第3話 神々の祝福
「うわっ!」
辺り一面が白い閃光に包まれている数秒間――ノエルは神々からのメッセージを受け取っていた。
「久しぶりに姿を見れて嬉しいぞ、ノエルよ。」
「優ちゃん、じゃなくて今はノエルちゃんだね!お久しぶり~。」
(うおおお…愛神様と癒神様、相変わらず美しすぎる!そして相変わらず布少なっ!)
「ご無沙汰しております!無事に神礼の儀まで来ることができました。」
「無事に神礼の儀に来てくれてなりより。これからも見守っている。」
「では、ノエル・ド・ラ・クレルドリュンヌ。お前のステータスをここに開示する。これから先の標とするが良い。」
神々との再会が終わった直後、まばゆい閃光が徐々に収まっていき、周囲が見えるようになってきた。
「すごい光るんですね、この宝玉って。ビックリしました。」
大司教様が驚きのあまり興奮して声をかけてきた。
「ノエル様!一体何をしたのです!?宝玉からこんな閃光が放たれる所なぞ見たことがない!」
「え?そうなんですか?」
(あー、やばい。ものすごく嫌な予感がする。これは確実にこのまま僕のステータスがお披露目されてはいけない流れ!)
宝玉からの光は宝玉の内側に向かって収束し、宝玉の上部の空間に長方形のホログラムのようなものが映し出されていく。
「おお…ついにノエルのステータスが見れるのか。」
「あなた。ワクワクしすぎよ。でも楽しみね。」
「いや、ちょっと待って…!!!!!」
〈ステータス〉
【名前】ノエル・ド・ラ・クレルドリュンヌ
【レベル】 1
【HP】 50,000 【魔力】 25,000
【攻撃】 1,000 【防御】 5,000
【速度】 1,000 【能力】 S
【魔法】 無属性魔法Lv1、炎魔法Lv1、水/氷魔法Lv1、風/雷魔法Lv1、土魔法Lv1、光魔法Lv1、闇魔法Lv1、回復魔法Lv20、創造魔法Lv20
【スキル】 分析Lv1、剣術Lv1、武術Lv1、体術Lv1、全属性耐性Lv20
【特殊】 生活魔法、魔力コントロール、魔法詠唱短縮、バッドステータス無効、HP/魔力回復速度上昇、味方支援スキル/魔法効果補正Lv20、回復魔法効果補正Lv20、時空間魔法Lv20、獲得経験値+200%、神々の代行者Lv∞
【恩寵】 創造神の恩寵Lv20、破壊神の恩寵Lv1、太陽神の恩寵Lv1、大海神の恩寵Lv1、天空神の恩寵Lv1、大地神の恩寵Lv1、光神の恩寵Lv1、闇神の恩寵Lv1、愛神の恩寵Lv20、癒神の恩寵Lv20
「・・・・・・・・・・」
(おいいいいいいい!これはダメなやつ!他の人のステータス見たことないから基準が分からないけどさ、たぶんダメだよコレ。たくさん色々ついてるし。でも、Lv1多めだからもしかして問題ない...?うわ、でも1個だけ1番やばそうなやつに∞ってついてるな…)
つっこみ所が多すぎるが、バッドステータス無効だけは何を考えて付けたのかは容易に想像できた。
気になるのは、神々の代行者Lv∞である。
スキルの内容を確認してみたところ、成長限界を超えて無限に成長できる、というシロモノだった。
いますぐの恩恵は無いが、これは後になればなるほど絶大な影響力を持つスキルだと確信した。
(バッドステータス無効は神様がもしものための保険で付けたろ絶対…病気とかで死なれたら困るもんな。)
両親に対してノエルは何もわかってない振りをしながらダメ元で純粋な目をまっすぐと向け、自分のステータスについて尋ねた。
「父上、母上…僕のステータスはどうなのですか?」
両親は口を大きく開けて固まっていた。そして、宝玉の横に立っていた大司教様も完全に固まってしまっていた。
「・・・・・・・・・」
(はい、アウトー。完全にやらかしパターン。)
ノエルは無意識に頭に手をあて、天を仰ぎ見てしまう。
そんなノエルに向かって大聖堂の天蓋のステンドグラスから陽光が降り注ぐ。
まさにこの瞬間の神々しさ、神々の代行者さながらである。
そのノエルに向かって、大司教様が跪き頭を垂れて言葉を綴る。
「神々の代行者様...お会いできて大変光栄に存じます。何卒どうか我が国を恒久平和へと導いてくださいませ。」
傍から見て完全にヤバイ光景である。
慌てて父が事態の収束を図る。
「大司教様!これは何かの手違いやもしれません。いったん、このことは我々4人の秘密ということにしていただきたい。」
(父上、ナイス!)
「かしこまりました。ですが国王陛下には一度お伝えしておかなければと思いますが…」
(こんなの国王陛下に伝えられたらおしまいだよぉ…)
「そちらは私から伝えさせていただきます。少しだけ待っていただきたい。」
「かしこまりました。」
「さあ、アンリ、ノエル、うちに帰るぞ。ノエルのステータスの件については、帰ってからじっくり話し合う。」
「ええ、あなた、ごめんなさい。私まだ夢でも見ているようで…」
(母上、僕もです。ステータス確認するだけなのに、こんな爆弾投下されるなんて思うわけないじゃん…)
「気持ちは分かるよ、アンリ…」
(大ごとになってしまったな。僕の転生ライフ、どうなってしまうのか…)
慌ただしくも両親と一緒に大急ぎで馬車に乗り、家路につくのであった。
<次回予告>
紅茶
魔法の適正
執事ロベール
魔力コントロール
大惨事
ステータスを見た男は、何を始めるのか。
次回
回復魔法を極めて始める異世界冒険譚
第1章 運命の出会いと回復魔法
第4話
魔法との出会い