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14話 ポイントゲットしてた

 ライカの家は木造二階建てだった。

 城下町では石の建物が多かったので、なんだか珍しい。

 

「今日はもう遅いので寝ますね」


 とライカは俺たちを部屋に案内し、すぐに出ていった。

 多分ライカの兄が使っていた部屋だろう。

 ベッドに机が一つずつだけのシンプルな部屋。


「原田さん。ポイント確認しないっすか?」


 そうだった。

 ポイ活出来るんだった。なんだか今日は忙しくて、見る暇はあったんだけど、忘れていた。


「そうだな」


 俺はステータスボード出てこいと念じる。

 ステータスボードにはポップアップ。

『初心者ミッション 初めて町へ行こうをクリア! 100ポイント獲得しました!』

 次。俺は画面をタップする。

『初心者ミッション 初めて温泉に入ろうをクリア! 1000ポイント獲得しました!』

 温泉、ポイント高いな。

 俺は画面をタップ。

『通常ミッション 温泉に入ろうをクリア! 1000ポイント獲得しました』

 やはり温泉凄いな。

 俺は次を見る。

『ミッション 職業に就こうをクリア! 500ポイント獲得しました!』

 次を見よう。タップ。

『初心者ミッション 職業に就こうをクリア! 100ポイント獲得しました!』

 同じじゃん。

 次だ次。

『初心者ミッション 職業スキルを振ってみようをクリア! 100ポイント獲得しました!』

 ふむふむ。タップ。

『初心者ミッション 初めての取り引きを完了しようをクリア! 100ポイントゲット』

 長い。まだあるのかな。

 タップ。

『初心者ミッション どこかのギルドに所属しようをクリア! 100ポイントゲット』

 飽きてきた。タップタップ。

『初心者ミッション ご飯を食べてみよをクリア! 1000ポイントゲット!』

 また高ポイント。タップ。

 終わったらしい。

 やっとメーン画面が出た。


 その時にノックが聞こえた。


「どうぞ」


 俺は応える。

 佐藤が慌ててステータスボードを隠す。

 消せばいいのに。というかだな。


「ライカはステータスボードのこと知ってるぞ」


「そうなんすね。でも他の人には言わないほうがいいっすよ」


 ライカが入ってきて話に加わる。


「そうですね。有力者様が黙ってないかもしれません。利用されるかもしれません」


「いいから、まず布団をおろせ」


 ライカは布団を持ってきてくれてた。

 

「はい。これ、来客用なんですけど、あまり使ってないから埃っぽいかもです。すみません」


「かまわない。ありがとう」


「感謝っす」


「それじゃあ、今度こそ失礼します。おやすみなさい」


「じゃあな」


「おやすみっす」


 俺は再びステータスボードに見てみる。

 どうやら今日、知らないうちにポイントをゲットしてたらしい。

 結構貯まったぞ。四千と十ポイントだった。


「どうでした?」


「四千貯まってた」


「俺五千だったっす」


「なに」


 佐藤はマウントとってきた。のかと思ったが、なんかウンチクが始まった。


「ちゃんとミッション確認して行動しました?」


「いや。意味が分からないから見てない」


「ダメっすよ! ちゃんと確認しないと! えっとですね。左のミッションはまあ見なくていいです。一度きりのミッションですね」


「そうか」


「中央の期間限定ミッションは要チェックです。今は初心者ミッションしかないっすけど、期間は一週間しかないっす。これも一度しかクリアできないですね」


「なるほど」


「右の通常ミッションはデイリーミッションのことですね。毎日こなせるミッションっす」


「ほう」


「特に重要なのが高ポイントの『三食食べよう』、『温泉に入ろう』、『七時間以上寝よう』っすね。これ千ポイントも獲得っすよ」


「そうか」


「ちゃんと理解してます?」


「大体な」


 本当は頭が痛くなってた。よく分からなかった。

 ただこれだけは言える。

 これだけ言って分かったフリしよう。


「規則正しく生きるのが高ポイントなんだな」


「そうみたいっすね」


 俺は話を聞きながら、ポイントを使ってた。

『ストレート強化1』、『フック強化1』、『アッパー強化1』、『頭突き強化1』、『ローキック強化1』、『ミドルキック強化1』、『ハイキック強化1』、『前蹴り強化1』と次々ポイントで強くなる。 全部の100ポイントだった。

 投げは使えないから、良いかな。

 これは一人じゃ練習出来なかったんだよな。

 

「わー!」


「なんだよ。夜中だから大きな声出すな」


「すみません。それより、なんでぽんぽん使ってるんすか」


「俺はそういうタイプだ」


「慎重になりましょうよ」


 こいつ絶対ラストエリクサー症候群だな。

 うるさいやつめ。


「まず、原田さんは何の職業に就いたすっか?」


「格闘家だ」


 佐藤はやれやれと言いたげに首を振る。

 俺はイラつく。


「お前はなんにしたんだよ?」


「まだ決めてないっす」


 ふん。ダセーよ。

 お前のがダセーもん。


「えっとすね、格闘家ならまだ間違ってないっすね」

 

 佐藤は俺のステータスボードを覗き込みながら言った。


「だろ?」


「でも、これ以上は使わないほうがいいっすよ」


「なんでだ?」


「格闘家だからっすよ。それだけ習得してたら、充分戦えますよね。それよりまずはガード強化に使わないと死ぬっすよ」


 そうだった。格闘家は打たれ弱いらしい。鎧を着づらいらしい。


「そうか」

 俺は『防御』タブを選ぶ。『ガード強化1』を選ぶ。

 ポップアップ。『先にガードスキルを覚えてください』


「覚えられねーぞ」


「そこの職業タブじゃないっすか」


 言われて気がついた『シークレット1』は『格闘家』タブに変わっていた。

『格闘家』タブを選ぶ。

『ガード習得』を選ぶ。

 またイラつくポップアップ。『ポイントが足りません 100000ポイント必要です』


 十万だと? 高いな。クソが。

 俺のイライラは最高潮。

 でも佐藤は嬉しそうだ。


「なるほどっす。レベルアップで獲得スキルポイントは1しかないから方向性を選ぶか器用貧乏になるかですけど、この『異世界ポイ活』なら全部習得できるんすね。いやーチートっすね」


「凄いことなのか?」


「そうっすよ!」


「俺が必須スキルを探します」と、佐藤は自分のステータスボードを見る。


「今日は遅いから、『生活力強化』の『熟睡』スキル習得して寝ましょう」


「分かった」

 俺は言われた通りに習得する。千ポイントもした。

 高いな。おい。とイライラしたが、スキルのせいかベッドに横になって、目を瞑ると、すぐに寝てしまった。

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