Dive_E 魔術士と護衛騎士とオーク
前回の投稿から間が空いてしまいました、すみませんです。
活動報告にも書いてありますが、自分の作風?が解らなくなったというか、地文の書き方とかが迷走してしまいました。
今回の話も、結構迷走してます。
フィリアが強制空中散歩旅行に招待されている一方、招待状を送りつけた張本人マグナは焦っていた。
(やっべー、マジやっべー。どうすっかな、逃げるか?いや駄目か……ってか無理だし?)
マグナことマグナス・ブラムリートは最高ランクの魔法制御と圧倒的な配分リソースによるに超火力支援用のNPCである。要するに、凄い魔法で敵をドーンするのがお仕事だった。
もちろん、その魔法関連の能力を使用すればこの場から逃げる事も容易いのだが、流石に『フィリアが元に戻るまで護衛する』という最重要任務が存在している為に逃げる事は出来なかった。
仮に逃げる事が可能だとしても、あまりの事態に自分の隣で硬直している奴が逃がしてくれないのだが。
(こんな時の対応とか、マニュアルに載って無ぇかなぁ……無いな。そりゃそうだ)
諦めが早いのがマグナの良い所だった。出来る事はさっさと終わらせて無理な事は諦めて丸投げする。テキトーだが優秀な秘訣である。
フィリアが空中散歩に招待され、招待した張本人が焦っている一方、アルマは混乱していた。
―――護衛対象が何所かへ飛んで行った場合……対処法……マニュアル……載って無い……事例も無い……
アルマことアルマート・ヴィースリートは優秀な索敵能力と圧倒的な防御力を持つ護衛特化型NPCである。要するに、近寄る敵を察知して攻撃に対して備え、凄い防御力で敵の攻撃を防ぐのがお仕事だった。
ちなみにこの索敵能力、それ程広範囲に展開出来ない為に高速で吹っ飛んだフィリアは既に範囲外である。残念無念、また来週。
余談だが今のアルマはビジー状態である。白埜の配下であるマグナやアルマは世界中で発生する問題に対処してきた実績があり、その膨大な記録から生み出された対応マニュアルが存在する。このマニュアルには大抵の問題とその対処法が記載されており、瞬時に検索し実行する事が出来るからこそ彼らは圧倒的な能力を発揮するのだ。
……ちなみに戦闘用マニュアルもあるので、大抵の攻撃は防ぐ事も出来たりする。
だが、流石に『護衛対象を吹っ飛ばした場合』の事例は無く、アルマは思考がループしていた。
根が真面目な為にマニュアルから対処法を探しているのだが……まあ思考回路は優秀なのでその内復帰するだろう。
フィリアが散歩、マグナが焦り、アルマが混乱している一方、オーク達は実に冷静だった。
『ガオー』(意訳:死ねやゴラァー)
その昔、とあるサーバ管理人格はこんな発言をした。
―――大量の下級モンスターに思考回路なんて積んだら、流石の超高性能サーバも吹っ飛ぶので無理ぷー。
……要するに、考える為の思考が無いに等しかった。どんなに強くても雑魚。現実は非常である……仮想だが。
ちなみにこのオーク達、強さに関係無く1匹当りの思考リソースは1キロバイト……どちらかというと行動ルーチンか。大変メタい話である。
何はともあれ、戦闘に関しては『索敵』『突撃』『粉砕』しか行わないオーク達は空気を読むとか、敵の強さに慄き逃げ出すといった行動を起こす事は無く……結論から言うとマグナとアルマに特攻した。
より正しく言うと、ちょっと前まで攻撃をしており、しかも近くに居たマグナに全員が特攻していったのだった。
……よう、マグナだ。
何か少しずつ襲いかかって来てたオークが全員纏めて突っ込んで来やがったんだよ。
多分アレだな、戦闘開始して数分経過したから攻撃対象補足がリンクしたんだろ……面倒臭ぇ。
「五月蠅い、吹っ飛べ」
『――――ッ』
ドーン……オークは木端微塵だ。
流石は俺。殲滅ならテキトーに撃ってもなんとかなるな。
あー、しかしどうすっかな。隊長はどっか行っちまったし、生きてんのか?
……まぁ、死んだら死んだで連絡が入るだろ、って事は生きてるな。……仕方無ぇ、探すか。
「―――貴様は馬鹿かッ?!」
「お、やっとお帰りだな」
よし、アルマも直った事だし、隊長を探しに行くか。
確か吹っ飛んだ方向は……崖って程じゃ無ぇが、魔法無しで落ちたらタダじゃ済まねぇっぽいなコレ。マジで隊長大丈夫かね?
「無視するな!おい聞いてるのか馬鹿!」
「あぁ?五月蠅ぇな……何キレてんだお前」
「貴様の所為だろうがァ!」
うっへぇ、アルマってばマジギレ絶好調じゃねぇか。
一端こうなると収まるまで時間掛かるんだよなぁ……仕方無ぇ、殴って止めるか―――楽だし。
「相手は防衛特化のアルマだしなぁ……んじゃまぁ、最初は軽く広域爆撃から――「止めなさい」―――ん?」
―――誰だよ今からが良い所なのに。
そう思って声がした方向に目を向けると―――
「……隊長、お帰りで?」
「―――え、フィリア様?」
……堂々と立つ、捜索者がそこに居た。