Dive_3 私と剣と魔法
何気なくアクセス数を見たらPV3,333でした。ありがとうございます!
・・・キリが良い数字が見れると嬉しくなりますよね?
「と、言う訳で・・・コレが私の神器、審判の黒剣だよ。壊れないけど大切に使ってね?」
渡されたのは片刃の直剣、柄は20センチ位、刃渡りは1メートル位?
全体的に黒くて・・・うん。なんというか目の前のノイエさんみたいな色合いですね。
細く赤いラインが走ってるのが何かカッコイイです。
「コレが・・・最強武器・・・・!!!」
「んー?・・・まぁ確かに最強かなぁ?一応必殺武器ではあるしね」
――ーコレが。この剣さえあれば・・・・!
「勝てる!魔王に勝てるデスヨ!!フゥハハハハー待ってろ魔王!スパッと斬ってやるぁー!!!」
「ちょっ?!話の途中―――」
こんな所で突っ立ってる場合じゃありませんよコレは!
私は早く魔法世界生活を存分に楽しみたいのデス!
魔王はスパッとヤッテヤルデス!
―――謁見の間を飛びだし、廊下を真直ぐ突っ走り
「あれ、異常は修正され・・・って進行形 ?!」
「誰だ場内を走るのは!―――ってフィリア様・・・早ぁ?!」
―――城外へ飛び出し、中央街道を突っ走り
「あ、姫さまだー!すごいなー姫さまは足も速いんだ!」
「ちょ、姫様?!これより先は魔物が居るんですよ?!って早っ!」
―――ただ一直線に走り続けて平原を突き進む
・・・そんな”俺”の前に唐突に大きな狼が壁のように立ちはだかる
「邪魔する邪魔者は叩き斬る!ハハハハハハー!」
そして剣を大きく振りかぶり―――
「・・・ハッ!ここは・・・一体?」
「あぁ、やっと起きた・・・全く。いきなり飛び出すから吃驚したよ」
気が付くと目の前にはノイエさんが。
ココは・・・教会?・・・あ、もしかして最初の部屋?
「中々に混乱してるみたいだね・・・説明しようか?」
「あ・・・はいィ?!・・・オネガイシマス」
・・・笑顔で話すノイエさんが怖いデス
ノイエさん曰く、あの大きな狼は『グレートウルフ』とか呼ばれる大型の魔物で高い攻撃力と耐久力を持つ魔物なんだそうで・・・
射程範囲に入った敵は容赦なく強靭な腕と爪で一撃必殺されてしまうそうです。
―――まぁつまり、そんな化け物相手に目の前から突っ込んでしまったワケで私は当然一撃必殺の餌食に・・・
「ってそんなのどうやって倒せば良いんですか!攻撃する前に死んでしまいますよ!」
「・・・最近の流行は魔法での長距離代火力攻撃なんだよねぇ・・・」
―――近づかれる前に遠距離から狼をドーン、パタリ。狼は倒れた。
・・・うわぁ何かズルいような・・・まぁそれが魔法使いの専売特許ですか。
「つまり近接戦闘者の天敵、という事ですか。・・・じゃぁ私も魔法を使えば倒せるんですかね?」
「それを説明しようと思ってたんだよ・・・それで、魔法について何所まで知ってる?」
―――魔法についてですか、私の知っている範囲では・・・
「確かプレイヤーは魔法媒体と呼ばれるアイテム魔力を捧げて魔法を行使するんですよね?
そして込めた魔力分だけ実行可能な容量が増えて、演出やらの後に残った魔力量が威力に影響する・・・で合ってます?」
「うん、大体そんな感じ、それはプレイヤー専用の魔法で皆は『想像魔法』って呼んでるね。
・・・で、それとは別にNPC専用の魔法体系で『精神魔法』って言うのがあるんだ。
こっちは魔鉱石を必要としないで、直接魔力を練り上げて現象を起こすんだ。
・・・まぁ、自分で全部やるから想像魔法より規模は小さくなるんだけどね?」
魔法の行使方法って2種類あったんですか。・・・勉強になりますね。
・・・でも、それが一体何の関係が?
「そこで、試しに体内の魔力を感じてみて・・・感覚は皆違うけど・・・温かくなるような感じかな?・・・フィリアの魔力量は大きく設定されてるから、結構簡単に解ると思うんだ」
「そうなんですか?じゃあ試してみますね・・・っふ!」
―――体内に魔力があるイメージをして・・・
・・・無反応
「・・・駄目か?・・・じゃあ今度は・・・ッハァ!」
―――全身の神経に張り巡らせるように魔力を・・・・
・・・・・・無反応
「こうでも無いか・・・次は・・・・」
―――大気に含まれるマナを集束させるように心臓の辺りに・・・!!
・・・・・・・・・無反応
「うーん・・・だったら・・・・」
―――身体を抱きしめるようにして・・・・
・・・・・・・・・・・・・無反応
「これなら!」
・・・・・・・・・・・・・・・・無反応
「そいやー!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無反応
「今必殺の・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無反応
「で、どうだった?」
「・・・色々試してみましたが無理でした。感覚的に理解って無理ですよ?気合にも程があります・・・」
結局1時間程試してみましたが、全く解らず・・・
もしかして私は魔法が使えな―「まぁ多分そうなるとは思ってたんだけどね」・・・・・・・・・
「っちょ、それどういう事ですか!最初から私が魔法使えないって解ってたんですか?!」
「いや、使えないとまでは言ってないよ・・・次はこの杖を持って。杖の先端を意識しながら”着火”って言ってみて」
渡されたのは30センチ程の薄らと青い・・・棒。
・・・魔法媒体かな?杖っぽく無いですが。
とりあえず棒を握りしめて・・・棒の先端を意識して―――
「”着火”!」
・・・・・・・・・・・無反応
「やっぱこっちも無理か」
「なんで・・・なんで使えないんですか!この世界は誰でも魔法が使えるハズです!それなのになんで!!」
この”Enchanted World”では戦闘に関しては職業が無く、剣士・狩人・斥候、さらには機械技師でさえ魔法が使える。
だからこそ、この世界では魔法を堂々と使えるんですが・・・
「うーん・・・それなんだけど、キミの現状が原因だと思うんだよね」
・・・・現状?
・・・・それは一体?
「まさか忘れて無いよね?今の君はNPCの身体。でも中身は限りなくプレイヤーでしょ?」
「・・・あまり気にしてませんでしたが、覚えてます・・・」
「NPCは自意識の無い頃から、生まれてからずっと体内に魔力を持っててね、子供が言葉を覚えるような感じで魔力を理解するんだ。
でも、プレイヤーはそんな経験は無いし、自意識もハッキリしている。つまり、感覚的に魔力を理解できないんだよ」
―――NPCの様に魔力を理解できない。
「・・・つまり、精神魔法をプレイヤー(私)は使う事が出来ない?」
「そう、理解できないから使えない・・・そしてNPCは想像魔法を使えないように制限が掛かってる。
想像魔法は1つのサーバ処理してるから、プレイヤーより何十倍も多く居るNPCまで使うと負担が大きいからね」
―――NPCには制限が掛かっている。
「つまり私はNPC扱いだから。その所為で精神魔法しか使用許可が無くて、その精神魔法も魔力が理解できないから無理って事ですか・・・」
「そうなるね・・・でも、魔法を使う方法が無い訳じゃない」
「・・・なんとかして魔力を理解しろ・・・という事ですか?」
「いや・・・青葉ならなんとか出来ると思う」
・・・アオバ?
「その、青葉・・・さん?とは一体・・・?」
「・・・青葉は想像魔法処理の管理人だよ。想像魔法は全て彼女が世界に上書きする事で発生する」
確かに、担当者ならなんとかできそうな気がする。
会えるなら会いたいけど―――
「・・・その青葉さんの所に辿り着く前にまた死んでしまうんじゃ・・・」
「まぁ、そうだろうね。青葉はこの大陸の北端にある施設に居るし・・・歩いて10日くらいかな」
「それって殆ど無理じゃないですか!途中でまたあの狼が居たら・・・・!」
・・・あまりの詰み具合に流石に絶望する。
魔法が使えず、使う為には10日間も死に晒されるというのは耐えられない。
「・・・だから、辿り着くまで生き残れないから。その準備に城の地下神殿に行こう」
「地下・・・神殿・・・?」
―――城の地下神殿
城というのは今居る場所のコトでしょうか?
地下というのは地面より下のコト。
神殿・・・はカミサマを奉る場所のコト。
つまり、城の地下にはカミサマが居る?
・・・・・・何その新設定。次から次へと出てきますね
「そう、地下神殿・・・そこに行けば、大陸を旅する程度は問題無くなるハズだよ」
・・・何かまたチートの予感がしてきました。
これは・・・えっと。とりあえず喜んで良いんですかね?