Dive_1_Re-Write 俺とEWと黒い少女
再構築その2。
タイトルが若干変わってますが、Real_0_Rと同じように、内容は同じです。
……いや、Real_0は原型留めてませんでしたね。
若干物語の進行過程に変化がありますが、基本的に結果が変わって無いハズです。
修正したら余計頭悪い文章になった気もしますが……まぁ、気にしたら負けですかね?
気にしたら負けと言いつつ、その内再編集すると思います。
[World-000データ起動開始.....]―――――――
[character_01身体データ読込.....Compleat]――
――[接続開始]
[character_01精神デ[意識接続]...!Error]―――
[character_02身体デ[身体構築]...!Error]―――
――[接続完了]
[character_02精神データ読込.....Compleat]――
――[Welcome to "Enchanted Worlld"]
[エラー2件検知、異常動作0件]
[セーフモードで"Enchanted World"を起動します]
[起動後にエラー箇所のチェックを行ってください]
◆ ◆ ◆
ログイン時の一瞬の浮遊感が終わり、突然身体が重力に引かれる事でバランスを崩す……が、なんとかセーフ。
とりあえず辺りを見回してみると、そこは『教会』や『神殿』といった雰囲気の部屋で……中世を感じさせる石造りの壁、3メートル近い天井まで届く巨大なステンドグラス、そして正面には『進め』と語りかけるような真直ぐ延びる真っ赤な絨毯と、その先にある扉だけがあった。
「……ここが”魔法の世界”か」
―――ずっと待ち続けてたんだから、思わず口から出てしまっても仕方無いだろ?
などと言い訳を心の中で呟きつつ、指先まで自由に動く『身体』を確認し、小さな呟きすら響く部屋―――正確には、響くという現象に感動する。
動けば慣性が働き、跳ねれば重力の力で地面へと吸われるという感覚。
そうして、現実とほぼ変わる事無い"自身を取り巻く空間"を改めて実感する。
……若干現実より相当高く跳べた気もするが、仮にもゲーム。それは仕方ないだろう。
(……本当に、現実世界と殆ど変わらないんだなぁ)
いい加減に進めよお前、と思われそうな程に部屋をうろつき回り、十二分に堪能し冷静になった彼女は次の刺激を求めて絨毯の先にある扉を目指す。
……冷静になったとは云え、興奮は収まっていない為に小走り、というか全力疾走で扉まで近づいたのだが。
突進するかのような勢いのまま扉を押し開け、一切の音を出さずに開いた扉に思わず「良い仕事してますね!」などと蝶番へ声を掛けつつ、最初のホールと同じように部屋を見回す。
扉を抜けた先の部屋は先ほどの部屋とは比べ物にならない程に広い……体育館くらい?の大ホールが存在した。
部屋の中央には眼の前を横切るように、幅5メートル程もある赤い絨毯で作られた道があり、その一端は先程通った扉よりも一回りも二回りも大きな扉へと続き、もう一端は少し高く作られた台座へと続いていた。
一言で表すなら、『謁見の間』というのが正しいだろうか。
……まあ実際の所、謁見の間だからソレっぽいのは当たり前なのだが。
ホールの大きな扉を抜けるとお城であった……有名な一節を改変したモノを呟きつつ、大部屋こと謁見の間を調べる。
仮にもココはオンラインゲームの世界。初ログイン時にはチュートリアル的な役割を持つ場所から開始するハズ……公式サイトにもそう書いてあったし。
そうして簡単に部屋を調べ回る事およそ4分。看板や手紙などは特に見当たらず、かと言って王座と思われる場所に勝手に登るのは怒られるかもしれないので却下。外に繋がっている可能性が高い大きな扉は鍵が掛かっていて開かない。
その鍵を探してみるも部屋の何所にも見当たらず……もちろん王座は探していないのだが。
かれこれ10分程も動きまわったが謁見の間で出来る事が見当たらず……扉の鍵が前の部屋にある可能性に気付いた。
EWを始める前にネタバレを見てしまう事を避け、殆どと言って良い程に情報を集めて無かった事を若干悔やみつつ、最初の部屋へ戻る扉へ手を伸ばそうとした時……唐突に触れる前に扉が開いた。
「うわぁっ?!」
「あぁ、ここに居たのかぁ」
扉が開く―――それも手前に向かって開いた為に余計に驚き……手を伸ばしていたら凄い痛かっただろうなーと思いつつも声の主を確認し―――そこには黒い少女が居た。
その少女は髪も服も真っ黒であり、正直『黒い少女』としか説明仕様が無いのも仕方ない格好だった。
……とりあえず相手の格好は無視し、チュートリアル要員か他プレイヤーだろうと当りを付けて話しかけてみる事にする。
どちらにせよ、全く情報を持っていない状態である為、どんな情報であれ欲しいが故に。
「えっと……すみません、ココからはどうやって進めば良いんでしょうか?」
「進む?……何所へ行く気なのフィリアは。待機命令出てるハズなんだけど」
待機命令と言われても、ここまで誰にも会っていない上、手紙や看板も無い為に何も伝達されて居ない。
それ以前に、自分の名前はフィリアでは無い……何か若干の違和感を覚えつつもその事を伝えてみるも
「……フィリアレーギスが貴女の名前でしょう」
―――という返事が返って来ただけであった。
名前を呼ばれた(?)彼女は、言われてみればそうだっけ??……といった具合に、自分で自分が解らないという事に多少混乱し始めていた。
……とりあえず考えても仕方ないよね、という結論に到り混乱が抜けてきた頃、黒い少女は『エラー』だの『フィリアの精神構成データ』などと呟いていた。
その呟きを混乱が抜け、落ち着いてきた彼女は、自身がNPCと勘違いされているという可能性に思い至る。
相手がバグったNPCだと思っているのなら会話が通じないのも納得できるし、つまりこの勘違いさえ解けば話が出来るんじゃね?……そう確信した彼女は未だ呟き続ける少女へ話しかける。
「……俺はプレイヤーですけど」
「……え?……キミはイベント用NPC『フィリアレーギス・G・セアルクニーグ』でしょう?」
「でもログインする前の記憶もありますよ?……確か風呂に入って、トイレに行って……?」
ここに来て彼女――彼は重大な事実に気付く。
今まで気にもならなかったが、現実での自分と現在の身体の性別が異なる事に。
トイレでは立ったまま用を足していたにも関わらず、現在の格好は簡素な純白のドレス。どう考えても女性用の格好だった。
……いや女装という可能性もあり得―――ないない。それは嫌過ぎる。
というより自分が女性であるという事に何の違和感も抱かない……つまり、女性体を自然に受け入れていた。
むしろ「お前は男です」と言われる方が違和感があるんですけど。
「……どうしたの?」
「いや、記憶が確かなら……ログイン前は男だったハズなんだけど」
「「…………なにこれ(それ)こわい」」