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-08-

 

 無人機は無事に戻って来た。

 着陸する時、俺が走りながらキャッチしたんだけどね。


 ミサイルを補充したら再び飛ばして、上空で旋回させながら24時間待機させるのも良いね。


 問題は、そのミサイルの素材が少ないと言う事だ。“電化製品教”で集めてた素材を使い切ったら終了だ。

 銃の弾なら鉄製品さえあれば、なんとか製造する事が出来る。だが、その鉄ですら在庫は有限なのだ。

 エルフたちに製鉄の技術は無い。人間は製鉄の技術を持っているが、エルフや俺が買いに行く事なんて出来ない。


 つまり・・・

 ミサイルを撃ちまくるには、廃墟を漁って電化製品を探す旅が必要。

 銃を撃ち続けるには、人間が滅んでは困る。

 と、いう事だ。


 現状で補給可能な方法は、金属鎧の兵士を狙ってパクパクするしか無い。


 結構な無理ゲー。ハードモード過ぎるでしょ。



 考えていても状況は変わらない。出来る事からコツコツとしていこう。

 まずは1発目のミサイルを撃った場所に行って、素材集めをしよう。

 結構な数の兵士がいたので、金属も生体素材も集め放題だと思う。


 とは言っても空から見ただけなので、方角と距離しかわからない。

 森の中を迷わずに歩くには、道案内が必要だ。



 という事で、困った時の眷属召喚だね。


「マキよ。訪ねたい事がある」


「はい!何でございましょう!鉄人様」


「この近くに人間の砦があろう。そこまで案内せよ」


「もちろん存じ上げております!皆殺しですね!!」


「あ、いや。それは既に終わっておる」


「流石は鉄人様でございます!」



 砦までの移動は思いの外、時間がかかった。無人機の上空からの映像だけでは、森の中の地形まではわからないのだ。道案内がいて良かった。


 俺たちは砦にある資材を片っ端から漁った。


 この砦で、俺は初めて現在の人間の文化を体験した。

 中世レベルだと思っていたが、俺の知ってる中世とは全く違う。


 貴族の肖像画は、どうして生首を踏んずけているんだ?

 ランプの傘が、人の皮膚製ってどうなってるんだ?

 女性エルフの上半身の剥製って、どうなってんだ!


 この文化は一度滅んだ方が良い気がする。

 いや、滅ぶのを待っててもダメだ。俺が滅ぼそう。



 俺たちは砦の外と中の死体や、金属製品をスクラップとして回収した。結果ガトリングガンの弾を2000発、サブマシンガンの弾は3000発補充で来た。

 まだ素材は同じくらいの量の弾を製造出来るだけの余裕はあるが、他に製造したい物が出た時の為に残しておく。


 補充も終わり意気揚々と砦から出ようとしたら、俺たちは取り囲まれていた。

 敵は、ざっと100人。全員人間だ。

 装備も年齢もバラバラ。たぶん冒険者ってヤツだろう。


 でも、ちょっと到着が早くないか。

 砦を攻撃してから、まだ数時間だ。往復どころか片道でもギリギリの時間じゃないかな。

 砦が陥落する前から出発の準備が出来てた、って事かな。


「ぶっ殺せえぇぇぇぇ!」

「勇者を殺した悪党だぁぁぁ!!」


 掛声に合わせて20人の冒険者が前に出て、包囲網を狭めてきた。

 俺がガトリングガンをぶっ放そうとした瞬間、冒険者側から声が上がった。


「待ちな!!」


 そう叫んだ男が一人、歩み出て来た。そして何処からともなく声があがる。


「あいつは《廃業のイプシロン》の異名を持つ、ザオ・ユッシラだ!」


 意味は全くわからないけど、その異名はちょっとカッコイイな。


「この砦には弟のテオが居た。弟は何時も訓練を頑張っていたが、エルフを14人しか殺して無いのに・・・てめえの血の色は何色だぁぁぁ!?」


 ロボだから。血は流れて無いと思うぞ。



「ザオ・ユッシラ、こいつに借りがあるのはお前だけじゃねぇぜ」


 2人とも初対面なので、貸しも借りも無いと思うぞ。


「あ、あいつは《盗んだ財布》のラウリ・マラン!まだ現役だったのかよ!」


 おい、そりゃあ、ただの泥棒だろ。


「ここの指揮官のベルガーには、女児エルフの丸焼きをご馳走になった恩が有る!それをこいつは・・・そんな悪行をやらかして、顔色ひとつ変えねぇ!!!」


 ロボだから。変えたくても変わんねぇんだ。



 なんかこれ以上聞いてると、エルフの村に帰るのが遅くなりそうだ。

 俺はガトリングガンとサブマシンガンをフルオートにして薙ぎ払うように掃射し、冒険者たちをミンチにした。


  バババババババババババババババババババ・・・

   ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ・・・



 冒険者のくせに、謎魔法とか謎魔導具とか使って来なかったな。

 下っ端冒険者だったのかもなぁ。

 ファンタジーな攻撃が見えるかも、と期待してたんだけど、ちょっと残念。


 この砦に居たのは金属鎧を着た兵士なのに、増援に来たのは冒険者だ。

 もう兵士を出せるだけの戦力が無いのかもしれない。

 チャンスタイム到来の予感だね!


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