表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と私と”魔法の世界”  作者: ながも~
セアルクニーグ皇国編
35/52

Dive_13 私とオーク洞窟

110516:最後の方を若干加筆。

 軽い現実逃避が終わりひとまず落ち着いたフィリア達は洞穴の中を目を細めて覗き込んでいたが、とりあえず入口に敵が潜んでいて『あぁっと!』なんて事は無いと確認し、周囲を警戒しつつ足場の悪い洞穴へと脚を勧めていった。



「??……思っていたよりも広いですね」


「あぁ、こりゃ洞穴っつーより洞窟だ――デスネ」


「……マグナ、今まで通りの態度で構いませんよ?」



 一行は洞穴に入って直に中の異常な広さに気付いた。入口のサイズ(吹っ飛ばしたので詳細不明)から考えると広すぎである。

 実際、渡されていたクエストスクロール付属の事前調査書では奥行き10メートル程度だろうと書かれていたが……どうやらマグナの言う通り、洞穴というよりも洞窟といった感じであった。



「その調査書はいい加減でも無かったみたいだぜ隊長……こっから先は掘り進めてやがる」



 少し奥に進んでいたマグナが指差した箇所から先は確かに強引に抉られたような痕跡が天井や壁に残されており、本来はここで洞穴が行き止まりであったであろう事が見て取れた。

 ちなみに流石に地面は踏み固められており、殆ど手を加えられていない入口付近よりも歩きやすい。


 フィリアは洞窟を掘り進んだ理由が解らなかった。

 一般的にオークはこの洞窟の様に掘り進むという事はせず、自然の洞穴や岩山の亀裂等に住み着く。現在の巣で暮らせない程に増えた場合は群れを分割し、片方が新しい巣を探すのである。

 その為に巣を拡張するという行動をオークが取るとは思えなかった。

 何よりこの洞窟の壁は硬く、オークの力では掘り進む事は困難である。態々そんな無意味な苦労をしてまで洞窟を掘る理由が思いつかない。



「どうやって掘ったんでしょう……まさかオーク以外の何かが?」


「いや、さっき襲ってきた奴等は全部オークロードだったしな、案外群れ全部がオークロードで力任せに掘ったのかもな」


「……ふむ、でも理由が解りませんね」



 確かに、マグナの言う通り通常のオークと比べて子供と大人程の差があるオークロードの腕力ならば掘り進む事は可能であった。

 しかし、やはり群分けせずに巣の拡張という手段を行う理由が解らない……というか、ぶっちゃけそんな行動ルーチンはオークに含まれていないのであり得ないのだ。

 このEWにおいて厳密な意味で自由に行動を行う事が出来るのは一般NPCとプレイヤーだけであり……つまり、穴を掘り進むという行動を取れるのは『人間』か―――



「モグラ、ですかね」


「……ジャイアントモールはこの辺りには……」


「オークロードの集団が居たんですから、今更モグラの1匹や2匹居たって可笑しくないでしょう?」


「……………ま、それもそうか」



 割といい加減なプレイヤーの影響を受けたフィリアとテキトーな性格をしたマグナ。

 この2人の前では本来起こり得ない自体も「ま、良いんじゃね?」であった。


 大抵の問題ならゴリ押し出来てしまうのも原因の一端である。悩む前に進め、ゴーイングマイウェイ。



「まさに俺達が通った後に道が出来る……ロードローラーだッ!」


「は?」



 もちろん、テキトーさ具合は『マグナ>(越えられない壁)>フィリア』である。

 余談だがフィリアはロードローラーなるモノが何なのか知らない。頭の中では巨大なイモムシが胴体を引き摺るよう進み、草を大地から削り取っている光景が浮かんでいた。



「マグナ、ロードローラーとは何で―「フィリア様!」―アルマ?!」



 ……次の瞬間、フィリアの目に映ったのは、真っ赤な光に飲み込まれるアルマの姿だった。

~~今回の謎設定~~

『洞穴と洞窟』

単語的には意味は殆ど同じ。

この物語では入口から入りすぐ奥が見える程度の横穴を『洞穴』と呼び、最奥まで行くと外の明りが見えなくなる程に深い、または途中で道が曲がっていたり枝分かれしているモノを洞窟と呼んでいる。



『ジャイアントモール』

その名の通りデカいモグラであり、一応魔物。

過去確認された最大サイズは全長20メートルという意味不明な大きさだが、一般的には2メートル程度が最大である。

ただ大きいだけのモグラなので主食はデカいミミズ。目は殆ど機能しておらず多少の明暗を察知できる程度であり、主に嗅覚や触角で周囲を確認して進む。

しかし図体に見合った腕力を持つので岩盤をブチ抜いて掘り進む事が出来る。うっかり壁と一緒に掘られるとタダじゃ済まないので逃げると良い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ