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第14事件 音楽室の消えた楽譜 第1話 消えた楽譜



放課後の音楽室は、ピアノの残響と夕焼けに包まれていた。

その中で、音羽カレンの声が震えていた。


「……楽譜が、ないの」


机の上には譜面台と鉛筆、そして置きっぱなしのメトロノーム。

けれど肝心のコンクール用の楽譜が消えていた。


「部屋には誰も入ってないはずだよ?」

黒瀬リオが眉を寄せる。

「だって、鍵はカレンが持ってたし」


ユウマは静かに音楽室を見回した。

鍵も窓も閉まっている。誰も侵入していない。

それなのに楽譜だけが消えている。


「音羽さん、いつまでこの部屋にいた?」

「15分前まで。少し外の自販機に行ってたの。その間、リオは隣の部室にいた」


ミナトが首をかしげる。

「じゃあ誰もここにいない時間は、ほんの数分か……それで盗まれた?」


ユウマは黙ってピアノの鍵盤を軽く押した。

“ポーン”と音が鳴る。だが、ある一つの音だけ――微かにビリッと震えた。


「……この音、違う」


ミナトが怪訝そうに首を傾げる。

「え、今の音? 普通じゃないの?」


ユウマの瞳が細められた。

「違う。中に、何かがある」


夕陽の光がピアノの内部を照らす。

その奥、譜面台の裏の金具に、微かな“銀色の反射”が見えた。


ユウマの目が鋭く光った。

「楽譜は、まだここにある――」


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