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俺と私と”魔法の世界”  作者: ながも~
セアルクニーグ皇国編
24/52

Dive_8 俺と敵と戦力確認

今回初戦闘がきます。

・・・何というか、擬音等の表現が難しいです。

城を出て早1時間程、今は森の中を進んでいる・・・まぁ森といっても幅5メートル程の道が通ってるのだが。

何でもセアルクニーグ中央森林地帯というらしく、広すぎて避けて行くと数週間かかる程らしい・・・元々は動物の住処として作ったらしいのだが、結構魔物も住み着いてるとか何とか。

しかしそれより無言で歩いてるという事が辛い・・・共通する話題とか無いからな。

ふと横を見るとアルマが何か考え事をしてるようだ、コレは話掛けるチャンスか?



「どうしたんだアルマ、難しい顔をして?」


「いえ、メンバーの戦力確認をしないまま出てしまったと今更ながら気付きまして」


「そういや忘れてたな。まぁ各自が最強クラスだからそれ程問題無いんじゃねぇか?」



確かに、俺は2人がどれくらい戦えるのか知らない。

俺自身は・・・特攻して死んだらしいからよく解らないな。



「まぁアレだ、この森には雑魚が居たハズだから出てきたらソイツで戦力確認しようぜ」


「確かにそれ程強い魔物は居ませんでしたね・・・出てきた魔物を1人で倒す、という形でどうでしょう?」


「本気?・・・魔物が出たら倒して通るしか無いとは思うけどさ・・・強敵が出たらどうするんだ?」


「大丈夫、強敵なら2人が倒してくれるって。それに強めの魔物は特定範囲内で活動してて、この道はその範囲から外れてるんだよ」


「なら良いんですけど・・・」



まぁ、管理人格のノイエさんがそう言うならそうなんだろう。

・・・ん?ちょっと待て、2人が倒してくれるって?


「その言い方だと俺が戦う事前提っぽく聞こえるんですが」


「え?そのつもりだったんだけど」


「隊長が一番弱そうだしなぁ」


「フィリア様の実力を確認しておく必要がありますので」



なんてこった・・・俺が1人で戦うのか。現実では別に剣道やってたりした訳じゃないからな・・・どうなることやら。

っつーかアルマまで案採用してるし。パーティ唯一の良心と言っても良いアルマが否定しないんじゃ仕方ないよな。








「おっ・・・さっそくお出ましだぜ隊長」


「・・・解ったよ戦えば良いんだろ?」



道の先には確かに敵が・・・あれはナナフシ?

そして足を大きく広げて道を塞いでいる。

威嚇してるんだろうか・・・角2本が揃ってコッチ向けてるしな。

・・・いや待て、道を塞いでいる?幅5メートルの道を?



「・・・あのナナフシっぽいの、やたらデカイ気がするんですけど」


「アレは”タイボクナナフシ”と言ってね、最大で全長30メートル程にもなる虫だよ。雑食で空腹時は触覚と前足2本を激しく動かす・・・今は止まってるから空腹では無いみたいだね。世界中の森なんかに住んでて、身体を四方に延ばしてもぶつからない場所を見つけると目立つ場所だろうと何だろうとそこで寝るっていう意味不明な習性を持ってるよ」


「長々と説明ありがとうございますノイエさん・・・あの角の長さに加えて太さ、丸太くらいあるんじゃないですか?振り回されたら死ぬ自信があります」


「とは言ってもデカいだけの雑魚だ、行ってこい隊長・・・ちなみにアレは角じゃなくて前足だぜ」


「足とか角とかは良い・・・初戦闘があんなデカい魔物とか無理だろ!」


「ちなみにタイボクナナフシは魔物じゃなくてただデカいだけの虫だよ」


「・・・マジかよ」



あんなデカいのに普通の虫とか。本当にこの世界は無茶苦茶だな!



「・・・今は寝ている様なのでチャンスですね」


「虫って寝るのか・・・で、どうやって倒せば良いんだ?」


「基本的に虫も動物も頭部を破壊するのが基本ですね、虫の場合はその後も暴れますので動かなくなるまで安心はできませんが」



ナナフシの大きさは・・・長さは解らんな。とりあえず頭は地面から3メートル程の位置にある。

剣の長さは1メートル程、身長と会わせても届かない。

いっそ投げるか?・・・外したら洒落にならんから却下。

やはり足を切り落として頭の位置を下げるか?・・・あの足と頭の位置は結構遠いから戻るのに時間掛かるから保留。



「剣で倒す方法が思いつかないんだが・・・」


「そういえば魔法が使えないのでしたか・・・でしたら前足を切り落とすのはどうでしょうか」



前足・・・あの角か。アレを切断とか、ナナフシが痛みで起きて怒り心頭。俺ボコボコのイメージしか出来ないんですけど。

あ、虫には痛覚無いんだっけ?・・・でも切られたら暴れるよねきっと。



「あのナナフシの攻撃手段は前足を振りまわす事による打撃がメインです。中足と後足は身体を支える為に攻撃には使ってきません。なので前足さえ切断してしまえば極端に射程が短くなり、危険性は極端に下がります」


「なるほど、相手の武器を排除して・・・って事か」


「ちなみにアイツの攻撃手段はもう1つ・・・頭突きだ。ハンマーの様に頭を振り下ろしてくる、そこを叩けば良い」


「まぁピンチになったらマグナが魔法でドカーンとやってくれるから、試し切り感覚で行ってくれば良いよ?」



簡単に言ってくれるが、結構難い気がするんだが。

ヤバくなったら助けてくれるつってもなぁ・・・まぁ結局やるしかないのか。



「・・・よし、行ってくる」


「がんばれよ隊長」


「周囲の警戒はお任せ下さい」



・・・戦う決心は付いたが、近くでみると余計に大きいなコイツ。

やっぱやめたってのは・・・無しだな、仕方ない。

腰に固定していた剣を取り出し、大きく振りかぶって―――



「―――まずは角っ!」



振り抜いた剣は抵抗も無くナナフシの太い角を40センチ程残して切断した・・・これ以上深く切り込むのは高すぎて届かないからな。

あまりに抵抗が無いから驚いたが、そういやコレ最強武器だったな・・・だが驚いて固まっている場合では無い・・・



「やっぱ身体切られたら暴れますよねー!」



ナナフシはその太くて長い身体を弓のように反らせながら短くなった角を振り回し始めたからだ・・・頭の位置、地上から5メートル位あるんじゃないか?

っつーか振りまわしてる角の切断面から体液がその辺に飛び散って汚い。両側の木の方にばかり飛んで行ってるから俺は汚れないんだけど。

・・・なんか俺を睨みつけてるような気がする。複眼だからどっち見てるか良く解らないんだが・・・何だ、突然動きが止まっ―――



 ――ッズドン



「隊長、動きが止まったらソレは頭突きの狙いを定めてるって事だ、気をつけろよー」


「もっと早く言え!あと援護ありがとう!」



あーマジびっくりした。ナナフシが消えたと思ったら俺の横に頭、というか胴体が振り下ろされてるんだから・・・

遅い忠告をくれたマグナは指先をさっきまでナナフシの頭があった箇所に向けてたし、きっと頭が落ちはじめた瞬間に魔法で軌道を反らしてくれたんだろう、何か爆発してたし。

・・・あれ?もしかしてその魔法の所為で見えない程の速度で吹っ飛んできたのか?・・・いや考えるのは後だな。



「―――ええっと頭?・・・ってコイツの頭どこまでだ?」



正直ナナフシの頭が何所か解らない。・・・まぁ角より深く切っておけば良いだろ。

後は暴れる事がある身体を警戒しておけば―――



「フィリア様後ろです!!」


「―――え?」



振り向いた先に見えたのは斬り飛ばした頭とそこから延びる短くなった2本の角。その角を振りまわし、滅茶苦茶な軌道で跳ねまわるナナフシヘッド。

その角の1本、最初の切断によって出来た槍のように鋭い断面が俺の腹の辺りに突き刺さって――――



「――ッグゥ・・・あれ?」


「フィリア様?!」



・・・刺さって無かった。まぁ、何かぶつかった様な衝撃は来たけど・・・むしろナナフシが飛んでったな。

ええっと、アレ?どういうこと?断面はすごい尖ってたし、結構勢いよく飛んできたから刺さると思うんだけど。



「おー、倒したな。初勝利おめでとう隊長。まぁ最後の油断はちょっと頂けないがな?」


「え?あー・・・うん、ありがとう?」



え、何でマグナは平然としてるんだ?あのアルマが取り乱してるってのに・・・そういやノイエさんも平然としてるな。



「それで・・・フィリア様。お腹の具合はどうなのでしょうか」


「・・・それ腹下したみたいだな。いや、特に痛みとかは無いけど・・・コレがローツさんの神器効果か?」



確かローツさんからは最強チート防具を貰ってたはずだ・・・それならこの結果も納得できる。

しかしこのダメージの軽減具合はどうなんだ。もしかしたら土石流に巻き込まれても無事かもしれないな。



「まぁダメージは無かったって事だろ?日が暮れる前に野営地点までは行かないとな」


「えっと、まぁ良いか・・・野営?・・・森を抜けるんじゃないのか?」


「このクソ広い森を1日で抜けられる訳無ぇだろ、3日程掛かるぜ」



マグナの言う事が本当ならこれから2回も野宿しなきゃいけないって事か?

キャンプ感覚で結構楽しめそうではあるが、流石に連続は都会っ子な俺にはきつい。



「おいおい、3日って聞いたとたんにコレかよ・・・この先大丈夫か?」


「まぁ今のフィリアは現実社会の生活に慣れきってるからちょっと辛いのかもね」


「フィリア様、今晩は野営ですが明日は途中にある村の宿に泊まるので、それまでの辛抱です」


「・・・なんだ、連続キャンプじゃなかったのか。なら大丈夫・・・かな?」



一晩だけと解った途端に野営が楽しみに思えてくる。

自分の事ではあるが現金なモノだな・・・キャンプって言ったらやはりカレーか?(※注:野営です)



「おーい、何ダラダラ歩いてるんだ。さっさと歩かねぇと本当に日が暮れるぞ?」


「そりゃヤバいな・・・そういやあのナナフシから素材とか採取して売ったりしないのか?」



ゲームで倒した敵からは皮とか体液を採取して商人に売るってのがよくあるからな。

あのナナフシだと・・・体液と皮と、あの幹のような足か?



「・・・ハァ?何だそりゃ。売れるわけ無いだろうがあんなの」


「え、あれ?そうなんだ。皮とか角を素材にして武器とか防具作ったりするのかと」


「・・・フィリア様は虫で作った防具を身に着けたいのですか?」



・・・そう言われるとキモいな。

うわ、想像しただけで鳥肌が酷い・・・って良く見たらアルマも嫌そうな顔して―――マグナもか。



「そもそも虫で防具とか作ってどうするんだよ」


「・・・そりゃぁ、何か特殊な効果があったりとか?」


「普通に鉄で作った方が強度あるし、魔法効果付与すりゃ良いだろ・・・っていうか虫で作った装備にそんな効果があるなんて聞いたこと無いぞ」


「あぁ俺が悪かった。この話は無かった事にしてくれ・・・」



そうだよな、あのナナフシはただの巨大な虫だから素材になる訳がない・・・まぁ何かの実験とかに使うなら解らないけど。

とりあえず今はこの道を進む事だけを考えようか。どうせまた敵が出てきて進行が遅くなるだろうし。

・・・そしたら野営回数が増えたりするのか?

それだけは勘弁だ!・・・できるだけ早く歩くか。

~ 今回登場した敵 ~

『タイボクナナフシ』

無駄に大きい。成長すると全長30メートルを超える。

その長い身体を支える為に胴体や足は太く硬くなり、ナナフシの様に枝に擬態するのではなく、倒れた大木に擬態している・・・らしい。

そもそも人が近づいても襲ってくる事は無く、触っても反応しない超絶非アクティブな生命体。

ただし身体を傷つけられると流石に怒るらしく、角にも見える前足2本を振りまわし周囲を薙ぎ払う。その巨体を生かしたプレス攻撃(通称:大木倒し)も強力。


今回フィリアさんは前足を角と誤認していた為に前足ごと頭を切り離してしまった。コイツをを昆虫だと知らない人は4本足と長い角に間違える事も無くは無い・・・が、大抵の人は無視して戦わないか一撃で頭を消し飛ばす為に事故ったりしない。

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