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 残存部隊は1000人くらいだろうか。

 火炎放射器の地獄から逃げれても、再集結するまでの間にゴブリンにヤラレタ奴もいると思う。

 それを考えると生き残りが1000人もいたと思うべきだろう。


 川岸から松明を振って輸送船に合図を送ると、ボートが降ろされて近付いて来た。

 あのボートでピストン輸送するのだろう。


 俺は暫くその様子を見て、残りの兵を数える。

 残り50人を切った所で、作戦開始だ。



 まずは背中のミサイルで輸送船を沈没させた。

 それを合図に、川岸に残っている兵士にアサルトライフルを持ったエルフが突撃した。

 抵抗されたら発砲しても良い、と伝えていたが、誰一人として抵抗しなかった。


 ここまで飲まず食わずで移動して、やっと帰れると思った矢先、船が撃沈。おまけに戦う為の武器もない。

 そりゃあ、戦意も喪失するよね。



 倫理観の狂ったおサルさんに現状を理解させないといけないんだけど、俺に出来るだろうか。


「お前たちは捕虜だ。今から拘束するが抵抗はするな。抵抗したら殺す」


「「・・・」」


 おいおい、これって理解したのかどうかもわからないぞ。

 もう面倒だからマキに丸投げするか。


「マキよ。あとは任せる。出来るだけ殺すな」


「は、はぃ」


 マキのやる気もダダ下がりではあるが、まだ殺されては困るのだ。

 捕虜用にトラックが牽引出来るトレーラーを製造して、とっととモッコリへ帰ろう。




 ワザワザ捕虜を取ったのは尋問する為なのだ。


 大軍が持ち込んだ武器の中に、4つの車輪の上で固定される大盾があった。攻城戦では絶対に使わない道具だ。

 つまり銃の対策をしてきたという事。

 まぁ、厚さが足りなくてアサルトライフルなら貫通出来そうな物なので脅威には成らない。

 問題は銃を知らないサルが対抗策を考え付いた事だ。倫理観がぶっ飛んでるにしては、出来過ぎている。

 元々、銃の仕組みを知ってる者がいる。そう考えた方がシックリ来る。


 銃を知ってるなら、俺が必要とする電子部品も知ってる可能性は高い。もしかしたら電子部品が現存する場所も知ってるかもしれない。


 どうやって尋問したら良いだろう。懐柔か、拷問か。

 倫理観が狂ってるから、普通に思い付く方法じゃ無理かなぁ。

 まずは飯を食わせて様子を見るか。



 モッコリの壁内の片隅に捕虜は集められていた。

 武装も服も剥ぎ取り、下着1枚の姿で縛られて座っている。


 金属製の物は俺がパクパク出来るように分けて置いてあるようだ。

 その中に円筒形の物体があった。


 チョッ! えっ!? なにこれ!

 け、け、眷属召喚!!


「マキよ。これを知っているか?」


「申し訳ございません。鉄人様。捕虜の一人が持っていた、としか」


「そ、そうか」


 無骨な形をした銀色で円筒形の物体。

 本来、中世レベルでは存在してはいけない物。ぶっちゃけ、俺の生きていた時代でも空想上の物だ。

 だが、その名前だけは知っている。


 《ライトセーバー》


 動くのか?

 その前に使い方を知らない。


 たいていこの手の物は2段階スイッチだよなぁ。1段階目でスタンバイになって、2段階目で剣が出る。と思う。


 ――ブォン! ブォンブォンブォン!


 その瞬間、死んだ目をしていた捕虜たちが俺に土下座した。

 これって完全服従って事で良いのかな?



 一応、事情を訊いてみると、人間社会で俺は魔王らしい。その魔王が勇者しか使えない剣を使った。

 その結果・・・光と闇の両方を従えた最強の存在になった!


 全く意味が解らんけど、そう言う事らしい。


 とにかく懐柔はできた。とりあえず尋問を始めよう。


「いくつか尋ねたき事がある」


「ハッ、なんなりと」


「あの車輪が付いた盾を考案したのは何者か?」


「ハッ。ウィンダミア教団の参謀たちにございます。シャハル帝国の銃に対抗するために考案されたものと訊いております」


「銃だと?これと似た物を知っているのか?」


 俺は自分の腕に付いた、お洒落なガトリングガンを見せる。


「それが銃ですか?シャハル帝国の銃は“たまぐすり”で火矢を飛ばすと訊いております」


「なるほど・・・」


 飛ばすのは“弾”じゃなくて“矢”なのかぁ。って、火縄銃までもう一歩じゃん。

 この先、アサルトライフルでのゴリ押し作戦だけじゃ、こっちにも被害が出るかもなぁ。


 それじゃ、本題。俺が一番聞きたい事を質問しよう。

 俺は緑色の板に金色の模様が入った“電子基板”を取り出した。

 これはエルフたちに探させる為、サンプルとして保管してた物だ。


「これは知っているか?」


「ウィンダミア教団が集め、船で運んでいると訊いております」


 船で運ぶ? なんの為に?

 棄てるくらいなら燃やした方が早い。・・・まさか!


「交易品か?」


「たぶん。そうです」


 なんてこった。

 電子基板の事を知っているのは俺だけだと思っていたのが間違いだった。

 重要性、希少性を理解してる人が俺以外にもいたのか。

 俺のようなイレギュラーな存在じゃなくても、普通に知識を継承してる可能性の方が高い。


 この世界の文明はまだ(・・)中世レベルだと思ってたけど、実際は文明が後退して中世レベルに戻っただけなんだよな。

 一時的にどこまで文明が発展してたのかは知りようが無いけど、後世に知識を継承する謎技術が有っても驚かないぞ。





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