Dive_16_BGP03 プリムラ村自警団
キリの良い所で投稿。
何か短い気もしますが、まぁ良いか。という方針で行きたいと思います。
その内、BGPは1つに纏めるかも?
気分次第です。
リグ、ソラ、トゥーリの3人が驚愕のハイオーク集団と戦ってい頃。
街へと駆けて行ったクーは、真っ先に村長の家へと向かい、まず報告を行っていた。
報告、連絡、相談。お仕事で大事なホウレンソウである。
「こんな夜更けに何じゃ騒がしい……クォーティでは無いか。お主、今は警備のハズであろう、何故ココに居る?」
「……北口にて警備中、暗色の肌を持つオークの群れを確認しました。恐らくハイオークです」
「うん? ハイオーク程度いつも混ざっとるじゃろう?」
村長は困惑する。ハイオーク程度、いつも群れに混ざっているからだ。
ついでに言うと先程まで寝ていたので、若干寝ぼけているのも原因だろう。
「いえ、群れのほぼ全てがハイオークなのです。確認は出来てませんが、恐らくオークロードも居るのでは無いかと」
「何じゃと?! 詳細を……いや、先に自警団員へ連絡じゃな。全員に武器を持って中央広場へ集まるように通達するんじゃ、状況説明は中央広場にて行うので、まだ教えんで良い!」
「了解しました!!」
詳細はまだ知らないものの、緊急事態だと言う事には気づいた村長は素早く支持を出す。
何を隠そうこの村長。プリムラ村で一番の村長であり、誰よりも村長なのである。まあ、他に村長が居るハズが無いが。
指示を出し、クーが飛び出して行った後、村長は部屋に戻って素早く上着を羽織る。そして代々村長に受け継がれてきた武器……魔法杖を持ち、村の中央広場へと飛び出していった。
村長が中央広場に着いた時には既に自警団員は集合し、普段の警備で組んでいる4人組で集まっていた。プリムラ村の住人は緊急時にも強いのだ。伊達に通行路を護って無い。
ざわざわと声が聞こえるが、ざわついているのは訓練された住人だ。黙って指示を待っているのは良く訓練された住人である。
村長は村人を一瞥し、中央広場に設置されている小さな丘、通称『お立ち台』へと登る。台に登った村長に気付いた村人達は口を閉じ、指示を待つ。
ココから先には村人は存在しない。これから存在するのは、良く訓練された村人……兵士だけである。
「諸君、良く集まってくれた。集まって貰った理由は他でもない、現在この村の北口で多量のハイオークが確認されたとの事じゃ」
村長の言葉に一瞬「ざわ……」っとする村人達だが、一瞬で鎮まる。ざわつく暇があれば出撃するのがプリムラ流だからだ。
まだオークしか倒した事の無い、自警団に所属したばかりの若者達は若干不安そうではあるものの、それ以外の男達……つまり、普段のオークの群に混ざっているハイオークを倒した事のある者達は落ちついている。彼らこそ、真の良く訓練された村人である。
「クォーティ、詳細について教えてくれ」
「ハッ……現在、北口では私クォーティを除いた第二北警備隊、リグナトル、ソラーヌム、トゥリティキの3名が防衛を行っております。3名の武器はそれぞれ斧、短鉾、剣である為に敵を倒す事に関しては問題ありませんが、牽制等には向かない為に抑えきれない可能性があります。また、ハイオークの数は緊急報告を優先した為に不明。恐らくは既に戦闘は開始していると思われる為、村への侵入を防ぐ為にも増援が必要かと」
結構トンデモ無い事を言っているのだが、兵士達はただ黙って聞き続ける。
指示があるまでは動かない事こそ、真の兵士であると考えているからだ。勿論例外も存在するが、それは今では無い。
「うむ、報告御苦労……そこで諸君達に集まってもらったと言う訳じゃ。昨日と明日、警備担当であった第一、第三警備隊を補佐に回し、残りの第四、第五警備隊を前線へと配置する。南口から報告は無いが、そちらにも来る可能性がありうる、南警備隊も同じ配置で南口を警備するんじゃ……良いか!」
『了解ッ!!』
「よろしい! ならば第四警備隊、続いて第三警備隊も出撃! その後に続けて第一警備隊、第三警備隊出撃じゃ、行け!!」
指示を出された部隊から順に、南北それぞれの目的地へと駆けて行き、村長とクーの2人もまた、北警備隊の最後尾に付いていく。
「クォーティ、場合によってはお主のアレを使う事になる。その時には指示を出すから、いつでも使えるように準備しておいてくれ」
「………了解。出来ればその時が来ない事を祈りますよ」
緊張の面持ちで歩く2人は、その手に持った杖を硬く握りしめて戦地へと赴く。
………ハイオークの群れとの戦いが、今始まる。
~例によって解説~
『プリムラ村自警団』
通称『警備隊』。北警備隊と南警備隊の2種が存在する。
現在は南北それぞれ第一警備隊から第五警備隊がおり、最低でも一部隊に4人が所属している。
部隊数は自警団員数によって増減し、一部隊の人数が4人以下になると部隊数が減り、余剰人数が4人を超えると部隊が増える。
『魔法杖』
魔力伝導率が高い素材で作られた、魔法の狙いを付ける為の棒状の道具。
或いは、何らかの魔法的効果が仕込まれている杖。
今回の場合は前者。