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短編集

都会も田舎も大嫌いである

作者: 逢坂巡

寂しい。とにかく寂しい。孤独だ。

旦那さんはいる。

だが、友達がいないのだ。


ここはあまりにも田舎すぎる。

相性がよくない人とでも無理して付き合わなければならない。

そうでなければ、つながりが維持できずに孤独に陥る。

次が無いのだ。代わりがいない。

そんな狭い世界で生きている。


牢獄のような、閉じ込められて息苦しくなっている水槽の中のような。

⋯息継ぎができない。溺れてしまう。息を吸わねば。


浮かび上がると、やはり誰もいなかった

しーーんとしていて、辺りは暗い。

街灯が少ないから夜は田舎のほうが犯罪が起きやすいのではないか。

なんてことも考えてしまう。


ここはこんなにも寒かったか。

雪が降っていて静かである。

なにもない。

誰ともすれ違わない。

道端に立っている木は枝がすべて切り取られ、電柱を守るために犠牲になっていた。

これが、私だ。


寒くてココアが飲みたくなる。

熱々にして両手を添えたい。

少しは心も温まるだろうか。


暗い道を歩いていると車に轢かれそうになる。

たった10センチ離れたところに車がいた。

あと少しで接触しそうなところに、手を伸ばせば簡単に触れられるところにいた。

運転手は何も見ていなかったんだろう。

私は大きくため息をついてしまった。

手に持っていたスマホのライトは何の役にも立たなかったのだろうか。


田舎は人が少ない。

だからこそ助け合う。

それは素晴らしいことだ。

ただ噂話が好きなことだけが残念だ。

暇なのだろう。それ以外にすることがないのだろう。

本当に人生の楽しみがそんなものでいいのか、と言いたくなる。


では、都会はどうだろう。

余裕のない人が多いように思う。

歩くスピードは早い。

誰かが倒れていても、話しかける人は少ない。

人が人を見捨てるのだ。

なぜ、そんなことができる?

自分には関係ないと、どうして切り捨てられる?

あれだけ人がいても、そんなんじゃ助からないではないか。


人が多いのにそれでも孤独になる。

人と人とのつながりが希薄だ。

都会なのに?人があれだけいるのに?

なぜ、つながろうとしないのだろう。

どうしてマウントを取るのだろう。

それだけにしか価値を見いだせないのか?

それは虚しくないのか。

そんなものが正しいと勘違いしているのだろうか。

⋯情けない。


田舎も都会も嫌いだ。

まったくもって理解できない。


だから、私は田舎の安らぎと都会の喧騒の中でお茶を飲みながら、自分の世界を作っていく。

どちらにもやっぱり幸せはあるのだ。


田舎も都会も行き来したらいい。

そんなに悪いものでもない。

もう一人の私が笑いながらそう言った。


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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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