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 川での1軍との戦いから数日。

 俺は暇さえ有れば無人機からの映像をチェックするようにしていた。

 とは言え、無人機は1機なのでモッコリの周囲を警戒している時は、首都の様子がわからない。

 首都の様子を監視してる時は、モッコリの周辺を調査出来ない。


 もう1機作れれば良いのだが電子部品が足りない為、製造出来ないのだ。

 ロボの体は、必要な元素が有っても、精密な電子部品は作れないらしい。

 なんでも作れるように見えて、なんでもは作れないのだ!


 今日になって気が付いたのだが、首都に集まっていた兵の数が少なくなってるような気がする。

 大軍を3つに分けて、その内の1つを先日撃破したので、まだ2万人くらい残ってるはずなのだが、2万人も居るようには思えない。

 逃亡や自領へ戻ったにしても減り過ぎだと思う。


 無人機の高度を上げて更に広範囲を監視させる。

 するとアヤシイ集団を見つけた。



 港から船に乗って、海を経由して川を遡っている。

 下船した兵たちは100人程の小グループに分かれて、それぞれがモッコリ方向へ向かってる。


 倫理観がサルなのに、輸送船を持ってるってどうなってんだよ。

 おまけに散開しながら行軍する知恵まで持ってるんかい。


 まいったね。

 もう川は越えられちゃってるし、散開されたら手が足りないよ。

 この様子だと足並み揃えて一気にモッコリを包囲する気だろう。


 結構マズい状態かも。

 籠城しても四方八方から次々攻められると守り切れなくなるぞ。

 包囲される前に、散開してる小グループを潰すにしても、森に入った奴らは無人機からは見つけれない。



 無人機を川沿いに飛ばしてると、別の船から荷揚げしてる様子が映った。

 車輪が4つで長いアームの先にカゴ。いわゆる投石器だね。

 中世レベルなら持ってても可笑しくないけど、ここで投入ですか。


 さてさて、どうしましょう。

 現状で兵がどのくらい上陸したのかわからない。それは投石器の個数も同様。

 水際対策は失敗だね。もう間に合わない。

 うーん。

 常識的に考えれば、この人数で散開したら統制を回復するためにも、攻撃開始前に一度集合するはずだ。

 そこを狙おう。

 と、なると。ここは由緒正しき“夜襲”だね。





「敵ながら、なかなか良い場所で陣を取っている」


 大軍が再集結した場所は、モッコリから森を挟んだ平原。焚火をしてもモッコリからは見えない位置だ。

 上空の無人機からはバレバレだけどね。


 日が落ちたので、これ以上の人数は集まらないだろう。

 まずは敵の人数の確認だ。

 かまどの数を数えて、かまど1つ当りの人数を数える。あとは小学生でもわかる掛け算です。

 俺の目には暗視装置が組み込まれているので、一人一人数えようと思えば出来なくは無いんだけど面倒だ。

 およそ5000人か。前回よりも少ないな。


 さっそく俺はマキに指示を出す。

 全身黒ローブが大好きなパーブエルフたちが、武器を背中に背負い闇にまみれて敵の大軍を包囲する。

 フレンドリーファイアが恐いので、それぞれ100メートル開けての配置だ。


「攻撃を開始!」


 俺の号令と共に、パーブエルフたちが一斉に火炎放射器をぶっ放す。

 一般的に火炎放射器は密閉空間でこそ、その威力を発揮できる。

 今回は開けた場所ではあるが360度全方位からの火攻め。逃げ場がないと言う意味では最高のシチュエーションだ。

 未亡人エルフ特殊部隊は暗視装置を使い、いち早く逃げ出した連中を始末している。



 体に火がついて燃え上がった連中が、逃れようと歩き回る事で、更に炎が広がる。


「ド、ドラゴンだー!ドラゴンがでたぞー!」

「ドラゴンがいるなんて聞いてないぞ!畜生ー!!」


 混乱した奴らが火炎放射器の炎をドラゴンと勘違いしてるらしい。

 って、この世界にドラゴンがいるの?

 エルフもゴブリンもドワーフもいるなら、ドラゴンがいてもオカシくないのか?

 あのダンジョンを見たあとじゃ、いないと断言する事も出来ないか。



 俺がドラゴン話に気を取られている間に、戦いは一方的に終わってた。

 生き延びた者も、テントが炎上して食料や装備も燃えたため、着の身着のままでの敗走だ。

 逃げるとしても、向かう先は1つしかない。


 残存部隊が集まったら、乗って来た船で帰るよね。




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