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灰色探偵ユウマの放課後事件録  作者: たくわん。
第3事件 消えた主役と舞台裏の影

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7/78

第1話 開幕、消えた主役



 文化祭の朝――。

 講堂のステージは、いつになく緊張感に包まれていた。


 灰色探偵・ユウマは、放送部の臨時スタッフとして舞台袖の機材席にいた。

 マイクの音量、照明の切り替え、配信カメラのチェック。

 どれも生放送ゆえの張り詰めた空気。


「なあユウマ、本当にこれ放送して大丈夫か?」

 隣のミナトがイヤホンを耳に引っ掛けながら囁いた。


「何が?」


「主演のレイカ。最近“あの噂”で荒れてるだろ? 

 昨日もSNSで『本番中に全部暴露する』って書いてたらしい」


 ユウマは無言でステージを見つめた。

 客席のざわめき、照明のまぶしさ。

 その中央に立つ少女――七瀬レイカは、確かに何かを決意した目をしていた。



 午後一時、開演。

 演目『白銀の約束』。

 幻想的な雪の舞台を模した幕が上がると、客席が静まり返った。


 レイカは白いドレスをまとい、ゆっくりとセリフを紡いでいく。

 その声には確かな力があった。

 観客の誰もが、彼女の存在に引き込まれていく――その瞬間。


 ――パチン。


 照明が一瞬、落ちた。


 わずか二秒の暗闇。

 すぐに光が戻る。


 だが――舞台中央に立っていたはずのレイカの姿は消えていた。



 客席がざわめく。

 だが観客たちは演出だと思って拍手を送った。


 舞台袖ではスタッフが混乱していた。

「え? え? 立ち位置変えたのか!?」

「照明、戻して!」


 ユウマがすぐにマイクを切り、舞台裏へ走った。


「……いない」

 舞台下も、袖の裏も、控室も――空。


 ミナトが息を切らして駆け寄る。

「なあ、まさか“本当に消えた”のか?」


 ユウマは静かに、舞台の床を見つめた。

 そこには、小さな水滴がいくつも落ちていた。


「消えたんじゃない」

 彼は低く呟く。

「――“溶けた”んだよ」



次回 第2話「舞台裏の残響」

――光の消えた瞬間、誰が“主役”を奪ったのか?


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