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 バルコニーのヨボヨボ老人が、スッと手を振り、何かを喋り始める。


「ゴニョゴニョ、ゴニョゴニョゴニョォ」


 すると、隣に控えていた恰幅の良い男が声を張り上げた。


「教父殿は仰っています! この戦いで、なぜ民が傷つき、疲弊したのか!」


「ゴニョ、ゴニョゴニョニョォ」


「それは全て国王の失政によるもの! 国王はもはや国王に非ず! 本日、この時より教父殿が自ら親政を取る!と仰っています」


 いや、ヨボヨボ老人はそんな長い台詞は言ってないだろ。


 今はボケ老人の事より、敵意剥き出しで集まって来る兵への対処だ。

 あまりにも多過ぎて、ガトリングガンやサブマシンガンでは弾が足りなくなりそうだ。


 つ・ま・り。

 ライトセーバーを使う時が来たヨーダ。

 昨日丸1日練習した成果を披露出来るヨーダ。


 俺はライトセーバーの青い光の刀身を伸ばし、手首をグリングリンと回転させると、ブォンブォンとライトセーバーが呻りをあげた。


「テンション上げ上げで参る!!」


 近くの者を斬る、近付いて来た者を斬る、寄って来た者を斬る、寄って来なくても斬る。

 1匹、2匹、3匹と斬り捨て、そして4匹(フォース)

 ブチブチッ!ボトボトッ!という人間から出てはいけない音と共に、兵たちがライトセーバーの餌食になって行く。


 俺は空中を飛び回り、無駄に前転や側転をしながら次々と斬り刻む。

 昔見た映画のように、空中をクルクルと周りながら剣術で戦うアレ(・・)を再現してるヨーダ。



 バルコニーでは再びヨボヨボ老人が口を開く。


「ゴニョゴニョ、ゴーニョ」


「神聖なる手榴弾をここに持て!!」


「ハッ」


「良し。皆で使い方を読み上げる。教典第29章B節」


「「「主よ、手榴弾の祝福により全てを等しく吹き飛ばす愛でお包み下さい」」」


 聖職者たちが箱を持ち上げ、その中から何かを取り出した。


 俺はその様子を空中3回転をしながら見ていた。

 しかし、箱から取り出した物を見て、俺は正気を疑った。


 俺の目が“それ”をとらえた瞬間、俺の視界は矢継ぎ早に表示される警告のポップアップの嵐で埋め尽くされた。

 そして“それ”の名称が表示された。


 『戦術核手榴弾』


 それはアカン!

 それだけはダメ!!

 刹那、俺は肩からミサイルを放っていた。


 ・・・手榴弾というくらいだから、安全装置としてピンがあるはずだ。ピンを抜く前なら、多少の爆発に巻き込まれても誘爆はしないだろう。核分裂を防げたとしてもダーティーボムとして機能するかもしれないが、そこは許容範囲として我慢しよう。


 そして、命中!

 と、共に大きなキノコ雲が上がり、聖堂の半分が吹き飛んだ。

 どうやら、ピンを抜いたアホを先頭に教団関係者の殆どが消滅したようだ。



 俺と戦っていた兵たちは、全員地に転がっている。

 これが爆風によるものなのか、放射線によるものなのかは、ロボになった俺ではわからない。


 核手榴弾がどれだけ放射線を撒いたのかわからないが、2次被害を減らすために移動禁止、持出禁止をするべきなんだけど。

 被害を受けるのは神聖帝国コンファールトの蛮族だけなので、放置で良いよね。


 首都を囲む壁には被害が出て無いように見えるので、チョット安心。

 エルフたちは門の外でシャハル帝国の残党狩りをさせているので、大きな影響は無かったと思う。

 もしもの時はエリクサーモドキで何とかなると思うしね。



 俺は瓦礫の山を押しのけて教団の建物を物色して回る。

 放射線に強くなれたのは、ロボになって良かった事の1つだ。


 ・・・なるほどぉ。やっぱ、宗教って儲かるのかな。無駄に豪華なものが多い。

 どうして木製の椅子に宝石を埋め込んでるんだろうな。座り難いだけだろう。

 どうしてドアの取っ手を豪華な細工で飾ってるんだろうな。握り難いだけだろう。


 うーん。この辺は人目に付くから、雰囲気的に遺物は置いて無いか。

 ありがちなのは・・・地下だな。

 石の階段を下りた先には、俺が見慣れた文明の産物が大量にあった。


 テレビ、パソコン、スマホ、ラジオ、大きい物だと電光掲示板のようなものまである。

 発掘地の情報も欲しかったけど、これだけ有れば十分かもな。目算で、エルフの村で集めてた分の5倍以上有りそうだ。

 これなら無人機以外にも色々作れそうで、夢が膨らむなぁ。


 あとは・・・貿易の取引先がわかれば文句ないんだけど。

 倉庫の隅っこには、この場には相応しくない紙製の巻物が積まれていた。


 なるほど。これは冒険者から買い取った記録だ。発見場所は全部ダンジョンになってるね。

 こっちの巻物は、テレビやラジオの絵が描いてあるぞ。これを集めて来いという取引相手からの指示かもな。

 こっちの巻物は、取引相手への納品で良いのかな? ここに書いてある“カーライル”が取引先の国だろうか。

 あとの巻物はみんな似たり寄ったりだなぁ・・・あ! これは世界地図!

 ムムム。

 俺の知ってる世界地図と似てるけど、違いもあるなぁ。

 なんか、綺麗に半円状に切り取られてるような地形もあるけど、大量破壊兵器の跡だろうか。

 まぁ良いや。

 これでカーライルって国の方角もわかった。

 現状でコンタクトを取るべきかは、少し迷うね。この国以上の蛮族って可能性もあるし、そんな奴らが洒落に成らないような技術を持ってる可能性もある。

 この神聖帝国コンファールトだって“核”を持ってたくらいなんだから、用心はした方が良いよね。


 ひとまず、ここにある物、全部パクパクしましょ。



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