9話 初めてのレベルアップ
俺は世界最強を目標に決めた。
それはさておき、レベルアップ出来るんだよな。
「レベルアップはどうやってやる?」
「簡単ですよー。レベルアップ可能と書かれている所を触ってみてください」
ライカに従い、触ってみる。
ステータスボードは強く光り、表示が変わった。
職業 格闘家 レベル2
力 26
体力 25
耐久力 11
俊敏性 26
魔力 5
聖魔力 5
少し強くなったみたいだ。
スキルはどうするんだろう。
俺はライカに聞いてみる。
「スキルはどうやって取得するんだ?」
「レベル2と書いてある場所を触ってくださいね」
「おう」
俺は触ってみる。すると今度は光らずにステータスボードの表示が変わった。
上に『スキルポイント 2』とある。その横に『戻る』と書いてある。戻るボタンがあるのか。
その下にはクモの巣みたいに四角が並んである。
でも、クモの巣の中央は丸。
ライカが、その中央の丸を指さした。
「ここがスタートです。へぇ、格闘家のスキルはこうなってるんですね」
「農民は違うのか?」
「私のはスタートの丸が左端にあって、そこから大きく2つに分かれていて、そこからさらに細かく分かれていく感じです」
「ほう」
「あと繋がってない単独のスキルがいくつかありますね。アイテムボックスがそうです」
アイテムボックス!
そうだった。まずはそれを習得しなければ。
多分タブレットのように動かすのだろうと、下にスライドしてみる。
あった!
アイテムボックス!
なんか二つある。
『アイテムボックス(死体)』『アイテムボックス(金属)』
とりあえず、『アイテムボックス(死体)』だな。俺はその四角を触ってみる。
何も反応しない。
「触りながら心の中でスキル名を唱えてください。神様からの気遣いです。間違って違うスキルを習得しないためですね」
司祭が教えてくれた。
俺は心の中で、アイテムボックス(死体)と唱える。
ステータスボードが少し光り『アイテムボックス(死体)』の四角の色が変わった。
「おめでとうございます。初めてのスキル習得ですね」
「おめでとうございます! ハラダさん」
「あぁ。ありがとう」
本当は『ジャブ強化1』が初めてだけどね。
スキルポイントが1になった。
もう一つ習得出来るのかな。
さて、次はどれにしようかなと思っていると、ライカが言った。
「もう一つのアイテムボックスは習得しないんですか?」
「必要か?」
「アイテムボックスはマストですよ! 絶対にアイテムボックスにするべきです!」
「そうですね。特に金属は重いですから」
確かに。金属は重いよな。
でも何で戦闘職に金属のアイテムボックスがあるんだろう。
武器の収納なのかな?
そうか。敵の武器を収納出来るのかな。それも立派な戦利品だもんな。
俺は『アイテムボックス(金属)』を習得した。
そして、ゴブリンの骨の入った麻袋も結構重たかったので、早速アイテムボックスに入れてみようと思った。
……、どうやって使えばいい?
「アイテムボックスはどうやって使う?」
「アイテムボックスと言えば良いですよ」
ライカが教えてくれた。俺は初めてアイテムボックスを使う。
目の前にブラックホールみたいな球体が現れた。
麻袋の口を近づけると、骨の粉が吸い込まれていく。掃除機みたいだ。
さてさて、他にはどんなスキルがあるのかな。
「もう少し、見てても良いか?」
俺はライカに聞いた。聞くふりだけする社交辞令のつもりだったが、「うーんと、ごめんなさい」と断られた。
「急がないと、夕方の鐘が鳴ってしまいます。それにハラダさんはステータスボードを持ってるじゃないですか!」
「なんと。ステータスボードを……。そんなスキルもお持ちなんですね」
と司祭は驚いていた。
「さあ、次はゴブリンの報奨金を受け取りましょう。冒険者ギルドですね!」
「分かった。司祭さん助かった」
「ありがとうございました!」
「いえいえ。二人に神のご加護がありますように」
俺達は冒険者ギルドに向かうことにした。
冒険者ギルドは遠かった。
城門の近くにあった。
何でもライカが言うには、有事の際に、ギルドに滞在している人たちが優秀な守り手になることを期待されてるそうだ。
俺は冒険者ギルドのドアを開ける。
両開きのドアだった。