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回復魔法を極めて始める異世界冒険譚~神々に祝福されし代行者の旅路~  作者: かぷちーの
第1章 運命の出会いと回復魔法
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第1話 二度目の誕生

 半ば強引に異世界に送り出された僕は、無の世界かどうかは分からないが暗闇を漂っていた。


(いきなり放り出すなんてびっくりだよもう。けっこう時間経つ気がするけど何も起きないし、何も見えないし、聞こえないし。)


 それにしてもあれからどれくらい経っただろう、体感だけど軽く2日は経ってる気かがする。まだ何もかも真っ暗で音も何もない世界に漂っている感覚。でも不思議と苦しくはなく心地良い不思議な場所。


(もしかして、転生失敗したとか…!?これが無ってやつなのか…!?)


 今更ながら神様が言っていた時間が無かったという言葉が引っかかる。かなりギリギリまで待ってもらってたのであれば、不慮の転生失敗みたいな事故もあり得る。


 転生失敗した場合はどうなるのか全く聞かされていないので不安になっていた。


 だんだん意識が遠くなっていく。春の日差しを浴びながらお昼寝をしている時のようなふわふわと心地良い意識の失い方だった。


「おぎゃあー!おぎゃー!!!」


 声が聞こえる。赤ちゃんの泣き声だ。


 どこから聞こえてくるんだろうか。


 自分の中から聞こえてくるような不思議な感覚がした。


(いや、まじで産まれるところから始めるんかい!びっくりだよもう。)


「無事に産まれたか!君に似てかなり美形なんじゃないか!?アンリ。本当にありがとう。ゆっくり静養してくれ。」


「あなた。いつも支えてくれてありがとう。おかげで無事にとっても元気な男の子を産むことができたわ。」


「そうか!男の子か!じゃあ名前はノエルだね。」


「ええ、女の子ならリアーナで、男の子ならノエルって決めていたものね。ノエル。元気に大きくなってね。」


 僕の誕生から数日が経ち、アラサーだった自分が完全に赤ちゃんになっているこの生活に徐々に慣れつつある自分が怖かった。


 それにしてもパパさんとママさん、ものすごい美男美女。パパさんは髪は黒く眼は青い。ママさんは髪は金色で眼は澄んだエメラルドグリーンの色をしている。二人とも顔立ちやスタイルもめちゃくちゃ良い。自分もこの血を引いているのか、ワクワクだな。


 ワクワクな理由はシンプルに両親の見た目だけではない。言葉遣いや雰囲気、立ち居振る舞いまでとても配慮があり綺麗で、これがこの世界での自分の両親なのかと思うととても誇らしい気持ちになった。


 転生前なんて平々凡々とした可もなく不可もない見た目、生活、行動だったのでかなり恐縮してしまう。


 2人の会話を聞いていて分かったことがある。僕の両親である2人の名前だ。


 父の名前は、アルベール・ド・ラ・クレルドリュンヌ。母の名前は、アンリエッタ・ド・ラ・クレルドリュンヌって言うみたいだ。まだ年齢は分からないが誕生日がくればお祝いするし分かるだろう。


 余談だが、父の名前を知るのは至難だった。母はいつも父のことをあなた呼びしているので、全く名前が出てこなかったのだ。


 父は公爵であり、かなり上位の階級に位置している貴族なのではないかと浅い知識ながらにも分かった。


 でも、それにしては、窓の外から見える景色が随分と田舎臭いというかなんというか。もしかして左遷されてる?と思うほど町から外れているように感じた。


 それから毎日のようにお風呂に入れてもらったり、オムツを変えてもらったり、お尻を拭いてもらったり...元アラサーの記憶をもったまま受ける赤ちゃんの待遇というのは、羞恥心をかき乱されてメンタルへのダメージがハンパじゃなかった。


 1番やばかったのは、授乳だ。母とはいえ、この美女のアレをアレしてアレするのだ。


 なんかもう色々と、詳しくは語らないがやばかった。赤ちゃんの赤ちゃんが瞬間的に大人になるんじゃないかと思った、まだ赤ちゃんなのに。


 そして、そんなこんなしているうちに誕生してから数年が経った。


 3歳になったノエルは、両親譲りのルックスで金髪碧眼美少年といった感じなっていた。


 鏡を見るたびに1人で悦に入っていることは誰にも言えない秘密だ。


 日々、父と母から愛情をたっぷり受けながら、父アルベールが読み聞かせてくれるこのルミナス王国建国の物語や教育係である執事ロベールが教えてくれる礼儀作法を学んでいる。


 どうやら僕の言葉遣いがかなり大人びており、言語の理解や習得も早いことから両親から多大な期待を寄せられているのであった。


 それもこれも、前世の記憶があるおかげでもろもろ理解が早いだけなのだが。


(今日もハードな1日だったぁ~、貴族ってみんなこうなのかな。前世でもこんな子どもの時期に勉強とか立ち居振る舞いの教育受けたこと無いよ。礼儀作法だけじゃなくって才能教育までゴリゴリなんだな貴族って。)


 今日もしごきにしごかれた僕は、寝支度を整えて自室のベッドで仰向けになっていた。


「あー!早く魔法とか剣とか王道RPGっぽいのやりたいなー!!!!」


 冒険の前に人生を変えることになる運命の出会いがあるとは、この時は思ってもいなかった。


<次回予告>


快適な馬車


大聖堂


素質の確認


宝玉


眩い閃光


貴族に転生した男は、何のために生きるのか。


次回


回復魔法を極めて始める異世界冒険譚


第1章 運命の出会いと回復魔法


第2話


神礼の儀

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