Dive_7 俺と仲間と出立の挨拶
Dive_5でPV5,000だったのに・・・
気付いたらPV11,000突破、ユニークは2,200突破してました!
ありがとうございます!
「本当に君達はあっさり打ち解けたねぇ・・・」
「そうだなぁ・・・まぁ良い事なんだから良いじゃないですか」
「私は元よりフィリア様に仕える身ですので」
「他人の気がしねぇってヤツだな。1人は若干違うが、俺達3人はあの白神様に動かされてるんだ。同一人物みたいな物だ」
「・・・そう言われると純粋にNPCじゃない俺だけ仲間外れにされた気分だな」
「ククク・・・拗ねるなよ隊長」
マグナが笑いながら謝罪して・・・って元から謝る必要も無いんだが。
しかしまぁ、アレだ
「・・・隊長って何だ?」
「ん?あぁ、我等がパーティのリーダーはフィリア・・・様だろう?だから”隊長”だ」
呼び捨てにしようとしてマグナがアルマに睨まれる。俺は別に良いんだが・・・
というか俺がパーティリーダーだったのか・・・
「するとアレかな、パーティ名とか決めた方が良いのか?」
「パーティ名か、そりゃ良いな」
「城を出る名目で特殊部隊という形で設立すれば説明も楽になりますね・・・お見事です」
「・・・いやそこまで考えて言った訳じゃないんだが。まぁ良いや、既存の部隊はどんな名前なんだ?」
「あー、城の部隊名はつまらん名前ばかりだぞ?『第一防衛部隊』とか、『第一突撃師団』とかな」
本当に普通すぎる名前だな、まぁ解りやすいっちゃ解りやすいんだが。
やっぱ付けるならもっとカッコイイ名前が良いよなぁ・・・
「その形式だと『第零特別旅団』とか『魔王討伐部隊』になるんだろか?」
「いえ、むしろ特異性を際立たせる為に他部隊とは全く違う形式の名前の方が良いかもしれません」
「おっ、偶には良い事言うじゃねぇかアルマ!っつー訳でもっとイカした名前考えようぜ隊長ー」
「・・・カッコイイ名前かぁ」
マグナなら兎も角、まさかアルマからそんな言葉を聞けるとは思わなかった。
でもまぁマグナがそれ程驚いてないみたいだし、結構ある事なのかもしれんな。
「はいはいはい!『審判の代行者』(チーム・ジャッジメント)が良いと思う!」
「その名前は無いわ」
「空気にもなれんか貴様」
「どん引きです」
「ゲェー、私の扱いの酷さが全員に伝染してるー!」
ノイエさんが唐突に案を出して即却下されてる・・・っていうかそういや居たな
ちなみに発言はマグナ、俺、アルマの順番だ。
「しかしまぁ、方向性としては悪く無いかもしれねぇな」
「言われてみればそんな気もするな・・・何かキーワード2つを繋ぐって感じか?」
「なるほど、では部隊イメージに合ったキーワードを考えてみましょう」
部隊に合ったキーワードか・・・部隊の目的は魔王討伐か?
戦闘を目的としてるような感じか・・・
「フィリア様をリーダーとするならば、『姫』という言葉は必須だと思うのですが」
「なるほど・・・一理あるな。じゃぁ『姫のナントカ』って感じの名前か?」
「俺がリーダーなのはやっぱ決定なのか・・・そうだな、剣ってのはどうだ?戦いに行くって感じがしないか?」
「流石ですフィリア様、自らの称号を冠し、同時に旅の目的を表すキーワードを考えるとは・・・感服致しました」
「・・・いやそこまで考えて無いんだけど。まぁ良いか」
「すると『姫の剣』か?それとも『剣姫のナントカ』・・・まだちょっと名前が寂しくねぇか?」
「はいはいはい!『姫護の剣』が良いと思います!!!」
「うわっ・・・ノイエさん唐突に復活するの止めてくださいよ・・・」
「確かに、黒菜様の発作には驚かされますね」
「あぁ、流石の俺もビビったぜ・・・だがまぁ『姫護の剣』か、中々良い名前なんじゃ無ぇか?」
「そうだな」
「ですね」
「採用してくれたのは嬉しいけど・・・本当に君達は私の扱いが酷いね」
どうやら部隊名は『姫護の剣』で決定のようだな。
・・・ノイエさんが沈んでるのはいつもの事なので気にしない。
「まぁ部隊名も決まったしな・・・そろそろ行くか?」
「そうですね・・・全員準備は出来てますか?」
「ココに来た時から準備完了だぜ?」
「私も問題無いね」
「全員準備万端なようだな・・・特殊部隊『姫護の剣』、出動だ!」
「ハッ」「うい」「了解ー」
・・・・締まらないな
謁見の間から歩く事数分、城から出て今は王都の中央街道を進んでる。
進んでるのは良いんだが・・・
「――両側の民衆の壁は何?」
道の左右に見えるのは此方を見ている人、人、人。
・・・何だこれパッと見でも1000人は居る気がする。
聖火リレーの応援かよ、と思った俺は可笑しく無いはずだ。
「結構集まったねぇ・・・見送り」
「見送りって一体どういう事ですか?」
「んー?・・・あぁ、君達は一応部隊として行く訳でしょ?それに一国の姫がいつの間にか居なくなってたら困るでしょ」
確かに幾ら死なないって言っても勝手に出て行ったら困るよな。
っていうか本当に人多すぎ。住民総出なんじゃないかコレ・・・
「それじゃ、始めますかね」
「・・・え?」
民衆の壁で出来た道の奥、外へと続く扉の前でノイエさんが振り返る。
続いてアルマとマグナも振り返ったので慌てて俺も振り返り・・・それと同時に2人の雰囲気が突然変わる。
馬鹿な・・・マグナが真面目な顔をしている・・・だと?!
「我らはセアルクニーグ皇国特務部隊『姫護の剣』である!」
「先日、我らが剣姫フィリアレーギス様の許に精霊の使者が現れた」
・・・え、精霊?・・・何その新設定聞いてないんですけど。
っていうか本当にマグナが真面目な顔して喋ってる。あのマグナが・・・
「その使者によると、かつてフィリアレーギス様が倒した邪悪な魔王の封印が弱まっているとの事だ」
(ざわ・・・ざわ・・・)
あぁそうだよね、突然魔王復活とか言われたら困るよね。
・・・何でパニックに成らないんだこの民衆・・・もっと叫んだりとかするだろ普通。
「しかし精霊の使者は先の内容を伝えた後、フィリアレーギス様の精神と混ざってしまったのだ!」
(ざわ・・ざわ・・・ざわ・・・)
うわ、何かさっきよりざわざわしてるんだけど。
・・・民衆にとっては魔王復活より俺の身の方が重要なのか?
あぁ、俺じゃなくて元のフィリアを心配してるのか。
「フィリアレーギス様と精霊の使者の精神が混ざってしまった原因は先程に話した魔王にある!」
「元来ならば、フィリアレーギス様の力を義勇兵にお貸し頂き、魔王討伐隊を結成する処なのだが・・・」
元のイベントはそういう内容だったのか?
まぁ俺が混ざった所為でその力を貸すってのも無理だろうしな。
「心お優しいフィリアレーギス様は自身に宿る精霊をも救うべく、自ら魔王討伐へ向かうとの事である!」
「そして我ら『姫護の剣』はその名の通り、フィリアレーギス様の剣となって共に魔王討伐へ向かう」
なるほど、そういう理由でなら確かにアリかもしれない・・・アリなのか?
まぁノリとか勢いとかだろうし、民衆も文句無いみたいだから良いんだけどさ。
「かつてフィリアレーギス様に倒された魔王はその力の大半を失い、さらに封印によって能力を減衰されている」
「武神クロナ様の加護もあるフィリアレーギス様と我ら『姫護の剣』の勝利は確実である!」
(ざわざわ・・・ざわ・・・)
まぁ確かに一撃必殺だしね、まともに一撃当てれば防御無視だからなぁ・・・
っていうか武神クロナ様って誰だ・・・ノイエさんの事か?
「そこで、諸君にはフィリアレーギス様が留守にしている間この国を守って欲しい!」
「我らも誰一人欠ける事無く魔王を討伐して帰ってくると此処に誓おう」
「諸君も病気や怪我をする事無く、フィリアレーギス様の御帰還を待っていてくれ!」
まさかの魔王雑魚宣言か。まぁこっちはチートだし・・・仕方ないね。
しかし「ちゃんと帰ってくるから怪我とかするな」って何か親みたいだな。
・・・指導者だし、似たようなモンか。
「最後にフィリアレーギス様からの御言葉を以て出立する!」
「・・・なっ?ぇ、うぁあ!」
え、何、マジで聞いてないんですけど。
皆こっち見てるし、やっべさっきまで意識して無かったから大丈夫だったけどもう無理マジ無理。バい超緊張してきた。
っつーかノイエさん俺の背中押しやがった・・・後で殴る・・・
「(さぁフィリア様、皆にお言葉をどうぞ)」
「(そんなん聞いてないぞ!?何言えってんだ!)」
「(ククク・・・適当で良いんだよ、向こうが勝手に良い様に解釈してくれるさ)」
そんな適当で良いのか?仮にも締めの言葉だぞ。
ほら、学校で言うなら始業式の校長の言葉のような・・・何でも良い気がしてきた。
まぁ良いや、なるようになるさ・・・緊張はするけどな!
「あー、えっと。フィリアレーギス・G・セアルクニーグです・・・?」
やべぇってマジ皆こっち見てるって。っていうか普通に名前コレで良いのか?
仮にも精霊の使者・・・という設定だろ?それとも精霊には個人名前が無いのか?
「えー・・・あー・・・その、本日はお日柄も良く・・・間違えた。えっと、その・・・いっ、行ってきます!」
・・・「行ってきます」って何だよ・・・
・・・こりゃ人生終了のお知らせか?
『オオオオー!』『行ってらっしゃいませー!』
『御帰還の際にはお祭り開催しましょうねー!』
『普段のフィリア様も良いけどさっきのフィリア様も素敵ー!』
『フィリア様に一生付いていきますー!!』『困惑フィリア様萌えー!』
『あと100年は戦えるぜー!』『その程度か?200年だね!』
『馬鹿な、寿命の限界を超えただとォ?!』
―っなんだ?!何がどうなってる?!
っつーかさっきから聞こえる発言が怪しいぞ?!変態の国かここは!
とりあえず手を振りながら退散しよう。映画とかで良くある『船の看板から港に手を振ってる人』のイメージで大きく右手を振れば何か良い感じな気がする。
「言った通りだったろ?良い様に解釈してくれるって」
「その通りです・・・まぁ若干民衆の頭が飛んでしまった様ですが」
若干?アレが若干なのか・・・?!
この先で俺が会う事は無いと思うから別に良いんだけどさ。
「そろそろ声も聞こえなくなったねー」
「いつの間にやら城が遠いな・・・」
「これで堅苦しい事とはオサラバだな」
「私達にとってはここからが本番ですけどね」
・・・なんとか民衆が見えない距離にまで逃げ切れた。
いやだってアレはヤバいだろ・・・流石に怖すぎる。
なんだかこの身体になってから旅に出るまで随分と時間が掛かった気がするが・・・ま、気にしても仕方が無い。
「さぁ、特務部隊『姫護の剣』出撃だ!「ハッ」「ういよ」「お~」・・・・」
・・・こいつら、態と不揃いに返答してるんじゃないだろうか?