表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/26

-12-

 

 エルフという種族は意識高い系なのかな?


 アサルトライフルの使い方をレクチャーしたら、エルフたちはどんどん知識を吸収しちゃったよ。

 高いのは知識欲だけじゃなくて、戦意の高さも凄かった。平和な世界から来た俺からしちゃ、もう想像できない高さだよ。


 キャーこわーい!

 やばんですわー!

 そんな事を言うエルフの女性は一人もいないのだ。


 銃を持ったらまさにコマンドー!

 気が付いたら自分たちで訓練メニューも作ってるよ。


「連携して戦うには集団として動くのが大事!」

 とか言って、歩幅を合わせて行進する訓練まで始めちゃってるよ。

 マジで軍隊じゃねぇか!


 射撃場に自分たちで障害物を用意して、お互いに援護しながらの、突入、射撃、残弾確認、次の目標へ移動、を繰り返し訓練してる。

 こんなの映画や海外ドラマでしか見た事ないよ。それを自分たちで考えて戦術にまで昇華させるって、エルフは戦いの為に作られた種族なんでしょうか?

 マジでコワいわ!


 当初、射撃の的しか無かった射撃場は、今やエルフたちの手によって様々な遮蔽物が用意され、市街地戦や室内戦を想定した訓練場に変貌している。

 その特殊部隊養成所のような場所で、弾の補給がちょっと心配なくらい、猛烈な訓練を行っているのだ。


 エルフが蹂躙されてたのって、文明が滅んで銃が無くなったのが原因とか言わない?

 本来のパフォーマンスが発揮出来てたら、白兵戦最強の種族じゃない?

 俺はヤベー奴にヤベー武器を渡しちゃったのかなぁ。



 パパパン

 ターン

「クリア!」


 独自のハンドサインも使ってるようだし、完全に部隊として出来上がってるよ。

 このまま首都に攻め込んでも勝てるんじゃないっすか?


 まぁ。どんなに強くても、未亡人エルフ特殊部隊は20人しかいない。

 人間とは人数差があって、その差がそのまま戦力差に繋がるから、簡単には勝てない・・・と思うケド。




 エルフたちの鬼気迫る訓練を見てしまうと“鉄人様は訓練しないんですか”って感じの無言のプレッシャーを感じるんだよね。

 実際にはそんな事は言って来ないんだけど、逆にそれが無言の圧力に聞えちゃうんだよ。

 うん。俺って小心者だから。


 何もしないで過ごす事に心苦しさを感じた俺は、以前拾った《ウィンダミア教典》に目を通してみる事にした。

 宗教関係の書物だとは思うけど、歴史的な事から何らかの対策を思いつくかも知れないからね。

 知識はいつの時代も重要って事!


 そんな訳でペラペラと読みすすめて行くのだが、結構キツイ。

 俺の体はロボなわけで。

 つまり指先もロボなわけで。

 紙と鉄の摩擦抵抗は低いわけで。

 ロボの体は本のページをめくる事に、特化してませんでした。


 実際俺の指先は、金属なのかどうかも怪しい物質で構成されてんだけど問題はそこじゃなくて、ロボの設計段階で本を読む事を想定して無いよね。

 指先は超撥水加工されてるし、唾が無いから舐める事も出来ないんだよ。

 紙をめくる行為に、こんなに苦労させられるなんて想定外だった。


 苦労して読み進めたが、内容も酷かった。

 トランプの刺青を入れて世紀末でヒャッハーしてるモヒカン男が、宗教に目覚めた感じの内容だ。


 《汝、敵を食せよ》


 《汝、隣人を食せよ》


 《右の頬を打たれたら、首を刎ねよ》


 《上着を奪われたら、首を刎ねよ》


 《侮辱されたら、首を刎ねよ》


 はぁ。

 この聖書で教育された人間かぁ。どうしたもんかねぇ。



 教典の後半は歴史書のようになっており、その中に鉄人の記載をみつけた。


 100年前、鉄人が現れ蛮族を救う悪行を繰り返した。ウィンダミア教皇は1万人の教徒で聖'sノール(セイズノール)軍を組織し鉄人に対抗。

 鉄人を1万人の聖'sノール(セイズノール)軍が包囲し、聖戦が始まった。9999人の屍を踏み越え、最後の一人が鉄人を倒して救世主となった。

 めでたし、めでたし。


 なるほど、なるほど。

 こりゃダメだ。人間を絶滅させよう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ