櫓が見える。


 村長が魔法で声を拡大し、北口地区に居た全員へと通達すると、各所から了解の返事が来る。

 村長の指名は第一北警備隊のスミス氏と、第三北警備隊のグラーシェだ。

 

 

「一度奴等を吹き飛ばせ、スミス!」


「解った! ―――ッハアアアァァッ!!!!」



 凄まじい気迫の叫びと共に魔力を一気に練り上げ、放出する。

 前方で飛び散っていた炎が消え、次の瞬間には突風が村の外へ向けて通路を抜ける。

 アレはスミス氏が全力で魔法で風を吹かせたのだろう。鍛冶師にとって風を送る、という事は火力(温度)調整の為に重要な能力だ。時に強く、時に優しく。微調整によって高温を保たせる彼の風使いは凄まじいの一言に尽きる。なんせ、一般的な戦闘に特化した風魔法使いよりも扱いが上手いのだ。だからこそ、大気中から酸素だけを抽出して操作する、などという芸当が可能なのだが。


 そんな彼が、思いっきり風を吹かせる……ハイオーク共の背後から、村外へ向けて。

 より正確には風を吹かせるのでは無く、大気を動かす。大気動かされた箇所は気圧が下がり、ハイオーク共が吸い込まれる……とまでは流石にならないが、尻餅を付かせる事くらいは出来る。

 そして、その気圧が下がった箇所へ向けて吸い込まれたのはハイオーク達だけでは無い。当然だ、そもそもハイオーク達ですら余波に巻き込まれただけに過ぎない。

 本命は、俺達が居るこの通路の大気だ。村の内側から外へ向け、通路の中を吹き抜ける突風。先程俺が感じたこの風こそが彼の望んだモノ。

 

 

「吹き―――転げろ!」



 文法的に可笑しい気がする言葉を叫びながら、吹き抜ける風を操作、加速させる。

 一本道である通路を抜ける風は、当然のように全て同じ方向へと吹いている。その方向へと加速させてやれば……それは既に突風を超えて、暴風だ。

 尻餅をついた状態、つまり両足で踏ん張る事が出来ず、実に転がりやすい姿勢であるハイオーク共はその暴風を受け、村の外へと転がって行く。



「よし、第一警備隊は撤退! 続いて道を封鎖する。準備しろ、グラーシェ!」


「解りました!」



 村長が次に指名するのは、氷屋を営むグラーシェだ。その仕事は文字通り氷を売る職業だ。

 まぁ、彼女の場合は丁寧に濾過し、煮沸消毒を行った井戸水(地下水)をゆっくりと、丁寧に凍らせる事で極めて透明度の高い氷を作っているのだが……趣味で。

 

 ……まぁ、そんな事は如何でも良いか。

 

 兎に角、彼女は氷の魔法――より正確に言うならば、物体の持つエネルギーを奪う『停滞属性』の魔法の使い手だ。

 彼女の魔法は然程強く無い。対象にも寄るが、マイナス10度程度まで下げられるかどうか、という程度。しかし、それを補って余りあるモノがある。それが『凍結速度』だ。暑い日が続くと皆氷を求めて彼女の店へと行く。無論、氷室には多量の氷を入れてあるのだが……この村の住人は豪快な奴が多い。リグは砂利程のサイズまで細かく砕いた氷を全身に浴びるのが気持ちいい……などと以前戯言を吐いていた。

 まぁ、つまり氷が無くなるのだ。すると氷を補充しなければならないのだが、氷の消費が早すぎて追いつかないのだ。そこで彼女が考えたモノが『急速凍結魔法』。

 まぁ、魔力消費が割と高い上に距離減衰が激しく、さらに術式を徹底的に簡略化した為に魔物相手ではレジストされてしまい、全く使えないのだが……魔法力場が無い相手、つまり生物や魔物、魔法具以外ならば十分に効果を発揮する。

 

 

「よし、全員退避したな?! 監視員、どうだ!」


「問題ありません! ハイオーク達は起き上がろうとしていますが、平衡感覚が狂ったようで中々立ち上がりません!」


「宜しい! グラーシェ、そちらの準備はどうだ!」


「OKです!」


「よし、ならば実行しろ!!」



 村長の合図と共に、長大なアイスピックを持つ彼女は術式を起動する。

 その手に持ったアイスピックは杭として地面深くに突き刺さっており、術式効果を地面深くで発揮する。

 そう、俺の持つ魔法杖と同じ、魔法伝導率の高い素材で作られた『杭』だ。


 地中で発動した急速凍結魔法は、土に含まれる水を次々と氷へと変え、氷は結合を繰り返す。

 そして巨大化した氷の結晶は、行き場を求めて地上へと飛び出す。

 

 ……そう。これは霜柱だ。ただし高さが2メートル近いが。

 


「よし、通路封鎖完了!」


「御苦労じゃった。合図まで維持を頼むぞ……クォーティ、準備を」


「……了解」



 あぁ、ついに俺の出番か。

 ……まあ、やるからにはやるさ。

 

 魔法杖に取り付けられた二脚を展開、地面へと突き刺す。

 

――― 砲撃準備開始。


 続いて深呼吸。同時に魔力を練り上げる。

 イメージするのは太陽程の光。


――― 魔力集束開始。


 両足に力を入れ、脇を締め、狙いを定める。

 一応マキナ頼まれたので、壁に当たらないように。一直線に通路を抜けるルートへ向ける。


――― 射線固定、ロック完了。


 作業を行いつつも術式イメージは練り続ける。

 光と光を交差させ、反射させ、集束させる。目指すものは、万物を貫く槍。


――― 術式構築開始。

 

 完成した術式を待機させ、もう1つ術式を実行する。

 イメージするのはレンズ。ただし光の幅を広げる事だけを目的として、拡散はさせない。

 地面と並行な『線』から、地面と平行な『面』へと光を変える為のレンズ。

 

――― 通路内殲滅術式、構築完了。


 

「――――撃てます」


「カウント後に凍結封鎖解除、直後に砲撃する……行けるか?」


「問題ありません」



 返事するのはグラーシェのみ。

 俺は既に返事をしている。


 村長は神妙に頷くと、カウントを開始する。



「カウント開始、3……2……1……今!」


「―――ッ!」



 合図と共にグラーシェが凍結を解除、巨大な霜柱を水へと戻す。

 急激な温度変化ではあるものの、彼女変更した霜柱の温度は2度程度。

 一切蒸発する事無く、全ての氷は水へと変化する。

 

 そう、これで良い。打撃による粉砕や加熱による熔解では、破片や水蒸気などが発生する。それはこの魔法において障害にしかならない。

 

 一拍置いて、ばしゃんっと大きな音を立てて多量の水が地面へと落ちる。

 既に通路奥にいたハイオーク共は起き上がり、此方へと向かって来ている。

 

 地面へと落下し、飛び跳ねた水飛沫が重力に引かれて落下する。時間は殆ど掛からない。一瞬の出来事だ。

 

――― 射線確保完了。



「………照射!」




 ――――― side end



 声と共に、頭の中でイメージした引鉄を思いっきり引く。

 正面へと向けた魔法杖の尖端から極細の光線が放たれるが反動は一切無い。杖先から出ているのは光、つまり質量が無いからだ。

 杖先から僅か数センチの位置に展開された偏光魔法により横幅が広げられ、通路の端から端まで余すところ無く光の板で覆い尽くし、文字通り『光速』で通路奥へと延びて行く。

 

 光の道はただ真っ直ぐに伸びて行き、大量のハイオーク達を腰あたりの高さで次々と突き抜ける。

 ジュッっと肉の焼ける音を立てるとハイオークは動きを止め、ドサッと音を立てて次々と倒れる。その身体は光の通った腰を境目に上下二分割され、断面は焼かれて炭化していた。

 

 通常、戦闘では精々目暗ましとしてしか使い道の無い光源魔法。

 それをただ只管増幅し、反射させ、物体を焼き斬れる程の出力まで高めた『レーザー』。


 ……これこそがクォーティの、そしてプリムラ村の現在の最終兵器である。




「………大丈夫です。ハイオークの群れ、殲滅完了しました!」



 櫓の上から声が響く。

 その直後、ワァァァッ……っと歓声が響く。今は北口付近だけだが、暫くすれば南口付近も騒がしくなるだろう。


 しかし、騒ぎが本格化する前に村長が嗜める。

 ハイオークの群れというちょっとアレな敵を倒し、村を守り切った。それは確かに喜ばしい事だ。それでも、第三波が来ないとは限らない。何故ならば第二波が来たからだ。

 二度ある事は三度ある。警戒するに越したことは無い。


 ……しかし、上がったテンションを下げるだけではこの村の村長はやっていけない。

 何せお祭り野郎共ばかりなのだ。強大な敵を力を合わせて倒した事で高揚しているというのに「帰って寝ろ」などと言ったりすると「村長って空気読めない……」「俺達のテンションを返せよ……」などという空気になることは明白である。いや、空気云々以前に言われるのである。プリムラ村の住人は自重しない。


 と言う訳で、村長が下した判断は実に解りやすかった。



「諸君! 見事村の危機は去った、いや諸君らの奮闘により祓ったのだ! しかし、先程撃退した魔物の群れ……それは本日二度目の襲撃だったと言う。ならば、三度目が無いと言えるだろうか……いや、無い! ならば警備は続けるべきである。しかし警備担当となった者は祝勝会に参加できない、それでは報われないではないか! 何故ならば、警備担当となってしまった者も共に戦った仲間だからだ!!」



 長ったらしい口上だが、村人は黙って聞き入る。

 彼の声は魔法により遠くまで届くようになっており、恐らく南口に居る者達……当然村で出撃した家族を待つ者達にも聞こえているだろう。

 つまり、プリムラ村の住人は全員が口を開く事無く、村長の言葉に耳を傾けていた。


 これこそが『集落の長』に備わる事があったり無かったりする村長スキル、『カリスマ』である。

 ……ただし効果は村人に対してのみなので、第五北警備隊として参加していた4人は聞き入っているというよりも、何が何やら解らないので周りに合わせて黙っているだけである。



「………そこで私は考えた。誰ひとり欠ける事無く祝勝会を行い、それでいて警備を疎かしない方法――――つまり、警備を行いながら祝勝会を行う!!」



 村人達に衝撃走る……ッ!!

 彼らにとって、祝勝会……まぁつまりぶっちゃけ宴会とは「何か食いながら何か酒飲む、あと騒げ!」というテンション任せのお祭り騒ぎと定義されている。極端な酒飲みこそ居ないが、一部を除いて酒が嫌いな村人は居なかった。


 しかし、同時に「警備の中には飲酒禁止」というルールがある。



「……あ、あの村長……もしや酒無しで祝勝会を行うのですか?」



 ―――という疑問が出るのも仕方ないのである。

 しかし、肝心の村長はニヤリと口元に笑みを浮かべると、村人達へと再び通達する。



「……今回のみ、警備中の飲酒を許可する!! まあ全員が酒を呑むでも無し、何人かは酔わずに起きていられるじゃろう。それに……これだけの人数が居れば警備も楽じゃろ?」



 警備中に酒を飲む。それは彼らにとって未知の経験である。

 普段なら未知の経験だからと言ってその程度で盛り上がったり等しないのだが、現在は戦闘終了直後。つまり身体は熱く、テンションが高すぎるのである。

 その影響からか、実に下らない事で盛り上がり始める。





「酒飲みながら警備とか出来ないもんな……普段出来ないなら、やるしかないよな?」「当然だな……こういう時こそ、我が秘蔵の芋焼酎を出すに相応しい……」「あ、焼酎じゃと? ワシにもちょっと寄越せ……おいクソ弟子、火を出せ。熱燗にするぞ!」「酒盛りするならアイスロックも必要よね……私も秘蔵の氷出そうかしら?」「あぁぁ~っ、壁焦げてるっ! 街燈も殆ど消し飛んで……ぎにゃー、自棄酒だぁぁぁぁ」「よっしゃ、こいつを呑め」「オイ馬鹿、それ消毒用―――まぁ飲めるから良いか。97%だけど」「先程の光線、あれは凄かったな」「あぁ、帰ったらアレを参考に研究を進めるとしよう」「そういや盾がボロボロなんだが、新しいの貰えるかな」「貰えるんじゃねーかな?」「僕達出番無かったね」「ああ、出番無かったな」






 ……翌朝、大半の村人が良い潰れてダウンしていた。

 あまりにも呑み過ぎた所為か日が沈んでも皆体調が良くならず、酔い治しの薬草を求めて1人の少女が森に入って行ったのはその日の事であった。


 その少女の名はプエラ。

 彼女こそ、フィリア一行が森の中で出会った少女である。


 ~ 割とどうでも良い紹介コーナー ~


『マキナ』

 第一北警備隊所属の魔法具制作職人。本人曰く魔法具制作は趣味であり、作ったモノを倉庫に溜めておいてクォーティに良さげなモノを見繕ってもらっている。

 キャラクタモデルはISの篠ノ之束、ただし人と会話も出来るし、彼女程黒くも無い。

 ――――しかも男だ。



『レーザー』

 クォーティが放った魔法。

 光を放つ魔法を振幅・増幅させ、頭可笑しいんじゃないかと思われる程に高めた出力を持たせた後、魔法杖を通して真っ直ぐ飛ばす……という実にバカげた魔法。その威力はまさにレーザー。岩盤も貫けるかもしれない。

 弱点は透明度の高い物体に当たると屈折して何処に飛ぶか解らなくなる事と、鏡や金属鎧などの光を反射するモノに向けて撃つとやはり何処に飛ぶか解らない事。

 ちなみに発射プロセスはANUBISの主人公機であるジェフティ、皆大好きADAの台詞をベースに作りました。ADA可愛いよADA。


 ……まぁ、プレイした事無いのですが。Vitaで出ると良いなー

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